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「音楽は、ネガティブな感情をなおすツール」 海外で活躍する日本人ラッパーに迫る

By - grape編集部  公開:  更新:

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日本から遠く離れたドイツで、HIPHOPミュージックを通じて多くの人の心を動かしている、日本人ラッパーの存在をご存知でしょうか?

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モヒカン姿に、大きな丸メガネ、一度見たら忘れられない出で立ちをした彼の名前は、Blumio(ブルミオ)。ドイツで活躍する日本人ラッパーです。

彼がYouTube上で発表した「Hey Mr.Nazi」は、1500万回以上の再生回数を誇り、ドイツ国内で高い知名度を誇ります。

そんな彼が、2016年から日本での活動を開始したとあり、日本音楽業界から熱い注目を浴びています。

HIPHOPを始めた理由はいたってシンプル

彼が育ったデュッセルドルフは、どちらかというとHIPHOPが盛り上がっている地域ではありませんでした。

そんな環境で、なぜHIPHOPに興味をもつようなったのかたずねたところ

かっこいいから(笑)

かっこつけることなく、シンプルに言いのける彼に、ある種の清々しささえ覚えました。

最初こそ単純な理由で始めたものの、彼が14歳の頃に出会った、一組のバンドによって、彼の音楽に対する姿勢は大きく変わります。

そのバンドのボーカルが自分と同じアジア人だったんですよね。そしたら、自分でもできるんじゃないかなって。根拠のない自信みたいなものが生まれたんですよ。

日本人であるということから、しばし差別的な態度をとられていたというBlumioさん。

だからこそ、ドイツでは珍しいアジア人でありながら、音楽を通して自己表現しているボーカルの存在がとても印象的だったといいます。

「傷つくことを想像させる」力

ユニークな内容のリリックが目立つ彼ですが、社会的な問題にもするどく切り込んでいます。

その中のひとつ「Die Welt ist schwul」は、LGBTをテーマにした一曲。

※LGBTとは…性的マイノリティの集団を示す言葉。レズビアン・ゲイ・バイセクシャル・トランスジェンダーの頭文字をとってつけられている。

この曲のMVは、ストレート(異性愛者)の主人公が夢の中で、老若男女みんな同性愛者の世界を体験するという内容なんです

言葉はドイツ語ですが、ドラマ仕立てのミュージックビデオなので、なんとなくではあるものの主人公の気持ちが伝わってきます。

普通に彼女と歩いているだけなのに、周りからは変な目で見られるし、罵られたりする…。

異性愛者だろうと同性愛者だろうと愛する気持ちは同じなのに、なんで否定されなきゃいけないんだ!どうしろっていうんだ!っていうね。

そう語る彼が作り出すリリックには、ある一つの特徴がありました。それは…。

「聴いてくれる人に、いろいろと想像してもらいたいんです。」

歌詞やミュージクビデオを通して、聴く人に『傷つくことを想像させる』Blumioさんの作品。人と関わることで感じる苦悩や悲しみ、もちろん感動や喜びも、彼の曲を通せば誰もが分かち合うことができる力があると感じました。

「ネガティブな感情をなおすことができる」

そんな彼の曲に心を強く動かされた人は多く、今でもBlumioさんの印象に残っているという、あるファンとのエピソードを語ってくれました。

「自分はネオナチに加わりそうだったけど、Blumioの曲のおかげで、思い直すことができた。ありがとう」というメッセージをくれた人がいたんです。それをもらった時は、よっしゃぁ〜!って思いましたよね。

※ネオナチとは…外国人差別、同性愛嫌悪、共産党への敵対などを柱にした政治的活動の総称。ヒトラー時代のナチズムの復興をかかげている。

そう満面の笑顔で語ります。続けて…。

自分にとって、ラップはネガティブな感情をなおすことができるツールだと思います。

今後は日本語の曲をたくさん作っていきたいとも意気込むBlumioさん。日本の現状を、彼はどんなリリックで表現してくれるのだろうと、今から期待せずにはいられません!

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最後に、彼の今後の展望を聞きました。

いつかラップでミュージカルをつくってみたいんですよね!

聞けば、老若男女、全ての登場人物が会話から何まで全てラップで演じるミュージカルだそうです。なんとも面白い試み!

自由な感性と発想をもつBlumioさん。日本に活動拠点をうつして日が浅い彼ですが、既に大きな夢を抱く彼の姿はとにかく輝いているのひと言につきました!

出典
Blumio(Facebook)

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