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窯元「このままではお茶は飲めません」 焼きあがったのは『穴があいた器』、その後?

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By - grape編集部  作成:  更新:

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長崎県・波佐見町にある『丹心窯』。

創業は1980年と、伝統あるこの地にしては比較的新しい窯ですが、透明に輝く『水晶彫』という技法でいま注目を集めています。

以前、『grape SHOP』の記事で紹介した水晶彫のティーカップ&ソーサーは予約販売分が完売。「素敵な器!」「おしゃれ」「懐かしの蛍焼ですね」などと好評をいただきました。

しかし、実はこの水晶彫、昔からある『蛍焼』とは少し異なる丹心窯独自の製法なのです。

『蛍焼』と『水晶彫』の違い

そもそも蛍焼は、透かし彫りをした焼物にさらに透明釉薬をかけて焼き上げたもの。半透明ではあるものの、やや白濁しています。

一方の水晶彫は天草産の上質な白磁の生地に穴をあけ、そこに秘伝の粘土を詰めて焼くことで、まるで水晶のような輝きと透明感を生み出す製法。

一つひとつ手作業で穴を彫り、粘土を詰めて1300℃近い高温で2回焼成を行う、手間ひまかけた焼物なのです。

彫りの作業後、乾燥→削り→仕上げの工程を経て生地を素焼きします。

釉薬(うわ薬)を掛けて、約13~14時間かけて1280℃までの高温で本焼成

窯上がり→穴が空いたままで焼き上がります。(勿論このままではお茶は飲めません)

水晶彫の丹心窯 ーより引用

左が素焼きの状態で、右が1回目の焼成後。焼くと、このように見て判るほど収縮するのだそうです。

そしてここから肝心の水晶詰め作業へ。

一度目の本焼きで窯上がりし、マスキングした生地に丹心窯秘伝の調合で作った粘土(半練り状)を手作業で詰めていきます。

穴全体を漏れがないよう均一に詰める事が大事です。

水晶彫の丹心窯 ーより引用

再度窯に入れて焼成すると、粘土を詰めた部分だけが無色透明のガラス質に変化します。

丹心窯の代表に聞いてみました!

粘土については秘伝とのことですが、丹心窯や水晶彫の技法に迫るべく、代表の長﨑忠義さんに詳しく教えてもらいました。

――丹心窯の器の魅力は?

ほかの窯元との違いは生地の薄さです。水晶彫の器にもいえることですが、透明感をより引き立てるために、生地を極力薄めに作っていきます。削りの工程でも同様に薄さを意識しています。

――水晶彫の工程で難しいのは?

丹心窯では生地作りから窯上がりまで一貫生産していますが、半渇きの状態で作業をしなければならない彫りの工程は時間との戦いです。特に夏場の生地作りは土の乾燥が早く、素早く一つひとつ穴を彫っていかなければなりません。生地の乾燥具合が柔らかすぎると穴が変形しやすく、逆に渇きすぎると穴と穴の間にヒビが入ってしまうのです。

――もっともこだわっていることは?

磁肌の白さの追及でしょうか。これは陶土の等級と釉薬の調合、また焼成での調整に深く関わってきます。肥前地区に多い青みがかった白さより、真っ白に近い白さ。同じ白さでも雰囲気が違い、凛とした白さを求めています。

つい透明の柄に目が行きがちですが、ベースの白さにもこだわっていたとは…驚きです。

バリエーション豊富な『水晶彫』

丹心窯の水晶彫は、ドットやスクエア、青海波など、和洋さまざまなシリーズを展開。

桜の花びらを模した『水晶花詰反仙茶』は、飲み物を注ぐと透明だった花びらが色付く様子を目で楽しめます。

裏側を見ると、持ちやすく安定感のある高台。丹心窯の銘は手描きです。

grape SHOPではこちらの『水晶花詰反仙茶』を2個セットで販売中。くつろぎのひと時はもちろん、お客さまを招いたおもてなしにいかがでしょうか。


[文・構成/grape編集部]

出典
水晶彫の丹心窯

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