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開店は夕方5時から 文房具だけではない『何か』が見つかる店

By - ニッポン放送  公開:  更新:

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夕方、たそがれ時になると、明かりがともる~といいますと、呑み屋さんの赤ちょうちんを連想されるかたが多いと思います。

ところが、今日ここでご紹介するのは、文房具屋さんなんです。

もれ出る灯りで可愛いお店の雰囲気が伝わってきます(ぷんぷく堂 facebookより)

月・火と木・金・土の5日間、千葉県市川市の京成本線の線路沿いにある文房具店『ぷんぷく堂』は、夕方5時に開店するという珍しいお店です。

第1日曜日と祝日だけは特別、正午から夜7時までの開店。

ぷんぷく堂店主の桜井有紀さん

大人が4~5人でいっぱいという『ぷんぷく堂』の店内に並んでいるのは、店主の桜井有紀(ゆき)さんが、自分のセンスや好みで選んで仕入れてきたおよそ600種類の文房具たちです。

大好きな文房具に囲まれているお店を開くのは、有紀さんの若いころからの夢だったといいます。

2人のお子さんの子育てを終えて、次の人生を考え始めた時、すぐに思い浮かんだのは、文房具屋さんでしたが、当時の有紀さんは、お姉さんが経営する雑貨屋の貴重な戦力でした。

「だったら、夜に開く店しかできないな」

そう割り切って、2012年の春、夜7時開店の『ぷんぷく堂』をオープンしたのです。

びっくりするほどいろいろな鉛筆が並んでいます(ぷんぷく堂 facebookより

鉛筆、消しゴム、糸で綴じたノート、メモ帳、便箋、ポチ袋、有紀さんが自分の目で選びに選び抜いた商品が、およそ600点。

その多くは、陳列されているのではなく、引出しの中に収められています。

お客様は、自由に引出しを開けて、思わずニッコリほほえんだり、小さな驚きの声をあげたり…。

「いまのお店の陳列は見せるというより、見せられているという感じですよね。それよりも、自由に引出しを開けて、宝探しのように楽しんで欲しいんです」

こう語る桜井有紀さん…。その店内の収納力は素晴らしいもので、鉛筆だけでも国産からアメリカ製、ドイツ製…と、200種類。

中には、『ぷんぷく堂』のオリジナル、最初から使いやすい長さの『半分鉛筆』もあります。

ぷんぷく堂オリジナルの「半分鉛筆」(文具道HPより ぷんぷく堂HPより

桜井有紀さんは、7年ほど前のある日、ネットオークションで昭和30年代の『ヨット鉛筆』を見つけました。濃いピンクとグリーンに真っ白なストライプという斬新なデザイン!

(世の中には、こんなステキな鉛筆があったんだ!)

有紀さんが、いろんな鉛筆を集め始めたのは、この時からでした。

デザイン、重さ、太さ、シンの濃さ、書き心地、消し心地…。深~い『鉛筆愛』に目覚めた有紀さんと想いを同じくするお客様は少なくないようです。ある十代の茶パツの女の子は、いったそうです。

「エンピツを選ぶって、花を摘むみたいだね!」

花を摘むように選べる店内ディスプレイ(ぷんぷく堂 facebookより

有紀さんは、おっしゃいます。

「うちは、大型店やネット販売のように何でも揃う便利な店ではありません。けれど、文房具だけではない『何か』が見つかる店でありたいと思います」

有紀さんのこうした想いは、少しずつ実を結んでいます。

「日本文具大賞デザイン部門」グランプリ受賞「ぷんぷく堂 道具箱 あなたの小道具箱」(Amazonより

ぷんぷく堂 あなたの小道具箱【紺色の平ゴム付き】 (文具道HPより

9月5日まで、伊勢丹新宿本店5階で開催中の『文具道@ISETAN』には『日本文具大賞デザイン部門』でグランプリを受賞した『ぷんぷく堂』のオリジナル文具『あなたの小道具箱』が、4色並んでいます。靴の底や家具などに使われる工業用の紙『パスコ』で作った丈夫な箱は、50年はもつといわれています。

『ぷんぷく堂』に入ってきた若い母親は、すぐに子どもより夢中になり「そういえば小さいころ、文房具屋さんに行くのが好きだったなぁ」と、昔の自分を想い出したそうです。母と子が同じ目線で楽しめる店…。

「並んで帰る後ろ姿は、母と子というより姉と妹みたいでした」

と有紀さんは、嬉しそうに振り返ります。店の壁の柱時計が鳴る音を聴いて、「おばあちゃんちに来たみたい」と笑った高校生。「人恋しい時、ここに来るのかな」とつぶやいた20代の女性。長時間、商品の一つひとつを見つめてくれた文房具フリークの男性。

人と文房具が出会い、そのぬくもりが生まれる夜…。

『ぷんぷく堂』の閉店は、夜10時です。

夕方5時からユルく開いている文具店・ぷんぷく堂(ぷんぷく堂HPより

2017年8月30日(水) 上柳昌彦 あさぼらけ あけの語りびと より

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出典
ぷんぷく堂・文房具だけではない「何か」が見つかる店

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