ビル・ゲイツが語る「疫病に対して、いま私たちが出来ること」とは By - grape編集部 公開:2015-06-12 更新:2015-07-30 TEDビル・ゲイツ動画病気 Share Tweet LINE コメント 出典:YouTube 2014年…エボラ出血熱の大流行により、世界は混乱に包まれました。 そして2015年、新型ウイルス「MERS(中東呼吸器症候群)」が韓国を中心に広がっています。患者数は増える一方で、死者も出ています。 死亡率50%の新型ウィルス『MERSコロナウィルス』日本にも上陸か?! 昨年、Microsoftの共同創業者であり慈善事業家でもあるビル・ゲイツさんが、プレゼンテーション番組として有名なTEDに出演されました。 そこで語った「次の疫病の大流行(アウトブレイク)が来たら?」という話に注目が集まっています。 ビル・ゲイツさんが語るアウトブレイクの脅威 (以下はビル・ゲイツさんの言葉です) 私が子どものころ、恐れていることといえば核戦争でした。 しかし、もし一千万人以上の人々が次の数十年で亡くなることがあれば、それはミサイルではなく「微生物」によって引き起こされるでしょう。 なぜなら、疫病対策のシステムについては、ほとんど何の対策も行って来なかったのと同じ状態…つまり、私たちは次の疫病の蔓延に対して、準備が出来ていない状態なのです。 エボラ(出血熱)の例を見てみましょう。 出典:YouTube ポリオ撲滅の状況を追った時の分析ツールを使って、エボラの状況を追跡しました。観察していて分かったことは、システムが不十分で対処しきれなかったのではなく、システムそのものが存在しなかったということでした。 出典:YouTube 現場では治療が適切か、使用されるツールは最適かどうかを判断する人がいませんでした。また、感染状況を分析する人もいなければ、医療従事者のチームもなく、報告書は紙ベースな上に間違いだらけ。 現地にスタッフがいれば、例えば生存者の血液を採取して血清を作るようなことも出来たはずですが、それは実現されませんでした。つまり、見落とされたことが数多くあったということです。 エボラから学べること エボラが、これ(西アフリカの3カ国)以上に蔓延しなかった理由は3つあります。 1つは、ケースワーカーが英雄的な働きをしたからです。 出典:YouTube いち早く感染者を発見し、迅速に対応しました。 2つ目は、ウイルスの性質。 エボラウイルスは空気感染しません。患者が感染源となるほどに重症化したころには、症状が重すぎて患者はベッドから動けなくなります。 3つ目は、都市部へと広がらなかったこと。これは単なる「運」です。 もし都市部へと感染が拡大していたら、症例数はもっとずっと増えていたでしょう。 しかし次は、エボラのように「運」には恵まれないかも知れません。 出典:YouTube 感染したウイルスの種類によっては、自覚症状がないまま飛行機に乗ったり、マーケットに行ったりすることもあるでしょう。 空気感染するウイルスの広がり方をシミュレーションします。1918年のスペイン風邪の例です。 出典:YouTube 猛烈な勢いで世界中に感染が拡大し、3千万人以上の人が亡くなりました。 これは危機的な状況です。深刻に捉えなければなりません。 今、準備を始める大切さ しかし、私たちは優れた対策システムを作り出すために活用できる、科学技術を持っています。 出典:YouTube 携帯電話を使えば、私たちは瞬時に情報を得ることも発信することも出来ます。 生物学の発展のおかげで、病原体に応じて薬やワクチンを作る時間を劇的に短縮することが出来ます。 それらを使って、疫病への対策も充分にしていくべきなのです。 では、主なキー・ピースは何でしょう? 出典:YouTube 第一に、貧しい国々にしっかりとした病院・健康保険システムを作ること。母親が安全に子どもを出産できて、子どもは必要なワクチンを接種できる環境です。アウトブレイク初期の兆候も、そこで把握できます。 第二に医療従事者たちの待機部隊が必要です。 出典:YouTube 医療に携われるよう訓練されて経験もあり、いつでも召集に応じることの出来る専門知識を持つ人々です。そして彼らを軍隊と連携させます。 出典:YouTube 軍隊の機動力を利用し、物流の確保・感染地の隔離などを素早く行えるように、です。 そして、戦争ではなく感染拡大のシミュレーションをして、対策のために欠けているものは何なのか、あぶり出すことも必要です。 出典:YouTube 前回、2001年にアメリカで行われた細菌シミュレーションは、良い結果ではありませんでした。 そのシミュレーションだと「失敗」。2001年に1試合「人間vs細菌」のゲームをやって負けたので、今のスコアが1対0です。 悲観する必要はありませんが、細菌との戦いは、今のところ人類の負け。 これから、ワクチンや診断の分野での研究開発も、もっともっと必要です。 出典:YouTube これに必要な予算は正確には分かりませんが、予期される被害に比べれば、圧倒的に少ない額だと確信しています。 こうした投資は、単に疫病への対策が出来るという以上の大きな利益を生み出します。 プライマリケアや研究開発…これらは世界をより公平で安全な場所にするでしょう。 パニックに陥る必要はありません。 エボラの蔓延は準備を始めるための警鐘となりました。今から準備を始めれば、次の疫病への対策は、きっと間に合うことでしょう。 (以上、ビル・ゲイツさんのスピーチより) 私たちに出来ること 彼の話を受けて、私たちに出来ることは何か、考えてみましょう。 ビル・ゲイツさんは今こそがあらゆる最善の方法やアイデアを実現する時だと訴えます。 もちろん、一般の一人ひとりがウイルスの研究をすることは出来ませんし、何か画期的なシステムを作り出すことも難しいでしょう。 個人で出来る対策は小さなことかも知れません。けれど、自分が感染者にならないということは、最も大切なことではないでしょうか。 現状、最もアウトブレイクが心配されている「MERSコロナウイルス」は石鹸での手洗い、マスクの使用などが予防につながるそうです。 正しい情報を集めつつ、今後の医療がどうなっていくのか、注目していきたいものです。 出典 >Bill Gates: The next outbreak? We’re not ready Share Tweet LINE コメント
2014年…エボラ出血熱の大流行により、世界は混乱に包まれました。
そして2015年、新型ウイルス「MERS(中東呼吸器症候群)」が韓国を中心に広がっています。患者数は増える一方で、死者も出ています。
死亡率50%の新型ウィルス『MERSコロナウィルス』日本にも上陸か?!
昨年、Microsoftの共同創業者であり慈善事業家でもあるビル・ゲイツさんが、プレゼンテーション番組として有名なTEDに出演されました。
そこで語った「次の疫病の大流行(アウトブレイク)が来たら?」という話に注目が集まっています。
ビル・ゲイツさんが語るアウトブレイクの脅威
(以下はビル・ゲイツさんの言葉です)
私が子どものころ、恐れていることといえば核戦争でした。
しかし、もし一千万人以上の人々が次の数十年で亡くなることがあれば、それはミサイルではなく「微生物」によって引き起こされるでしょう。
なぜなら、疫病対策のシステムについては、ほとんど何の対策も行って来なかったのと同じ状態…つまり、私たちは次の疫病の蔓延に対して、準備が出来ていない状態なのです。
エボラ(出血熱)の例を見てみましょう。
出典:YouTube
ポリオ撲滅の状況を追った時の分析ツールを使って、エボラの状況を追跡しました。観察していて分かったことは、システムが不十分で対処しきれなかったのではなく、システムそのものが存在しなかったということでした。
出典:YouTube
現場では治療が適切か、使用されるツールは最適かどうかを判断する人がいませんでした。また、感染状況を分析する人もいなければ、医療従事者のチームもなく、報告書は紙ベースな上に間違いだらけ。
現地にスタッフがいれば、例えば生存者の血液を採取して血清を作るようなことも出来たはずですが、それは実現されませんでした。つまり、見落とされたことが数多くあったということです。
エボラから学べること
エボラが、これ(西アフリカの3カ国)以上に蔓延しなかった理由は3つあります。
1つは、ケースワーカーが英雄的な働きをしたからです。
出典:YouTube
いち早く感染者を発見し、迅速に対応しました。
2つ目は、ウイルスの性質。
エボラウイルスは空気感染しません。患者が感染源となるほどに重症化したころには、症状が重すぎて患者はベッドから動けなくなります。
3つ目は、都市部へと広がらなかったこと。これは単なる「運」です。
もし都市部へと感染が拡大していたら、症例数はもっとずっと増えていたでしょう。
しかし次は、エボラのように「運」には恵まれないかも知れません。
出典:YouTube
感染したウイルスの種類によっては、自覚症状がないまま飛行機に乗ったり、マーケットに行ったりすることもあるでしょう。
空気感染するウイルスの広がり方をシミュレーションします。1918年のスペイン風邪の例です。
出典:YouTube
猛烈な勢いで世界中に感染が拡大し、3千万人以上の人が亡くなりました。
これは危機的な状況です。深刻に捉えなければなりません。
今、準備を始める大切さ
しかし、私たちは優れた対策システムを作り出すために活用できる、科学技術を持っています。
出典:YouTube
携帯電話を使えば、私たちは瞬時に情報を得ることも発信することも出来ます。
生物学の発展のおかげで、病原体に応じて薬やワクチンを作る時間を劇的に短縮することが出来ます。
それらを使って、疫病への対策も充分にしていくべきなのです。
では、主なキー・ピースは何でしょう?
出典:YouTube
第一に、貧しい国々にしっかりとした病院・健康保険システムを作ること。母親が安全に子どもを出産できて、子どもは必要なワクチンを接種できる環境です。アウトブレイク初期の兆候も、そこで把握できます。
第二に医療従事者たちの待機部隊が必要です。
出典:YouTube
医療に携われるよう訓練されて経験もあり、いつでも召集に応じることの出来る専門知識を持つ人々です。そして彼らを軍隊と連携させます。
出典:YouTube
軍隊の機動力を利用し、物流の確保・感染地の隔離などを素早く行えるように、です。
そして、戦争ではなく感染拡大のシミュレーションをして、対策のために欠けているものは何なのか、あぶり出すことも必要です。
出典:YouTube
前回、2001年にアメリカで行われた細菌シミュレーションは、良い結果ではありませんでした。
そのシミュレーションだと「失敗」。2001年に1試合「人間vs細菌」のゲームをやって負けたので、今のスコアが1対0です。
悲観する必要はありませんが、細菌との戦いは、今のところ人類の負け。
これから、ワクチンや診断の分野での研究開発も、もっともっと必要です。
出典:YouTube
これに必要な予算は正確には分かりませんが、予期される被害に比べれば、圧倒的に少ない額だと確信しています。
こうした投資は、単に疫病への対策が出来るという以上の大きな利益を生み出します。
プライマリケアや研究開発…これらは世界をより公平で安全な場所にするでしょう。
パニックに陥る必要はありません。
エボラの蔓延は準備を始めるための警鐘となりました。今から準備を始めれば、次の疫病への対策は、きっと間に合うことでしょう。
(以上、ビル・ゲイツさんのスピーチより)
私たちに出来ること
彼の話を受けて、私たちに出来ることは何か、考えてみましょう。
ビル・ゲイツさんは今こそがあらゆる最善の方法やアイデアを実現する時だと訴えます。
もちろん、一般の一人ひとりがウイルスの研究をすることは出来ませんし、何か画期的なシステムを作り出すことも難しいでしょう。
個人で出来る対策は小さなことかも知れません。けれど、自分が感染者にならないということは、最も大切なことではないでしょうか。
現状、最もアウトブレイクが心配されている「MERSコロナウイルス」は石鹸での手洗い、マスクの使用などが予防につながるそうです。
正しい情報を集めつつ、今後の医療がどうなっていくのか、注目していきたいものです。