孤立無援の「崖」に追い込む上司。 部下の悩みと対処法

「日本と海外のコミュニケーション 違いのポイント」

ホウドウキョク 3 Lines Summary

  • 日本人上司は「過干渉」な人が多い
  • 外国人上司は「不寛容」な人も多い
  • 「メンター」「スポンサー」は効果的

「人間関係」で悩む会社員

最近、会社を「辞めた」「辞めたい」という投稿がツイッターに続出し、話題になった。

新入社員が「イメージと違う」「上司と合わない」と不満や失望感を次々に書き込み、辞められた会社の社員も戸惑いをつぶやいた。

新入社員の時を乗り切れば、会社生活も落ち着くというわけではない。会社員の悩みは絶えることがなく、一番の悩みは「人間関係」だと言われる。

今後、働き方改革が進むにつれて職場も多様化し、外国人の上司も増えるだろう。複雑になる社内のコミュニケーションや人間関係には、どう対応すればいいのだろうか。

「過干渉」な日本人上司

人間関係の中でも、特に、上司との関係はストレスになりかねない。

新入社員の理想の上司は、親しみやすく相談しやすい「寛容型」で、人間関係の良さを会社に一番に望むという。(出所:三菱UFJリサーチ&コンサルティング)。

しかし、筆者の周りを見回すと、「過干渉な上司」に行き当たっている新入社員が多い。適度な距離感でコミュニケーションを取るのが苦手で、どんよりとした雲のように部下に押し掛かかってしまう。そして、新入社員から負担や面倒に思われている。そんな人が皆さんの周りにもいないだろうか。

以前の職場で、コーヒーブレイク(小休憩)や定時退社をするたびに、「また休憩?」「いつも定時だな」と言う年配の上司がいた。それを嫌がって、同僚が異動願いを出した。

この上司は、部下が出張するたびに「また旅行?」といつもからかっていた。成果を上げていてもだ。

照れ隠しなのか、部下を単に「受け手」として格下に見ているからなのか、日本人の上司は、真面目な話を茶化すことがある。しかし、外国人上司は、ストレートに言葉や態度で表現することが多い。私の同僚が、大きなプロジェクトを成功させた時は「彼女無しではありえなかった」と、多くの社員の前で絶賛した。

親近感から、部下を「お前」「ちゃん付け」で呼ぶ日本人上司もいるが、距離を縮めたいというメッセージも一方的で重すぎると、部下の受信トレイには入らず、迷惑メール扱いになってしまう。

こだわりが強いマイクロマネージメントの上司もいて、資料の文字サイズから会議の進行、スケジュールまで、全て自分流を通し収めようとする。TPOも考慮無しで、クライアント同席の会議でも、部下をダメ出しする。

アメリカやヨーロッパの職場では、ランチに以外にカフェテリアにいても「普段のコミュニケーションの範囲としての振る舞い」として不自然はないが、日本ではサボっているというレッテルを上司から張られないよう、カフェテリアにいる時は、パソコンと書類を持参して自衛する人もいる。

「パワフル」な外国人上司

それでは、外国人上司ならすべて良いかというと、そうとも限らない。

ステレオタイプで良く言われる外国人は、オープンでフレンドリー。週末には、友人や同僚をホームパーティーに招き、オフの時間のもてなしも上手い。

だからと言って、日本人上司より寛容で、部下とのコミュニケーションも上手い、とは言え切れない。

トップダウン型の激しい外国人上司もいて、好き嫌いで部下を判断し、嫌いな部下はプロジェクトに参加させないという人もいる。人事評価もあっという間に落とされ、昔の会社で一緒だった同僚は、異動か転職していった。

会議の後で、他の部署の同僚と話をしていると、何を話していたのか、と執拗に問いただしてくる。自分の悪口を言われていると思ったのか「あなたはオープンでない」と非難する。そんな外国人上司に閉口する友人は、上司が見ている時は、極力他の人と話さないようにしている、という。

周囲がその過剰なパワーに気がついても直接助けられず、部下は社内で徐々に干され、孤立無援の「崖」に追い込まれてしまう。

不寛容で、まっすぐにコミュニケーションできない上司には、どう対処したらいいのか。

「崖」のセーフネットは「メンター」「スポンサー」

知り合いのイギリス人は、自分の努力だけで解決しようとせずに、「メンター」(相談相手)と「スポンサー」(支援者)を持ち、「自分の味方」を作ることを勧めてくれた。

「メンター」は、悩みや問題に助言するだけでなく、精神的なサポートもしてくれる。

社内外の「スポンサー」は、他の人の前で相談者のことを好意的に話し、一段高いところへ引き上げてくれる。特定の人と問題が起きた場合でも、もし、スポンサーが社内にいれば、詳しく状況が理解できる人へつなぐなど「崖」から落ちないように、擁護してくれるだろう。

高校の担任だった先生と、サークルの先輩を「メンター」にしている知人もいる。

先生は「がんばってるね」と努力を認めてくれ、先輩は、同年代の目線で共感できるアドバイスをしてくれる。「スポンサー」は、父親世代の男性で、他部署だが社内プロジェクトで一緒だった人という。社内事情には詳しいが、ゴシップには関心が無く、噂に振り回されない余裕が感じられ、信頼感があるという。

この人だったら親身になってくれる、と思える人を選びたい。友人や同僚、SNSで良くやり取りする「顔が見える」人なども良いかもしれない。

フェアでバランスの取れた人間関係を

最近「落ち着かない」「上司がまた変わるから」と、あきらめたように話す社会人に出会うことが多い。

日本では「やる気のない社員」が70%に達したという。(出所:日本経済新聞 米ギャラップ社調査) 社会や企業で感じる不安や閉塞感、早いスピードで度々起こる制度の変化に疲れてしまったのだろうか。

多様性が尊重される社会でも、多くの社員が依然として「受け手」のままでは、他人に振り回されてしまい、一体誰のための多様化なのか、わからなくなってしまう。

新年度が始まる少し前、今は別の会社に勤務する元の上司と、ある会議で一緒になった。「最近どう?」といったたわいもない話をしていたのだが、会場を出てエレベータまで見送ると、別れ際に「一番大切なのはここだよ」と言って胸を指差した。

それは、自分の心の健康が大切だ、という意味でも、相手への思いやりを持つように、というメッセージでもあるようだった。

人間関係の悩みや問題は「いつ自分の身に降りかかるかもしれない」自分の問題と考えてもいいのではないだろうか。

誰もが人間関係の「崖」から落ちる可能性がある、だからこそ、フェアでバランスの良いコミュニケーションと人間関係を、社会と企業に根付かせていく必要があるだろう。

大友 幸
日本再建イニシアティブ 
主任研究員、広報担当

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