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「床一面が血の海だった。」 パリのテロ現場、生き残った女性が語る当時の状況

By - grape編集部  公開:  更新:

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写真はイメージです。

2015年11月13日、フランスで起こった同時多発テロ。この事件から生き残った20代の女性が、自身のSNSで当時の状況を綴りました。

女性は、今回のテロ事件で90名近くの犠牲者を出した「バタクラン劇場」で被害にあいました。

このとき現場で何が起こっていたのか、そして何を思ったのか。彼女が公開した全文を掲載します。(実名、アカウント等は現在非公開です。)

もう二度と動くことのない人々の中で、死んだふりをしました。

まさかこんなことが起こるなんで、誰が想像したでしょうか。

あの悲劇が起こったのは、普通の金曜の夜のこと。私はロックグループのライブに来ていました。みんなで踊って笑って楽しんで、会場はとてもいい雰囲気だったのに…。

突然、入口から人が入ってきて銃を撃ち始めたのです。最初観客たちは、その銃撃を「ショーの一部」だと思っていました。


あそこで起きたのは単なるテロではありません。大量虐殺です。私の前で多くの人が撃たれ、床一面が血の海になりました。

私は震える体を必死で抑え、もう二度と動くことのない人々の中で、一時間死んだフリをし続けました。

あの小さな会場に響き渡ったのは、倒れた彼女を抱きしめ泣き叫ぶ男性の声。あの日、多くの人の「明日」が滅び、犠牲になった方々の家族の心は絶望へと落とされました。

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あの日見た悪魔のような残影たちは、一生私に付きまとうことでしょう。

私は息をひそめて、動かないように、そして泣かないように必死でした。銃を向けた男たちへの「恐怖」を表に出さないように。

私が今ここに生きていることは奇跡です。あの場にいた多くの人に、その奇跡が訪れなかった。その人たちと私には何の違いもなく、ただ金曜日の夜を楽しんでいただけ。

この世界はあまりにも残酷です。あの日見た悪魔のような残影たちは、一生私に付きまとうことでしょう。

でも、生き残ったからこそ、あの場にいた英雄たちのことを伝えることができます。

この事件で出会った英雄たち

私を励まし、自分が盾になって、泣いている私の頭を守ってくれた男性。

最後の最後まで愛を語り合い、「こんな世界でも必ず素晴らしいものはある」と教えてくれたカップル。

友人は、血まみれになった服の代わりに着替えを買ってきてくれて、嘆き悲しむ私を慰めてくれたのは見ず知らずの人たちでした。

他にも、たくさんの人の命を救ってくれた警察官たち。生存者を自分の家に招き入れた女性。

そして私たちに優しいメッセージを送ってくれた皆さん。この事件で出会った英雄たちは、「世界はもっといい場所になれるはずだ」と思わせてくれました。

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ごめんなさい…でも、これだけは言えます。

命を奪われた人々、そして行き場のない悲しみと怒りに苦しむ仲間や家族。

ごめんなさい、私にはその苦しみをどうしてあげることもできません。

ただひとつ言えるのは、犠牲になった人々の最期は愛する人々の心が共にあったということです。

なぜなら私が「もうすぐ殺される」と思ったとき、心に思い浮かべたのは、この事件を引き起こした男たちのことではなく、愛する人々だったからです。

私がどれだけ愛しているかを知ってほしかったのです。

私は血の海に横たわり、短かった22年の人生へ、鉄の塊がとどめをさすのを待っていました。

そのとき私の心を支配していたのは、恐ろしい男たちではなく、今まで愛してきたすべての人々でした。

大切な人たちの顔が次々と浮かび上がり、私はそのひとりひとりに「愛してる」と囁き続けました。私がどれだけ愛しているかを知ってほしかったのです。

そして私がどうなっても、人の善意を信じることを諦めないでほしいと願いました。多くの命を奪った悪魔たちの思い通りにさせてはならないと…。


この事件で、多くの人の人生が変わりました。しかし、悲しみや怒りが渦巻く世界でも、必ずどこかに希望はあります。

私はあなたたちを決して忘れません。安らかにお眠りください。

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事件が経ってまだ日も浅く、思い出すのも辛いことだったと思います。しかしこの女性は、「生き残ったものとして伝えなければいけないことがある」と、勇気を出して想いを綴りました

この投稿に対して、「なぜテロが起こったのか考えて」「世界中には報道されないだけで、もっとたくさんの人が被害にあっている」などの言葉を投げかける人もいました。

ですが、どんな原因や問題があるにせよ、命ある人々の「明日」を奪う権利はありません。

彼女が勇気を出して伝えたかった想い。ひとつひとつの言葉を真摯に受け止め、身近にいる大切な人を愛することが、いま私たちにできる一歩なのかもしれません。

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