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87歳の母親に怒りをぶつけた息子 5年後の展開に、胸がしめつけられる

By - 産経新聞  公開:  更新:

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※写真はイメージ

産経新聞大阪版、夕刊一面で毎日連載中。一般の方から寄せられた600字のエッセー『夕焼けエッセー』。

さまざまな年齢、職業の人々がつづった等身大のエッセーをご覧ください。

後悔

昨年十一月に旅立った母は、九十二歳のお誕生日を迎えて一週間後だった。

独居・難聴でもあったため、晩年は施設でお世話になっていた。面会に行くと「今日は何時までおれる?」と聞かれた。

時々、煩わしく思うこともあったが今は、それを後悔している。

約五年前、まだ母が元気だった頃、二人でひらかたパークに菊人形を観に行った。

母の大好きなお寿司をいっぱい食べさせてあげてから行く約束をしていたのに待ち合わせに現れた母の手にはコンビニ弁当。

私にお金を使わせては悪いと思ってのことだった。

それなのに私は思わず「お寿司食べに行くって言うたやろ」と言ってしまった。

あの時の寂しそうな母の顔。

なぜ、「重たいのに買ってきてくれてありがとう」と言えなかったのだろう。

菊人形の前で撮った写真が葬儀の後に出てきた。

やっぱり母は悲しそうな顔だった。

今は、もう逢って謝ることもできない。

大阪府 65歳

産経新聞 2018年03月13日 ーより

[提供/産経新聞 ・ 構成/grape編集部]

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