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「息子よ、それはハードルが高くないか」お弁当を見た中学生の言葉に母は…

By - 産経新聞  作成:  更新:

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産経新聞大阪版、夕刊一面で毎日連載中。一般の方から寄せられた600字のエッセー『夕焼けエッセー』。

さまざまな年齢、職業の人々がつづった等身大のエッセーをご覧ください。

子育てとはお弁当作りである

 長男が中学生になり、毎朝の弁当作りが始まった。いや、これまでも私たち夫婦の分は毎日作っていたので、1つ増えただけである。2つが3つになっただけである。ところが、これが厄介なのだ。中学生男子のお弁当だし、と張り切ってお店で一番大きな弁当箱を購入したので、父の弁当箱より大きな弁当を持っていくことになってしまった。いくらおかずを用意しても隙間が埋まらないのだ。

 先輩のアドバイス「前日に詰めて冷蔵庫に入れておく」をやってみたが、少しでも作りたてを食べさせたいという母心が湧いてしまい断念した。ママ友のアドバイス「うちは冷凍食品ばっかりよ」は、うちも同じだが、全て冷食というのも母のプライドが許さない。卵焼きとあと一品は母の味を、というこだわりが、私を苦しめるのである。

 保育園育ちの息子はこの11年間、栄養バランスの良い給食を食べて健やかに育った。家でのご飯が多少手抜きでも、給食で栄養取ってるし大丈夫!と、罪悪感を抱く母は幾度となく助けられた。ところが、これからはそうはいかない。彼の三食は全て母の手に委ねられてしまった。

 自分のことは自分でできるようになったし、ようやく子育てもひと段落したかな、と思っていたら、この仕打ちとは。でも、成長期の息子の身体を作る大事な大事なお弁当。ここからの子育てとはお弁当作りのことのようだ。私の子育てはまだまだ続きそうである。

 さて、当の本人のリクエストは「とにかく肉」とのこと。ならばと、唐揚(からあ)げ、肉団子、トンカツ、ウインナーで埋め尽くしたら「今日は彩り悪かったな」と指摘が入った。見栄えも重要とはハードルが高すぎやしないか、息子よ。

滋賀県 40歳

産経新聞 2018年06月08日 ーより

[提供/産経新聞 ・ 構成/grape編集部]

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