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「みんな息子のようなもん」スポーツ選手が今も足繁く通う寿司屋 大将の笑顔にひかれて

By - ニッポン放送  公開:  更新:

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格子柄の戸をガラリと引くと

「へい、らっしゃい!」

活きのいい親父さんの声がひびきます。

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ほのかに漂う焼き海苔と酢飯の香り…。大好きなお寿司屋さんがまた一軒、できました。

小田急相模原駅から歩いて3分、寿司処「六ちゃん」です。カウンターの10席に小上がりの座卓が3卓、大きすぎず小さすぎず、実にしっくり来る店内です。

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道路を隔てた向かい側は、神奈川県座間市。ご主人の紅林(くればやし)秋男さんが、そこに「六ちゃん」を開店したのは、50年前の昭和42年10月27日、まだ23歳のときでした。

折しも台風27号が接近中で、お客様は無し!「いろんな店を手伝ったけど、こんなに暇な開店は初めてだよ」応援に駆けつけてくれた仲間はあきれて、そうつぶやいたそうです。

けれども、周りの人に支えられ励まされながら、その地で11年…。紅林さんが道路のこちら側=相模原市に鉄筋3階・地下1階の店舗を構え、これまでと同じ「六ちゃん」の看板を掲げたのは、35歳のときでした。

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こんなに順調な成長を遂げることが出来たのも、中学を卒業してから、熱海、築地、向島…と、一流店がひしめく味どころで修業を重ねた確かな腕があったから。そして、もう一つ。ご主人の人柄のおかげです。

カウンター奥の棚にズラリとぶら下っている寿司ネタの黒い木札。その上に、これまたズラリと並んでいる写真と色紙は、笑顔のご主人と一緒に写っているアスリートたちとそのサインです。

店に貼ってある有名人のサインを好まない人もいるようですが、「六ちゃん」のサインの主の顔ぶれは、誰もが納得のラインナップです。

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ロサンゼルスオリンピックのゴールドメダリスト、山下泰裕さん。シドニーオリンピックのゴールドメダリストで、開催中のリオデジャネイロオリンピック男子柔道の監督、井上康生さん。先日、7階級全てでメダル獲得という初めての快挙に涙していました。

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リオオリンピック100㎏級の銅メダリスト、羽賀龍之介選手もいます。

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柔道だけではありません。プロ野球読売ジャイアンツの原辰徳・前監督。

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そして、菅野智之投手もいます。

カンのいい方は、もうお気づきでしょう。このサインの主たちはすべて、東海大相模高等学校の卒業生!学校への通学路にある「六ちゃん」の元常連たちなのです。

運動部員が、気のいい親父さんやおかみさんの店に通うというのはよく聞く話。けれども、その店がラーメン屋さんや洋食店さんではなく、お寿司屋さんというのは、珍しいケースです。

「六ちゃん」のご主人、紅林秋男さんは振り返ります。

「モリモリ食べる子は、いい選手になります。強くなるんです。原さんの好物は、にぎり寿司5~6個分の飯を巻いた鉄火巻!彼がスターなっていく中で、それは『たつのり巻』と呼ばれました。」

「六ちゃん」には名物がもう一つ…。新鮮な魚介類をふんだんに盛った「おまかせ丼」1,100円也。

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利益は度外視!東海大相模の運動部員は、ご飯の量が3倍になり、値段は500円という特典があります。

「みんな息子のようなもんです。一流になる選手は、原石のときから一流。それを見極めるのが楽しみであり、私の誇りです。この店が50年続いてきたのも、子どもたちのおかげなんですよ。」

親父さんの笑顔が、ひときわ明るく輝きました。

2016年8月17日(水) 上柳昌彦 あさぼらけ あけの語りびと より

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出典
モリモリ食べる子はいい選手になります。みんな息子のようなもんです。 「あけの語りびと」(朗読公開)

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