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祖母がストーブの上で煮込んだ鍋「お火が遊んでいますよ」その言葉が懐かしい

By - 産経新聞  作成:  更新:

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産経新聞大阪版、夕刊一面で毎日連載中。一般の方から寄せられた600字のエッセー『夕焼けエッセー』。

さまざまな年齢、職業の人々がつづった等身大のエッセーをご覧ください。

石油ストーブ

石油ストーブは煤(すす)でくすぶるよね、とここ何年かはガスストーブとエアコンで冬を過ごしたが、やはり災害時に備えなくては、と夫が石油ストーブを買ってきた。

結婚したときは、夫の母や祖母との同居だったので、毎日のように煮物や佃煮を作っていた。古ぼけたストーブの上には必ず鍋かやかんがのっていた。

「お火が、遊んでいますぞね」

ストーブになにものっていないと、その火力がもったいなかったのだろう。明治生まれの祖母はストーブのそばで、いつもやきもきしていた。

昔の主婦は節約第一!で、お風呂に水を溜めるのもポツンポツンと滴らせたら、水道メーターが動かない、と本気で信じていたくらい。

「お火」とわざわざ“お”をつけるところが奥ゆかしい。きっと火も水も大事にしていたのだろう。

ストーブで1日煮ると、大根もお芋もしっかり味が染みる。湯気とコトコトいう音のためか、ゆっくり時間が流れる。

いつも忙しい仕事が休みの雨の日、こんな過ごし方も久しぶりにいいね、と急な冷え込みに感謝した。

大阪府 58歳

産経新聞 2017年11月24日 ーより

[提供/産経新聞 ・ 構成/grape編集部]

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