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77歳の誕生日に読み返した35歳の誕生日に書いた日記 そこには偉そうにこんな言葉が

By - 産経新聞  公開:  更新:

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産経新聞大阪版、夕刊一面で毎日連載中。一般の方から寄せられた600字のエッセー『夕焼けエッセー』。

さまざまな年齢、職業の人々がつづった等身大のエッセーをご覧ください。

誕生日

誕生日に元の職場の互助会から喜寿のお祝いの書状が届き、金一封を振り込むと書き添えてあった。

今時、77歳程度では特別に祝うほど長生きとは思えないが、人生五十年と言われたころの名残の風習であろう。それにしてもありがたい。

金一封を貰(もら)った記念の年にちなんで、ついでに過去の日記の各年の誕生日の日付を順に遡(さかのぼ)って繰ってみた。

しかし、改めて誕生日を見直しても、毎年「今日で何歳」「誕生祝いで、誰それと飲んだ」くらいのことしか書いていない。

ただ、73歳の誕生日には、「すべての仕事を辞めて遊ぶぞう」と書いてある。本当にそれ以来仕事はしていない。

60歳の還暦の年には「定年延長・あと五年働くか」と書いてあるが、結果は73歳まで嘱託で働いた。

更に遡った40歳では「惑わないなんて無理!」と一言、開き直っている。まあ、それは当然だと思う。いまだに惑いの日々を送っているのだから。

35歳の誕生日に「人生折り返し地点」と記し、「これで人生やっと半分! これからは折り返し道だ」と偉そうに書いてある。多分70歳まで生きるつもりだったのだろう。

あの当時の男の平均寿命は70歳くらいと言われていたような気がする。

それ以前の日記は、飛び飛びに書いていた記憶はあるが、日記帳そのものが見つからなかった。

なにはともあれ、喜寿のお祝いを頂いたのだから、今度は米寿祝いの金一封をいただけるよう、のんびり気楽に生き延びたいと思った誕生日であった。

奈良県 77歳

産経新聞 2018年08月01日 ーより

[提供/産経新聞 ・ 構成/grape編集部]

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