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障がい者等用駐車場に停めた若い女性 男性が正義のつもりでにらみつけると

By - 産経新聞  作成:  更新:

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産経新聞大阪版、夕刊一面で毎日連載中。一般の方から寄せられた600字のエッセー『夕焼けエッセー』。

さまざまな年齢、職業の人々がつづった等身大のエッセーをご覧ください。

「正義のつもり」

家人を迎えに行ったときに、こんな光景を目にした。年末の買い物客でデパートは混んでいて、駐車場の空きスペースを探すのに苦労した。

店の入り口に立っていると、目の前に赤い車が来て、車椅子のマークの場所に止まった。車から降りてきたのは若い女性。健康そうで、とても手足が不自由とは思えない。

そこに中年夫婦が通りかかった。遠くに車を止めて、ここまで歩いてきたのだろう。男性はその場に一瞬立ち止まり、彼女に何か言いかけたが、妻に制止されたらしく、思いとどまった。そして彼女の顔をまじまじと見て、にらみつけながら、店内に消えた。彼女は、ばつが悪い様子で、その場に立ち尽くしていた。

しばらくして、初老の女性が店から出てきた。杖をつき、上体を左右に揺らせて歩いてくる。若い女性は、その初老の女性を介助して車に乗せ、ゆっくり駐車場を出て行った。

あの男性が彼女をにらんだのは、きっと「正義のつもり」だったのだろう。しかし…。

大量殺人を英雄視した戦争、今なお続く自爆テロ…。古今東西のあまたの事件だけでなく、身近なところにも「正義のつもり」に傷つけられた人がいるのではないだろうか。

滋賀県 62歳

産経新聞 2018年01月29日 ーより

[提供/産経新聞 ・ 構成/grape編集部]

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