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INF条約廃止で加速するミサイル開発~中国を入れた新たな枠組みが必要

By - ニッポン放送  公開:  更新:

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(3月15日放送)に外交評論家・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦が出演。INFと世界のミサイル状況について解説した。

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アメリカが8月にもミサイル発射実験へ

アメリカがINF(中距離核戦力全廃条約)で規制されている地上発射型巡航ミサイルの実験を8月にも行う可能性があることが明らかになった。さらに11月には中距離弾道ミサイルの発射実験を行う計画もあるとみられる。トランプ政権は、ロシアによる違反などを理由に条約の破棄を宣言したが、実際にミサイル発射実験に踏み切れば米露関係が一段と悪化するのは避けられない。

飯田)ロイター通信が、アメリカ国防総省当局者の話として13日に伝えたと言うことですが、メールも来ております。川口市51歳の男性、「変に北朝鮮を刺激してしまうのではないですか?」という指摘です。

宮家)逆に言うと、北朝鮮でも作れるミサイルだということですよね。1980年代の終わりにINF条約ができたのだけれど、当時でもそんなに難しい技術ではありませんでした。いまは21世紀ですから、誰だって作れるのですよ。冷戦時代にああいう形で米ソが信頼醸成措置の一環として、お互いに騙し合わないということで合意を結んだ。これは良いことです。だけど、いまのように米露だけではなく中国やイランのような国々まで核やミサイルを持つ時代になって来ると、INF条約は1つの歴史的役割を終えたと思います。そうすると、新しい形の軍備管理が必要になって来ますが、ロシアとしてはアメリカのミサイル防衛システムが脅威ですから、あれに対抗する新しいミサイルをどんどん作って行かなければならない。ミサイル防衛では守れないようなものを作らなければいけないわけですよね。そうなると、中距離ミサイルにも十分な意味があるので、ロシアは開発を止めませんよ。
ですからこれはもう1回やり直しになるのですが、そのとき日本からすればもちろん北朝鮮のことも大事ですが、問題は中国なのですよ。中国がこの合意のなかに全く入っていませんから、本来であれば中国を入れた新しい軍縮を始めなければいけない時期に来ているのだろうと思います。

飯田)中国の言い分としては遅れて来たということもありますけれど、我々は先制不使用を宣言しているのだと。

宮家)こんなものは関係無いですよ。彼らは使うときは使うのだから。先制不使用を決めたとしても、「気が変わりました」と言えば、それまでです。何の役にも立たないので、中国も本気で減らしてもらわなければいけない時期に来ているのだと思います。

当時の世界の軍事状況と日本の関わり

飯田)INFができた当時の状況だと、中距離ミサイルは当時のソ連がアメリカ本土を大陸間で狙うよりは、ヨーロッパを狙うものだったのですよね。

宮家)500キロからですよね。500キロ~5,500キロまでで、それを超えるとICBMになります。500キロ未満は短距離で、それ以上が中距離だったと思います。おっしゃる通り、ヨーロッパの地形が前提になっているのでしょう。日本にとっても、500キロだったらこちらへは来ないけれど、1,000キロを超えたら日本に届いてしまいます。決して他人事ではなく、自分の問題として捉えなければいけません。本当だったら日本も交渉に参加して、主張して日本も必要な準備をする。いろいろな選択肢があります。

飯田)30年前の外交文書が一部公開になっていて、まさにINFができるかできないかの時期に、日本の当時の中曽根政権も裏では交渉していたという話があります。

宮家)ウラル以東に持って来るのも駄目だと、あのときは日本としては戦後初めて戦略問題について自己主張をして、その主張が受け入れられた画期的な交渉だったのです。もちろん裏でやっていたのですが。現在の状況はもっと大きな意味で日本に影響を及ぼすようになることは間違いないですね。

INF INF撤廃条約 中距離弾道ミサイル ICBM ロシア アメリカ プーチン トランプ 中国

どの国も軍事的優位に立つことを常に考えている

飯田)こうやって、発射実験でのぶつかり合いが出て来る裏では、当然次の枠組みへの交渉はやるわけですよね。

宮家)やるでしょうね。ただ、いまの段階では交渉を念頭に開発しているわけではないですからね。例えば、米国が実験を計画している射程1,000キロのものは成功すれば18ヵ月以内に配備されます。18ヵ月でできてしまうと言うことは、もう十分に研究をやり、試作機を作り、あとは実験だけずっと待っていて、それでロシアがあんなことをやったから「それならやってしまえ」となった。だから18ヵ月でできてしまうのです。0から始めたら18ヵ月で配備できるわけがないしね。と言うことは、アメリカも準備をしていたのです。交渉前提と言うよりは、それぞれのミサイル分野でいかに相手より優位に立てるかを考えているのだと思います。交渉はその結果として出て来るものであって、最初からあるものではありません。

飯田)日本もボーっとしている場合ではないですね。

宮家)これは非常に大事な問題ですよ。日本にとって重大な問題だと思います。

飯田浩司のOK! Cozy up!
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