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更生保護施設の青年を無料でカットする理容師 師匠を坊主にさせた苦い経験を胸に

By - ニッポン放送  作成:  更新:

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毎週土曜日朝8時から放送しているニッポン放送『八木亜希子LOVE&MELODY』。

10時からは『10時のグッとストーリー』として、番組が取材した「聴いて思わずグッとくるGOODな話」を毎週お届けしています。

きょうは、更生保護施設にいる若者の髪を無料でカット。話を聞いてあげて、温かく励ましている理容師さんの、グッとストーリーです。

神田駅西口から、歩いて5分ほどのところにある理容店「髪to(かみと)」。

店舗外観

サラリーマンや年配の客から若い層まで、いつも賑わいを見せている「街の床屋さん」ですが、営業時間が終わったあと、このお店にやって来て、髪を切ってもらう若い人たちがいます。彼らは、刑務所や少年院を出所した後、帰る場所がなく、自立を支援する更生保護施設に入っている20歳前後の青年たちです。

「実は、僕も高校生のとき、鑑別所に入ったことがあるんです」と告白するのは、『髪to』のマスター・村上隼(むらかみ・はやと)さん・40歳。

『髪to』マスター・村上隼さん

5年前から、閉店後のお店に、更正施設から来た若者たちを受け入れ、無料でヘアカットを行っている村上さん。髪の毛を切りながら、彼らの身の上話をじっくり聞いてあげた上で、自分の過去と、そこからどうやって立ち直り、自立していったかを話して、励まします。

村上さんは4歳のときに両親が離婚。母親が子ども3人を引き取り、昼夜働いて生活を支えました。しかし、村上さんは中学から非行に走り、高校3年生のとき、集団で乱闘事件を起こし鑑別所へ…。

「出席日数も足りないし、卒業は無理だな」と覚悟していましたが、鑑別所を出た後、夏休み中に、担任の先生から電話がかかってきました。「村上、あすから学校に来い!」。

行ってみると、職員室に机が一つ置いてあり、夏休みの間、村上さんのために先生たちが毎日交代で補習授業をしてくれたのです。それを出席日数に足してもらうことで、村上さんは何とか高校を卒業。後に村上さんは、母親が毎日、学校へ謝りに行っていたことを知らされます。

「自分には、支えてくれる人たちがいる。この人たちを二度と悲しませるわけにはいかない」

村上さんは、子どもの頃からの夢だった理容師になることを決意。「理容界の東大」と呼ばれる専門学校で猛勉強した後、「日本でいちばん厳しいサロンへ修業に行かせてください」と学校に頼み込み、紹介してもらったのが、蒲田の理容店「アドバンストヘアー ナカタニ」でした。

マスターの中谷人志さんは、弟子たちにまず、店の前の道路掃除から始めさせます。

「いつもこの道を使わせてもらっているんだから、きれいにするのは当たり前だ」。

そして弟子たちがミスをしたときも、口先で叱るのではなく、どうすべきかを自ら行動で示すのが、中谷さんの指導法です。あるとき、理容の技術を競う全国大会に、東京代表で村上さんたちが出場したとき、うっかり集合時間を勘違いし、大事な会合に遅れたことがありました。

「そのことを帰って報告したら、先生は黙ってバリカンを手にして、自分の頭を丸めたんです。一生、この人に付いていこう、と思いました」。

村上さんたちも丸刈りにして、迷惑を掛けたところへ謝りに行きました。

俺に恩返ししなくていい。社会へ恩返し出来る人になりなさい

出典
更正施設の青年たちの髪を無償でカットしながら自立を支援する理容師さんのストーリー

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