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「あかん、動けんがな」押さえ込まれた父 勝ち誇る息子に対し、心に誓ったのは

By - 産経新聞  作成:  更新:

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産経新聞大阪版、夕刊一面で毎日連載中。一般の方から寄せられた600字のエッセー『夕焼けエッセー』。

さまざまな年齢、職業の人々がつづった等身大のエッセーをご覧ください。

あかん、動けんがな。

あかん、動けんがな…。

どうあがいても、上から受ける圧力に屈服させられる。完全に組み伏された。そう、その圧力の主は中学2年になる息子である。見た目はひょろっとしてるので、まだまだっと思っていたが、スポーツをしてるのが影響してか、案外がっちりしてる。柔道でいう上四方固めのような形に完全に組み伏されてしまった。完敗である。

昔、とても流行したドラマで北海道を舞台に父と子供2人の成長を物語るものがあったが、その中で、主人公の父親と息子が親子げんかの際に、初めて息子に押し倒される場面があり、親子ともども困惑するシーンがあったが、今の自分がまさにそのものだ。

あのシーンを見たときに、まだ独身で若かった自分が、そういうふうになったらどんな気分だろうと想像できなかったが、今はよくわかる。なんともうれしいような悲しいような情けないような…。

生まれたときは両手にのるようだったのが、ついこの前まで、叱られたら、ビービー泣いていたのが、いっしょに走っても、ただ後ろからヒーヒーとしんどそうについてきてた息子が、今はもう、組み伏されてひっくり返せないような男に成長したことに、万感がこみあげる。

そんな感慨にふけっていると、息子がにやにやと笑ってこちらを見た。そんなこちらの思いとはうらはらに、その勝ち誇った顔を見ていると、急に復讐心に火がつき、明日から、筋トレでもして見返してやるぞと心に誓う父であった。

まだまだ負けへんで~。

大阪府 50歳

産経新聞 2019年03月04日 ーより

[提供/産経新聞 ・ 構成/grape編集部]

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