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母に日記を読まれた男性 しばらくすると両親が「結婚の話決めてきたよ」

By - 産経新聞  公開:  更新:

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産経新聞大阪版、夕刊一面で毎日連載中。一般の方から寄せられた600字のエッセー『夕焼けエッセー』。

さまざまな年齢、職業の人々がつづった等身大のエッセーをご覧ください。

日記

何故か高校生の時より日記をつけ、約70年近く続いております。

70歳に現役を離れて年金生活になってから書くことがなくなりました。天候、体調、時事問題の感想ぐらいです。今は日記をつけてよかったことは散髪はいつ行ったのか調べる位です。しかし私の人生にとって日記を書いていてよかったと思うことがありました。

学校を卒業して銀行に入行しましたが同期に彼女がいました。4年間同じ職場で過ごして私は転勤しました。幸い隣の市の店舗で通勤が同じ路線になり朝は殆(ほとん)ど一緒に通勤しましたので付き合いは続きました。

25歳になった時、彼女に縁談の話があり先方家柄も良く家族は乗り気とのこと。私は7人兄弟の3番目で余裕のある家ではありませんでした。当時私の給料は月に手取り一万円くらい。それも全額家に入れておりました。弟達の面倒もみてやらなければならないし家の方でも僅(わず)かながらも私の給料をあてにしていると思っておりました。そんなことで縁談の事打ち明けられた日は、話を決められず泣いて別れました。

しばらくしてから両親から「彼女との結婚の話決めてきたよ」と言われ、驚いて聞くと母親が私の日記をみていたとのこと。すぐに両親揃(そろ)って先方に行き話を決めた由。怒るより喜びの方が大きく日記のお陰で結婚出来ました。

結婚式は昭和34年4月5日天皇陛下のご成婚の5日前でした。あれから60年。今は両親も亡くなり、妻も先に逝き誰も私の日記をみるものはおりません。

大阪府 84歳

産経新聞 2018年06月05日 ーより

[提供/産経新聞 ・ 構成/grape編集部]

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