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卵アレルギーを贅沢な病気といわれた女の子 すると、それを聞いた姉が…

By - 産経新聞  作成:  更新:

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※ 写真はイメージ

産経新聞大阪版、夕刊一面で毎日連載中。一般の方から寄せられた600字のエッセー『夕焼けエッセー』。

さまざまな年齢、職業の人々がつづった等身大のエッセーをご覧ください。

私の特技

小学5年生の時の給食に卵料理が出てきたことがあった。私には卵アレルギーがあり、それまで当然のように卵の入った給食は残していたのだが、クラス替えをして間もなかったからか、担任は私の病気を把握していなかった。「残さずに食べなさい」と注意されたので「病気だから食べられない」と答えたが「卵が食べられない病気なんか聞いたことがない。ぜいたくな病気やな」と言われた。

そのひと言が胸に突き刺さり、私は教室を飛び出して6年生の姉の教室に行き、姉を見た途端、こらえきれず泣き出してしまった。姉のクラスの女子たちも心配そうに集まってきた。

「姉ちゃん、あのな、卵食べられへんのにな、先生がぜいたくな病気やっていうねん」。

しゃくりあげながら訴えた。姉はそれを聞くと「まかしとき!」と言って、集まってきた女子たちと一緒に私をクラスまで送ってくれた。そして担任をぐるりと取り囲むと、「妹、泣かさんといて。この子、病気やから食べられへんの」と真剣な表情と鋭い眼差しで言ってくれた。担任はたじたじとなり、私に謝ってくれた。強くて優しい姉は私の自慢だった。

その姉が6月に天国へと旅立ってしまった。辛い時はいつも姉に相談していたのに、姉はもういない。元気を出さなくちゃと思うけれど、いまだに深い悲しみが襲ってくる。

生前、「姉ちゃんみたいに強くなりたい」と姉に言ったとき「あんたの特技は助けてって言えることやで。それは私がなかなかできなかったことや」と言われたことを思い出した。姉ちゃんみたいに強くなりたい。でも、しばらくは私の特技を生かして、辛い時は誰かに助けてって言ってもいいかもしれない。

大阪府 47歳

産経新聞 2017年12月21日 ーより

[提供/産経新聞 ・ 構成/grape編集部]

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