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孫に「貧乏やから」とつい軽口をいってしまったお婆ちゃん その後、後悔することに

By - 産経新聞  公開:  更新:

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産経新聞大阪版、夕刊一面で毎日連載中。一般の方から寄せられた600字のエッセー『夕焼けエッセー』。

さまざまな年齢、職業の人々がつづった等身大のエッセーをご覧ください。

貧乏問答

孫娘が父親と2人で帰ってきた。その夜のこと、風呂上がりの世話をやくドン臭い私を見てだろう、「おばあちゃんとこ何でドライヤーないの?」と聞いてきた。

ちなみに我が家は昭和初期生まれの爺と婆、ドライヤーを使う習慣がなく、至ってシンプルに自然乾燥派で通している。

「おばあちゃんとこ貧乏やからドライヤーないねん」。咄嗟とっさにそう答えたものの、まるでオバチャン同士が軽い冗談を交わし合っているようなことを…。なんぼなんでも幼子に聞かせる言葉ではなかったなぁ、と思い、婆なりに後悔した。

しかし、2歳児の“何で攻撃”は、私のそんな後悔など一向にお構いなしで、いよいよ核心をいてくる。

「なんでびんぼうなの?」何でと言われても…「お金がないからだよ」

「なんでおかねがないの?」「貧乏だから」。2人の「貧乏問答」は限りなく続きそうだ。それにしても、純真無垢の子にわざわざ貧乏の講釈をする羽目になろうとは思いもしなかった。やれやれ。

それから1カ月ほどして、仲良し父娘がまた2人連れで帰ってきた。孫娘の長い髪を見て、あーしもうた! 家電量販店へ行くのを忘れていたわ、と思い彼女に「Nちゃんが今度帰ってくるまでには、ドライヤー買っとくわね」と言ったら、すごく大人びた口調で「お金、あるの?」と聞かれた。驚いた。あの「問答」を引きずっていたのだろうか? 2歳児は忘れていなかった。

子供だと思って不用意な言葉を口にしてはいけない。反省しきりの婆である。

大阪府 81歳

産経新聞 2018年07月23日 ーより

[提供/産経新聞 ・ 構成/grape編集部]

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