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「お母さんって悪い子やったんやな」クリスマス、そう言いながら子どもが持ってきたのは…

By - 産経新聞  作成:  更新:

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産経新聞大阪版、夕刊一面で毎日連載中。一般の方から寄せられた600字のエッセー『夕焼けエッセー』。

さまざまな年齢、職業の人々がつづった等身大のエッセーをご覧ください。

小さなサンタクロース

小さい頃、私の家には煙突があった。なのにどうしてサンタクロースは来てくれないのかと、煙突が細すぎて入れないのかな、それとも、私の小さなくつ下では気付かないのかな、と思って、母親の毛糸のくつ下を、両手でおもいっきりひっぱってのばして枕元に置いても、サンタは一度もやってこなかった。

20年前、6歳だった長男にそんな話をしたら、クリスマスイブの夕方、兄弟3人真っ赤なほっぺをして息をきらしながら帰ってきて、長男が、

「お母さん、サンタクロースからのクリスマスプレゼント」

と言って、1本の赤いカーネーションを差し出してくれた。

寒空の中、100円玉を握りしめて、弟と妹を連れてお店まで買いに行ってくれたことに、びっくりしたのと、うれしいのといりまじって、ありがとう、ありがとうと言いながら3人を抱きしめた。

お店の人も、小さな3人で、足りない5円を、おまけしてくれたと、後で聞いて心があたたかくなった。

いつもこの時期になると、あのときのことを思い出して、とっても幸せな気持ちになるのと同時に、花をくれた後、不安げに私の顔を見ながら、長男が言った

「お母さんって悪い子やったんやなあ」って言葉に、笑いがこみあげてくる、幸せ者の母です。

大阪府 54歳

産経新聞 2018年12月25日 ーより

[提供/産経新聞 ・ 構成/grape編集部]

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