保育士さんの1日 「私たちは保育のプロです。そして私たちも人間なんです」 By - grape編集部 公開:2015-12-11 更新:2017-07-18 保育園保育士子ども Share Tweet LINE コメント 2015年12月4日、厚生労働省は保育士不足改善のため、「保育士資格のない人でも、条件を満たせば子供の世話をできるようにする」という省令改正を発表しました。 その発表を受けて、現役保育士や保育士志望の人々、子供を預ける保護者からも反対意見が続出。 中でも、現場で働く保育士さんが投稿した『保育士の1日』に、「こんなに大変だなんて知らなかった」「保育士さんに対する理解が不足していた」「国の上に立つ人たちにも見てほしい」など、多くの反響を集めました。 保育士の1日 その投稿はこんな言葉から始まります。 「保育士の資格を持っていても、現場に出て来られない人がいます。それは過酷な労働の実態と、それに見合っていない給与体系にあると思うのです」 ※このツイートは、あくまで私の一個人の意見です。 そこに記されていた保育士さんのある1日は、想像以上に過酷なものでした。 1日の始まり 朝9時から勤務予定だとしたら、まずはその時間に仕事が始められるようにします。 その日が制作の日だとしたら、折り紙一つ折るにも人数分の折り紙と用具を準備が必要。10分やそこらで終わる作業ではないので、前日に用意するか、もし無理であれば就業時間前に来て準備しなければいけません。 こどもたちが来る前にその準備を終えて、そこから1日が始まります。 お昼時間は5分もない お昼の時間は、一人で食べられないこどもに食べさせながら、アレルギーのある子も気にしつつ、ひっきりなしにある「おかわり」の声に動きっぱなし。 実質、自分が食べている時間なんて5分もありません。 お昼寝の時間=休憩ではない こどもたちのお昼寝時間が一部休憩の時間とされていますが、20人以上いるこどもたちが一度に全員寝てくれる訳ではないので、一人ずつ寝かせます。 寝かせ終わったら、あっという間に会議の時間。その前にクラスノートや個別ノート、保護者向けのものを仕上げて会議へ。 会議が終わればこどもの起床時間で、お茶を一口飲むことも、トイレに行くことさえも慌ただしく済ませて保育に戻ります。 お迎えの時間 それから午後の保育をして、お迎えの時間。 親御さんたちに「今日はこんなことがあって〜」とお子さんのご報告をして、時には「お母さん髪切ったんですね!」なんてコミュニケーションも。 こういうちょっとした一言だったり気遣いが大切。仕事に疲れた親御さんに心を開いてもらうのも大事なお仕事なのです。信頼してもらって初めてこどものことを腹割ってお話できるので。 もちろんサービス残業 自分の勤務時間が終わっても、事務所に戻って日誌を書かなければいけません。この時点でサービス残業決定。 日誌はその日の出来事を書きますが、それ以外にも月の書類や、加配児(療育手帳を持っている子、他の子たちと同じように保育園の生活を送ることが難しい子)の書類、個別ノート(これが一番時間がかかる)も書かないといけない。 他にも、その日こどもたちが制作した作品を仕上げたり飾りつけたりして。明日の準備まで全部してからやっと保育園での1日が終わります。 でも、閉園時間ギリギリまでやっても終わらないことがほとんどなので、結局持ち帰ってお仕事が常習化しています。 お給料はスズメの涙ほど そんな過酷な毎日の繰り返しで、もらえるお給料はスズメの涙ほど。 子供の命を預かる仕事なのに、世間様からは「こどもと遊んで給料もらえるなんて楽な仕事でいいね〜」なんて言われることも。 こういうこと言う人には一度、何十人も相手に全力で鬼ごっこしてみてほしい。平気で蹴ってきたりする子もいるし、叱るって体力いるんです。 「こんなんじゃやってられない!」 理解のない言葉を、旦那様やお姑様に言われた日には、もうこの仕事は続けられません。我が子の子育てしながらなんて、とてもじゃないけど無理です。 資格を持っていようが、保育士不足と言われようが、どんなにこどもが好きでも、「こんなんじゃやってられない!」っていうのが本音。 だから保育士が足りないのは、保育の仕事をしたくても諦めるしかない労働実態があるからなんです。 これが保育士さんの1日。 休む暇なく働いて、それに見合った給料がもらえず、やむなく辞めてしまう人がいるのも頷けます。 さらに「無資格の人も保育できるようになる」なんて言われた日には、怒りを通り越して意気消沈してしまうのではないでしょうか。 投稿者さんは現状を踏まえた上で、「もし無資格の人が保育の現場に入ってきたらどうなるのか」を現場の目線から伝えてくれました。 次ページ:もし無資格の人が保育の現場に入ってきたら… 次のページへ 1 2 Share Tweet LINE コメント
2015年12月4日、厚生労働省は保育士不足改善のため、「保育士資格のない人でも、条件を満たせば子供の世話をできるようにする」という省令改正を発表しました。
その発表を受けて、現役保育士や保育士志望の人々、子供を預ける保護者からも反対意見が続出。
中でも、現場で働く保育士さんが投稿した『保育士の1日』に、「こんなに大変だなんて知らなかった」「保育士さんに対する理解が不足していた」「国の上に立つ人たちにも見てほしい」など、多くの反響を集めました。
保育士の1日
その投稿はこんな言葉から始まります。
「保育士の資格を持っていても、現場に出て来られない人がいます。それは過酷な労働の実態と、それに見合っていない給与体系にあると思うのです」
※このツイートは、あくまで私の一個人の意見です。
そこに記されていた保育士さんのある1日は、想像以上に過酷なものでした。
1日の始まり
朝9時から勤務予定だとしたら、まずはその時間に仕事が始められるようにします。
その日が制作の日だとしたら、折り紙一つ折るにも人数分の折り紙と用具を準備が必要。10分やそこらで終わる作業ではないので、前日に用意するか、もし無理であれば就業時間前に来て準備しなければいけません。
こどもたちが来る前にその準備を終えて、そこから1日が始まります。
お昼時間は5分もない
お昼の時間は、一人で食べられないこどもに食べさせながら、アレルギーのある子も気にしつつ、ひっきりなしにある「おかわり」の声に動きっぱなし。
実質、自分が食べている時間なんて5分もありません。
お昼寝の時間=休憩ではない
こどもたちのお昼寝時間が一部休憩の時間とされていますが、20人以上いるこどもたちが一度に全員寝てくれる訳ではないので、一人ずつ寝かせます。
寝かせ終わったら、あっという間に会議の時間。その前にクラスノートや個別ノート、保護者向けのものを仕上げて会議へ。
会議が終わればこどもの起床時間で、お茶を一口飲むことも、トイレに行くことさえも慌ただしく済ませて保育に戻ります。
お迎えの時間
それから午後の保育をして、お迎えの時間。
親御さんたちに「今日はこんなことがあって〜」とお子さんのご報告をして、時には「お母さん髪切ったんですね!」なんてコミュニケーションも。
こういうちょっとした一言だったり気遣いが大切。仕事に疲れた親御さんに心を開いてもらうのも大事なお仕事なのです。信頼してもらって初めてこどものことを腹割ってお話できるので。
もちろんサービス残業
自分の勤務時間が終わっても、事務所に戻って日誌を書かなければいけません。この時点でサービス残業決定。
日誌はその日の出来事を書きますが、それ以外にも月の書類や、加配児(療育手帳を持っている子、他の子たちと同じように保育園の生活を送ることが難しい子)の書類、個別ノート(これが一番時間がかかる)も書かないといけない。
他にも、その日こどもたちが制作した作品を仕上げたり飾りつけたりして。明日の準備まで全部してからやっと保育園での1日が終わります。
でも、閉園時間ギリギリまでやっても終わらないことがほとんどなので、結局持ち帰ってお仕事が常習化しています。
お給料はスズメの涙ほど
そんな過酷な毎日の繰り返しで、もらえるお給料はスズメの涙ほど。
子供の命を預かる仕事なのに、世間様からは「こどもと遊んで給料もらえるなんて楽な仕事でいいね〜」なんて言われることも。
こういうこと言う人には一度、何十人も相手に全力で鬼ごっこしてみてほしい。平気で蹴ってきたりする子もいるし、叱るって体力いるんです。
「こんなんじゃやってられない!」
理解のない言葉を、旦那様やお姑様に言われた日には、もうこの仕事は続けられません。我が子の子育てしながらなんて、とてもじゃないけど無理です。
資格を持っていようが、保育士不足と言われようが、どんなにこどもが好きでも、「こんなんじゃやってられない!」っていうのが本音。
だから保育士が足りないのは、保育の仕事をしたくても諦めるしかない労働実態があるからなんです。
これが保育士さんの1日。
休む暇なく働いて、それに見合った給料がもらえず、やむなく辞めてしまう人がいるのも頷けます。
さらに「無資格の人も保育できるようになる」なんて言われた日には、怒りを通り越して意気消沈してしまうのではないでしょうか。
投稿者さんは現状を踏まえた上で、「もし無資格の人が保育の現場に入ってきたらどうなるのか」を現場の目線から伝えてくれました。
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