grape [グレイプ]

「うちの子は美人犬!」にぎやかに写真を選ぶ親子 そこには寂しい理由が

By - 産経新聞  作成:  更新:

Share Tweet LINE

※ 写真はイメージ

産経新聞大阪版、夕刊一面で毎日連載中。一般の方から寄せられた600字のエッセー『夕焼けエッセー』。

さまざまな年齢、職業の人々がつづった等身大のエッセーをご覧ください。

愛犬カレンダー

初めて、オリジナルの愛犬カレンダーを注文した。表紙を含めて13枚の写真を選び、レイアウトを決めて、ネットで注文するものだ。飼い主バカを承知で言わせていただくなら、愛犬はなは、なかなかの、いや、かなりの美人犬である。

長女と二人で、写真を選んだ。こっちがいいよ、やっぱりこれかな、うちのはなはかわいいね、と、きゃっきゃ言いながらの楽しいひと時であった。夫に抱っこされて迷惑そうだったり、庭の草花に気持ちよさそうに埋もれていたりと、どの写真もベストショットである。

しかし、悲しいことに、この写真がこれから先、増えることはない。昨年10月に、治療法のない遺伝性の病気で息を引きとった。15歳だった。私たち家族にとっては、15年共に暮らし、そこにいるのが当たり前の存在だった。最後の半年は寝たきりであった。マットの上に横たわっていた。少しずつ弱っていく姿は辛かったが、苦しまずに穏やかに息を引きとった。

今でもマットは、そのまま置いてある。はなだけがいない。そのことをまだ受け入れられずにいる。こんなにもはなに癒やされていたのだと改めて思う。

犬は人間よりずっと寿命が短い。限りある命と分かっていても、これほど寂しいものだとは思っていなかった。はながいないというその空虚さを、カレンダーで少しでも埋めようとしているのかもしれない。はな、ありがとう。時が少しずつ和らげてくれるのかもしれないが、しばらくは、この悲しさを素直に受け入れようと思う。

愛犬カレンダーが届くのが、待ち遠しい。

滋賀県 58歳

産経新聞 2018年01月23日 ーより

[提供/産経新聞 ・ 構成/grape編集部]

Share Tweet LINE