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映画監督・中村和彦 障がい者サッカーをテーマにした映画を撮り続け、電動車椅子サッカー日本代表を追った『蹴る』が公開

By - ニッポン放送  公開:  更新:

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毎週月~木曜日13時42分時から放送しているニッポン放送『ニッポンチャレンジドアスリート』。
障がい者アスリート本人や、障がい者スポーツ・障がい者アスリートを支える人たちから、競技のこと、これまでの活躍や活動、現在そして未来のことなどを伺います。

今回のゲストは電動車椅子サッカー日本代表を描いた映画『蹴る』の中村和彦(なかむら・かずひこ)監督です。

1960年、福岡県生まれの58歳。2002年、劇場用映画の監督としてデビュー。サッカー日本代表のDVD制作にも携わり、2007年、知的障がい者サッカーのワールドカップを描いた『プライド in ブルー』、2010年、ろう者(しゃ)サッカー女子日本代表を描いた『アイ・コンタクト』と、障がい者サッカーをテーマにした2本のドキュメンタリー映画を監督。

去年、電動車椅子サッカー日本代表の競技に対する思いを描いた最新作『蹴る』をクラウドファンディングも使って6年がかりで完成させ、今年3月23日より、ポレポレ東中野で公開予定です。

3本の障がい者サッカー映画を撮っている中村監督に、それぞれの競技に惹かれた理由、選手たちを追っていて見えてきたこと、以前この番組にも出てくれた電動車椅子サッカー日本代表の永岡真理さんの競技に懸ける情熱、『蹴る』でぜひ観てほしい部分、映画監督の目から見た障がい者サッカーの魅力など、いろいろお話を伺いました。

■大学時代に、映画の道に入った中村さん。並行して、サッカーのドキュメンタリー映像も撮るようになった。

「中高は野球部だったんですが、サッカー好きの野球部として過ごしてきました。Jリーグができた後、草サッカーを始めて、フットサルもやったり。そんな感じのサッカー好きです」

「映画の仕事は、大学生のときから映画の助監督を始めて、そのまま中退して、映画の世界へ入っていきました」

「せっかく映像の仕事をしているので、サッカーの映像の仕事ができないか、と。たまたま紹介してもらって、日本代表のオフィシャルDVDのディレクターを務める機会を得たのが最初です。2004年のアジアカップあたりから、やらせていただけるようになりました」

■中村さんは、大好きなサッカーを映像にする喜びを感じながらも、一方で、映画監督としてのフラストレーションは溜まっていた。そんなとき、知的障がい者サッカーと出会う。

「やはり映画にを撮りたいという思いが強くありまして。それで、2002年の日韓ワールドカップのあとに、日本で知的障がい者の世界大会があり、そのときに初めて存在を知って。その4年後2006年に、知的障がい者の日本代表が参戦するということで『これは映画になるのではないか』と撮り始めました」

■知的障がい者サッカーを追いかけた中村は、2007年、監督第2作となるドキュメンタリー映画『プライド in ブルー』を完成させ、劇場公開した。

「2006年のドイツのワールドカップのときに世界大会があると知って、知り合いのプロデューサーに相談して、資金的なことがはっきり決まる前に、まずは合宿に通うことから始めました」

「知的障がい者のサッカーは、代表に選ばれる人たちは比較的(障がいが)軽い人。たとえば、サッカーでいえば守備の部分、ひとりがスライドしたら2人目はこう動かなきゃいけないとか・・・2人目、3人目の動きを考えるのがなかなか難しい」

「当時は、養護学校に行ったりすると、(障がいが)軽い人は、重い人の憧れの存在でもあるのを感じて。健常者の中ではいろんなことができない人が、知的障がい者のなかではヒーローになれる。違う側面から見るとまったく違う存在なんだな、というのを感じながら、撮影しました」

■『プライド in ブルー』から3年後の2010年、中村さんは、聴覚に障がいのある選手による「ろう者サッカー」の女子日本代表に注目、映画を完成させた。

「劇場公開用映画の中で3作目が『アイ・コンタクト』になります。『プライド in ブルー』の映画のなかで、最後のエンディングテロップに、各障がい者サッカーと、その当時の日本代表のゴールシーンが出てきて、それは『ゴールの重みは、何ひとつ変わらない』という思いを込めて並べたんです。そのときに、知的障がい者サッカー以外の障がい者サッカー・・・その当時は4つあって、全部行きまして。そのときにろう者サッカー『デフサッカー』と出会いました。行った時にもう『撮りたい』と」

「まず、障がい者サッカーの中で、女子日本代表があるのは、その当時、ろう者サッカーだけだったということが、1つ関心を持つきっかけ。あと、聞こえない人の世界。サイレント映画みたいな、もともと音がなかった『映画の原点』に戻ったような映画が撮れるんじゃないか、という映画的な興味もあって、すぐ撮りはじめたのが『アイ・コンタクト』です」

「映画の中で『顔を上げないと伝わらないから』ということをしゃべっている選手がいて、その言葉は映画のコピーでも使ったんですが、目と目をあわせて、アイコンタクトを取ることで、彼女たちは初めて意思疎通ができる。心だけでは通じないというか、そういう、見ることの大切さをすごく感じる映画になりました」

■指先で操作する電動車いすに乗った4名の選手が、ドリブル、パス、回転シュートを駆使してゴール数を競う、電動車いすサッカーの選手たちの多くは、重い障がいを持っている。前作から9年、中村さんが電動車いすサッカーを追いかけようと思った理由は?

「知的障がい者のサッカーの映画『プライド in ブルー』のラストの撮影で、電動車いすサッカーを、一度観に行っていて。2011年に5年ぶりで観たんですが、国際ルールが変更になっていて、ボールの大きさも32.5センチに。車いすのスピードも速くなったり、より競技性の高いスポーツになっていたということで、興味をもちました」

「久しぶりに見たときに、永岡真理選手を観たんです。その試合は、日本代表と関東代表の強化試合で、彼女は日本代表ではなくて、相手チームにいたんですが、彼女の気持ちの強さみたいなのが、客観的に観ても伝わってきて。すごく彼女に関心をもって『撮りたいな』と思ったのが最初のきっかけですね」

「それは、なでしこジャパンが世界一になる前の日。つまり『もう1人のなでしこジャパンが、ここにもいる』と思ったのが始まりです」

■去年、電動車いすサッカー日本代表を描いた最新作『蹴る』が、6年の月日を経て完成。いよいよ今月(2019年3月)から、一般公開が始まる。

「映画『蹴る』は、まず東京国際映画祭のオールナイト上映という形で、最初に昨年10月に上映、先日横浜フットボール映画祭でも1日上映する機会がありました。今後は、3月23日から、ポレポレ東中野でも一般公開が決まっています」

「1人だけでなく、複数の選手を撮っていますので、その思いの強さも観てほしい。当然、試合の場面もありますが、プライベートも結構撮影してまして、たとえば恋愛の場面、いろんなカップルが出てきたり、いろんな悲喜こもごもがあったりして。競技の魅力も見てほしいし、プライベートでいろいろ思い悩んで生きている様、そういった面も観て欲しいと思います。いろんな出来事が起こって来ますので、その6年を観てほしいです」

■映画監督の目から見た、障がい者サッカーの魅力を、中村さんに聞いた。

「サッカーということで言えば、ゴールの喜びは何も変わらない。それは障がい者であっても、何であっても。やはり、サッカーは、障がいというものをひとつ超える存在になる得る、という思いはすごくあります」

「バスケットコートくらいの大きさで、4対4でプレーするスポーツですから、意外とスペースがなくて。その中でボールを通すスペースを探してゴールしていくというのは、理詰めみたいなこともあって、極めて戦術性の高いスポーツです。そういった意味でも、とても興味深い。電動車いすサッカーの魅力を映画で感じとってもらえると思うので、観ていただければと思います」

※放送内容は、上のYouTubeの再生ボタンを押すとお聴きになれます。

電動車椅子サッカードキュメンタリー『蹴る』予告編

ニッポンチャレンジドアスリート

ニッポン放送にて、月曜日~金曜日、13時42分から放送中。 パラアスリート本人や、パラスポーツ・パラアスリートを支える人たちから、競技のこと、これまでの活躍や活動、現在そして未来のことなどを、インタビュー形式でお話頂くラジオ番組です。
http://www.1242.com/challenged/

出典
【中村和彦】映画監督。障がい者サッカーをテーマにした映画を撮り続け、今年3月、電動車椅子サッカー日本代表を追った『蹴る』が公開。電動車椅子サッカードキュメンタリー『蹴る』予告編

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