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特別養子縁組で“実子”になる。家族の形の変化を手助けする取り組み

By - ホウドウキョク  公開:  更新:

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※ 写真はイメージ

民間あっせん機関による養子縁組のあっせんに係る児童の保護等に関する法律が平成30年4月1日に施行

ホウドウキョク 3 Lines Summary

  • 特別養子縁組は、新たに法的な親子関係が築かれ「実子」となる
  • 養親への教育と支援が必要で、法改正後は研修が義務となる
  • 社会全体で縁組家庭をバックアップして行く体制づくりが急がれる

2016年5月に改正された児童福祉法では、虐待や遺棄などにより親元で暮らせない子供達を、施設ではなく、里親や養子縁組など、家庭の中で育てて行く考えが明記されている。

中でも特別養子縁組は、家庭裁判所の決定により、実の親との法的な関係が解消され、育ての親との間に、新たに法的な親子関係が築かれる。

戸籍には『養子』ではなく、『実子』として記載され、『離縁』は原則認められない。

広がりを見せる『新しい家族の形』を取材した。

特別養子縁組で迎え入れた息子

「やっぱり人にくっついて温もりを感じながら眠るのが一番好きなんだね」と愛おしい我が子に優しく触れる夫婦。

櫻井さんは、4年半不妊治療を続けたが子供は授からず、去年10月、特別養子縁組によって生後1週間のゆう(仮名)ちゃんを家族に迎え入れた。

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父親は「産院の新生児室で『この子が迎える赤ちゃんです』と仲介者から言われて。責任感をすごく感じて体がガチガチになってしまいました」と迎え入れた時のことを思い返す。

母親も「この子と一緒になれるんだと、すごく感情的になっていました。妊娠するだけでも奇跡だと思いますし、健康な体で産んでもらえて本当に良かったねって」と話しながら涙を浮かべる。

縁組を仲介したのは、民間の斡旋団体『フローレンス』。

ゆうちゃんの産みの親は、女子高校生で、団体に相談があった時は臨月が迫っていたという。

少女は勇気を振り絞って病院に行ったが、断られてしまった。

しかしお金がなくどうしようもない、でも病院もいけないということで困っていたそうだ。

団体は相談を受け、すぐに提携する産院に少女を連れて行き、無事ゆうちゃんを出産。

その後、親族を交えて何度も話し合いをしたが、「自分の手で育てられない」という状況は変わらず、櫻井さん夫婦に託されることになった。

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母親は今、産みの母親からのバトンが繋がったと感じている。

「思いもよらない妊娠をして、すごく精神的にも辛かったんじゃないかなと思います。この後は私が頑張るよという…バトンが繋がったような気持ちでいます」

養親への教育と支援

特別養子縁組によって子供を迎えるには、地域の児童相談所か民間の斡旋団体に登録する。

いずれも事前の審査があり、家庭裁判所の審判を経て実の親子となる。

しかし、うまく行くケースばかりではない。

養子縁組家庭の中でも虐待が起きている事実がある。

そのために「きちんとした養親への研修とアセスメント(評価)、ふさわしい人を選んで行く。そして子供を迎えた後にきちんと支援をして行くことが必要だと思います」と養子縁組制度を支援する日本財団の高橋恵里子さんは話す。

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重要なのは養親への教育と支援。

法改正後は、養親希望者に研修が義務付けられる。

この日行われていた、民間団体『フローレンス』による養親セミナーでは、養子に病気や障がいがあった場合や、出生の真実をどう告げるかなどが話し合われていた。

「産みの親が僕のことを捨てたの?って聞いてきたらどう答えますか?」(精神科医)
「肯定的な教え方をしていきたいとは思う」(参加した養親希望者)

などと、グループディスカッションは熱気を帯びていた。

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一方で、施設でも新たな取り組みが行われている。

都内にある二葉乳児院では、家庭に帰れる見込みのない新生児と、養親希望者をいち早くマッチングし、縁組後の支援事業を始めている。

「養子縁組親子にきてもらってイベントをしたりとか。助ける人がたくさんいる中で育ててもらえると、里親さんも孤立しなくていいと思います」と都留院長さんは話す。

新しい家族の形とは

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佐々木さん夫婦は2歳、5歳、7歳、と元気いっぱいの子供たち3人を特別養子縁組で迎えている。

夫婦は子供たちはもちろん、地域の人にも、養子縁組家庭であることをオープンにしている。

「産みの母親に会ってみたい?」と聞くと、「うん、会ってみたいよ」と話す子供たち。

佐々木さんは「あの子たちの存在は誰かから隠すようなものでは絶対にない」と話し、『キセキノート』というノートを大切に保管している。

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このノート、子供たちが将来自分の出生を知りたいと思った時のために、産みの母親の情報が書かれたものだ。

父親は「生みの母親たちは今でも子供達のことを考えていると思う」と語りながら言葉に詰まり、涙を流す。

母親は「子供の背景を含めて、受け止めて行く作業をずっとしてきました。あの子達が大きくなって、自分の家庭を作りたいなって思えるように、日々一緒に暮らして行くことが、私たちができることなのかな」と笑顔で話していた。

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子供達の背景を受け止め、命を繋いで行く特別養子縁組。

養親だけに任せるのではなく、社会全体で縁組家庭をバックアップして行く体制づくりが急がれる。

(取材協力:日本財団)

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特別養子縁組で“実子”になる。家族の形の変化を手助けする取り組み

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