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売り物の家でツバメが子育て 壊したくないと不動産業者に相談すると「よっしゃ、まかしとき!」

By - 産経新聞  公開:  更新:

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産経新聞大阪版、夕刊一面で毎日連載中。一般の方から寄せられた600字のエッセー『夕焼けエッセー』。

さまざまな年齢、職業の人々がつづった等身大のエッセーをご覧ください。

つばめ

大阪狭山市(大阪府)で家の改装中、シャッターガレージの中につばめが何度も出入りするので、見ると前の所有者が巣を壊した跡が残っていた。困ったつばめは、前の巣のところの壁にホバリングをしながら、必死につがいで材料を運んできて、巣を作っているではないか。

妻は「可哀そうに。卵を産むのに間に合えばいいけど」と心配するので、よし、何とかしてあげようと思った。まず、巣作りの足場になればと思い、L字型金具の上に木片を取り付け、止まり木を作ると、早速2羽が待っていたようにその上に止まり、あくる日には止まり木の上に土を積み上げ、巣の半分ぐらいが出来上がっていたのにびっくり。次の日にはほぼ完成していた。3日目には乾いて白くなった巣の上に卵を温めるように1羽が座っていた。2日間の突貫工事で作った巣で無事卵を産むことができたようで、妻も「間に合ってよかったね」と喜んでくれた。

でも、この家は商品なので、買い手があれば売らねばならない。妻と相談して、つばめを大事にしてくれる人に購入してほしいということになった。そして、ガレージは開けたままにして、入り口に「つばめに注意! シャッターをしめないでください」と貼紙をした。

知人の不動産業者に売却依頼をするときに「つばめ特約」をつけてほしいと言うと、「こんな特約初めてやけど。よっしゃ、まかしとき」とにっこり笑って言った。無事にひながかえり巣立ちするのが楽しみだ。

大阪府 70歳

産経新聞 2018年09月03日 ーより

[提供/産経新聞 ・ 構成/grape編集部]

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