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友人から届いた白紙の手紙 隅っこに書かれた言葉を読んだ時、涙がこぼれた

By - 産経新聞  公開:  更新:

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※写真はイメージ

産経新聞大阪版、夕刊一面で毎日連載中。一般の方から寄せられた600字のエッセー『夕焼けエッセー』。

さまざまな年齢、職業の人々がつづった等身大のエッセーをご覧ください。

手紙はステキ

子供の頃、九州の祖父母によく手紙を書いた。そして、返事がくるのを楽しみにしていた。学生時代は、友達とラブレターのことで話をし盛り上がった。そんな私も、いつからか手紙を書くことから遠のいていた。

今秋、天職だと思っていた職場を去ることになり、心寂しい毎日を送っていた。知人たちから、私の寂しさに寄り添う気持ちの文面がメールで送られてくる。ありがたいと思う気持ちがありながらも、表面的なことのようにも思え、冷めてしまう瞬間もあった。

そんな時、20年以上前に一緒に仕事をしていた女性から、一通の封書が届いた。花柄の便せん5枚に見覚えのある文字で、彼女の近況や今後について4枚にわたって書かれていた。彼女らしい謙虚さと明るさ、そして少しのユーモアさが読み取れ、昔を思い出した。5枚目の便せんは白紙であり、右上の隅っこに「私の気持ち」と書かれていた。

また、「言葉にできない気持ちが郵便局員さんの手で届きますように」とも。

私はこの手紙を読みながら言葉にならない体の奥底から込み上げてくる感情とともに熱い涙が頬を伝った。しっかり郵便局員さんが届けてくれたのです。

いつもならすぐにメールで返事を送る私だが、この日は早速出かけ、秋桜(こすもす)のレターセットを購入した。なぜかまた涙が込み上げた。手紙のステキさを思い出した。久しぶりに夫にも書いてみようかな。

大阪府 53歳

産経新聞 2017年11月28日 ーより

[提供/産経新聞 ・ 構成/grape編集部]

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