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生まれたばかりの赤ちゃんを抱っこした息子 肩をふるわせつぶやいた「ママ、僕ね…」

By - 産経新聞  作成:  更新:

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※ 写真はイメージ

産経新聞大阪版、夕刊一面で毎日連載中。一般の方から寄せられた600字のエッセー『夕焼けエッセー』。

さまざまな年齢、職業の人々がつづった等身大のエッセーをご覧ください。

あたらしい朝

午前2時45分、軽い腹痛で目が覚めた。いよいよだ。これまで「明日はお兄ちゃんの運動会だからもう少し待ってね」とか「今日はお姉ちゃんの遠足だから」と予定日が近づくにつれ、お腹に言い聞かせてきた。

予定日から一夜、もういいよ、出ておいで…。

都合のいいものである。

家族を起こさぬよう、そおっと布団から抜け出し、助産師さんに電話する。陣痛がくるたびに休んで合間に家事をこなしていく。

そうこうしているうちに助産師さんが家に到着。手際よく道具が並べられ、いつものリビングは分娩室に様変わりした。

朝食がととのい、娘の幼稚園のお弁当が出来上がった。ええっと、あとは…そう、赤ちゃんを待つのみである。すると、タイミングをはかるように、激しい陣痛がやってきた。3人目とは言え、陣痛に免疫などない。

意識が遠のくような中、いろんな人の笑顔が目に浮かんできた。

朝のお散歩で知り合ったご近所の方、ラジオ体操のみなさん…。いま何カ月なの? 出産がんばって! よーし、あともうひとがんばりで赤ちゃんに会える…。

夫が背中をさすり、ねぼけまなこだった2人の兄妹が呆然と見守る中、おひさまと一緒にやわらかな産声が上がった。

喜びと安堵につつまれる中、7歳の息子が赤ちゃんを抱っこし、肩をふるわせてつぶやいた。

「いっくん、うれしいよ…ママ、元気な赤ちゃん、よかったね」。いつものおうちで朝を迎える。赤ちゃんを胸に抱いて。

「草野さん、おうちで産む意味があったわね」。助産師さんがささやいた。

私はちいさくうなずいた。

岡山県 39歳

産経新聞 2017年12月15日 ーより

[提供/産経新聞 ・ 構成/grape編集部]

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