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路上で助けた亀 恩返しに貰ったのは『絵にもかけない美しい幸せ』でした

By - 産経新聞  公開:  更新:

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産経新聞大阪版、夕刊一面で毎日連載中。一般の方から寄せられた600字のエッセー『夕焼けエッセー』。

さまざまな年齢、職業の人々がつづった等身大のエッセーをご覧ください。

亀の恩返し

息子夫婦と、孫2人との家族5人でのお出かけ。信号の多い府道を避けて、川沿いの道を車で走っていました。

運転していた息子が、
「おっ」
とか
「あっ」
とか一声出して、車を止めて降りていきました。

「どうしたんやろ」
と、後続車が来ないかとふりむきつつ話していた後部座席の私たちに、
「道の真ン中に、亀さんがおる」
と、助手席の孫が教えてくれました。

息子は亀をつかみあげ、川へとつながる草むらへ、そっと放してやりました。
車へもどり、再び車を走らせながら、
「お父さん、竜宮城へ連れて行ってもらえるかもやなあ」
とニヤニヤ。

それを聞いて孫は興奮気味に大きな声で
「えーっ、それってすごいやん。お父さん、竜宮城へ行けるんや」

みんなで大笑いです。

先を急ぐ道を行きながら、路上の亀を見つけ他の車に轢かれたりしないようにと、車を止め、草むらへと運んでやる息子、浦島太郎のお話をちゃんと知っている孫たち。

竜宮城へは、連れて行ってもらえるかどうかは分かりませんが、今この、この車中のひととき、絵にもかけない美しい幸せがあふれ、これって助けた亀の恩返しかもと、これでいいっておもいました。

京都府 69歳

産経新聞 2018年12月05日 ーより

[提供/産経新聞 ・ 構成/grape編集部]

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