その仕事、“作業”になってない? 中堅社員が“ナゾの無気力”から脱出するのに必要なこと

特集「『やる気をコントロール』できたらいいのに…」第3回

ホウドウキョク 3 Lines Summary

  • “呪い”にかかった中堅社員は、「仕事」ではなく「作業」をしている
  • 仕事に目的を与えるのは、自己成長と誰かの幸福
  • 転職を繰り返す“ジョブホッパー”は、成長産業に挑戦すべし

去年まではやる気満々だったのに、仕事に慣れてきたらなんとなく頭がぼんやり。デスクに向かっても集中力は維持できないし、フレッシュだった新人時代が懐かしい…。働きざかりの中堅社員たちが、そんなモチベーションの停滞期に悩まされている。

明確な原因も自覚できないというのだから、まるでなにかの“呪い”のようだ。そんな無気力を克服し、働く男として蘇るためにはどうすればいいのか。『5人のプロに聞いた!一生モノの学ぶ技術・働く技術』(有斐閣)の著者であり、人材開発の専門家であるFeelWorks代表の前川孝雄氏に打開策を聞いた。

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前川孝雄氏

“呪い”にかかった中堅社員は、「仕事」ではなく「作業」をしている

多数の人材育成・組織開発の講師を擁し、大企業をはじめとする300社以上にメスを入れてきた前川氏。“呪い”にかかってしまう中堅社員の共通点は、「仕事」ではなく「作業」をしていることだと指摘する。

仕事と作業は、完全に別物です。仕事には必ず『目的』があります。そして、目的を実現するために知恵を絞り、工夫する行為こそが仕事なのです。一方、作業には目的がありません。自分の業務が最終的に誰のもとに届き、どんな価値を生むのか。それを実感できないままマニュアルを渡され、管理されている状態です」(前川氏、以下同)

作業をこなす毎日では働きがいは感じられない。それでも新人時代なら、業務を覚えなければならない使命感からモチベーションを保てただろう。だが、中堅に差しかかるとそんな緊張感は解けてしまう。

「目的と目標を分けていないのも問題です。目的は『目指す的(まと)』と書く。お客様にこんな未来を届けたいというような、実現したいゴールイメージのことを指しています。対する目標は、いわば目印。目的から逆算し、そこにたどり着くためのチェックポイントとして設定するものです。

日本企業の多くは、目標管理だけを徹底するという“呪い”にかかっています。たとえば営業職なら、売上目標をクリアするべく行動をガチガチに管理される。一日何件の営業電話をかけろ、などですね。裁量がないから工夫も生まれず、働いている意味がわからなくなります。人のやる気に火をつけるのはあくまで目的なので、まずは目標だけ管理されている状態を改善しなければなりません

仕事に目的を与えるのは、自己成長と誰かの幸福

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目的を取り戻すまで“呪い”のスパイラルは終わらない。しかし、これまで作業に追われてきた中堅社員が、改めて目的を見つけるのは骨が折れそうだ。重要なのは2つのビジョンを持つことだという。

1つは、この業務を通じて誰を喜ばせたいのか。もう1つは、どんな姿に自分が成長したいのか。この二つのビジョンを鮮明に思い描いてください。そのイメージこそが仕事の目的になります」

大企業の社員の場合、事業部が細分化され、社外との接点が少ない部署や担当も多い。そのため「誰を喜ばせたいのか」が疎かになりやすいと前川氏は指摘する。しかし、解決策はじつにシンプルだ。

「最短の解決策は、上司に『この仕事の目的を教えてください』と尋ねること。デキる上司なら快く答えてくれると思いますよ。課長層の9割はプレイングマネージャーなので、忙しくてやむなく『この仕事やっといて!』と丸投げしているのが本音でしょうからね。

回答を聞いて咀嚼したら、次に『それならこんなやり方もできるのでは?』と改善策を提案しましょう。もし裁量を勝ち取ることができれば、業務に工夫の余地が生まれ、働きがいを持って仕事に打ち込めるようになります

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一方で、「自分のやりたいことがわからないから、自己成長のビジョンも浮かばない」というケースもありそうだ。

「やりたいことを見つけるコツは、遠い目的ばかりを考えないこと。十年先の未来なんて誰にもわかりません。まずは目先の2~3年間、なにを目指すのかを考えましょう。どんな瞬間が楽しかったのか、どんな人と働いたときにワクワクしたのか、ヒントは過去2~3年間のどこかに眠っています。そしてまた数年後、達成した目的の延長線上に新たな目的を再設定するのがベストです。

とはいえ、やりたいことが見つからなくても大丈夫。それが普通ですからね。日本の就活は短期戦なので、じっくり考える時間もないまま自己分析、業界研究、面接とベルトコンベアのように進みます。多くの人が、本当に自分がやりたいことを知らないまま社会人になるか、短期間で見つけた“まやかし”の目的に囚われているのが実情です。それこそ“呪い”みたいにね。

キャリアの語源は轍(わだち)である、という説があります。轍とは、馬車の通った道にできる車輪の跡のこと。『自分がなにをやりたいのか』は轍と同じで、さまざまな経験を経てふと振り返ったときに見つかるものです。だから肩肘張らずに、純粋に自己成長を楽しめばいいと思いますよ」

転職を繰り返す“ジョブホッパー”は、成長産業に挑戦すべし

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また、モチベーション低下から転職を繰り返す「ジョブホッパー」も後を絶たない。自分の輝けるフィールドを追い求めるのは当然との見方もあるが、前川氏は人間関係による転職には慎重な姿勢だ。

「転職を考えるのは問題ありません。上司に尋ねるなどしても目的が見えず、会社にいても自己成長、価値の提供が見込めないなら残るべきではないでしょう。しかし実際は、『上司や先輩と反りが合わない』などの人間関係が退職の引き金になっているケースがほとんど。好きな人とだけ働ける環境は存在しないから、転職先でも同じ問題を繰り返す懸念は拭えません。

今の仕事の延長線上に、本当に自分の提供したい価値はないのでしょうか。もしなければ、積極的に転職するべきだと私は思います。国も最近、停滞産業から成長産業へと人材が移るように仕組みを見直している。挑戦できる土壌が整いつつあるのは確かです」

多くの“呪い”がはびこるこの国にも、ようやく挑戦者を後押しする風が吹きはじめている。将来化ける可能性のある成長産業へと転職していくジョブホッパーに、前川さんはエールを送る。

「私は以前リクルートに勤めていましたが、30年近く前の入社時には周囲から猛反対されました。当時は『リクルート事件』もあり、大炎上している時期でしたからね。悩みましたが、成長できる環境と信じて思い切って入社。その後は運もありました。会社は急成長を続け、その上昇気流に乗って多くの経験を積むことができました。

成長産業への転職は賭け。ですが、リスクヘッジばかりしていてはリターンは得られません。人生の価値を見出せない職場で守りに入るくらいなら、成長産業に飛び込んでチャレンジしてほしいですね

取材・文=佐藤宇紘

<識者プロフィール>
前川孝雄氏
「コミュニケーションが人と組織を変える」がスローガンの人材育成専門家集団(株)FeelWorksグループ創業者、(株)働きがい創造研究所代表。大阪府立大学卒。独自開発した「上司力研修」「人を活かす経営者ゼミ」などを通じて300社超の人材開発を支援、青山学院大学でも教鞭を執る。著書に『上司の9割は部下の成長に無関心』『「働きがいあふれる」チームのつくり方』などベストセラー多数。最新刊は『5人のプロに聞いた!一生モノの学ぶ技術・働く技術』(共著・有斐閣)

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出典
その仕事、“作業”になってない? 中堅社員が“ナゾの無気力”から脱出するのに必要なこと

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