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ママと呼んでほしかった? パパが今になって後悔していること

By - 産経新聞  公開:  更新:

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産経新聞大阪版、夕刊一面で毎日連載中。一般の方から寄せられた600字のエッセー『夕焼けエッセー』。

さまざまな年齢、職業の人々がつづった等身大のエッセーをご覧ください。

ママいない

結婚して娘ができたときに、家内とわれわれのことを、娘になんと呼ばせようか相談したことがありました。最近は「パパ、ママ」が多いので、そのときはそう呼ばせようと決めました。

しかし、家内はすぐに「パパ」と言えたのですが、私の方はなかなか恥ずかしくて、「ママ」と言えないでいました。そうこうしているうちに、私が「お母さん」と呼ぶようになり、ついに娘も、家内のことを「お母さん」と呼ぶようになりました。

娘が幼稚園に行っていたとき、ある方から、「パパとママは?」と聞かれたことがありました。娘はそのとき「パパはいるけど、ママはいないの」と答えました。その方は、大変なことを聞いてしまったと思い、困惑していましたが、娘が、「ママはいないけど、お母さんはいるの」と答えて、安心されたようです。

大人になっても、子供たちはみんな、「パパ」と「お母さん」です。

そのお母さんが、先日、53歳の若さで亡くなりました。もう「ママ」がいなくなりました。本当にいなくなりました。

家内は口には出しませんでしたが、本当は「ママ」と呼んでもらいたかったのかもしれません。生きている間に、「ママ」と呼んであげられなかったことを、今になって後悔しています。

「ママ」、今まで本当にありがとう。

大阪府 63歳

産経新聞 2018年12月11日 ーより

[提供/産経新聞 ・ 構成/grape編集部]

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