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韓国の水産物輸入規制の日本逆転敗訴は国際機関の限界か?

By - ニッポン放送  公開:  更新:

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(4月12日放送)に外交評論家・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦が出演。韓国が福島県や岩手県産の水産物を輸入禁止にしている問題で、WTOは韓国の措置を妥当とし、日本が逆転敗訴したニュースについて解説した。

12日、水産物輸入禁止措置を巡り、WTOで韓国勝訴の判断が出たことを喜ぶ市民団体=2019年4月12日 ソウル(共同) 写真提供:共同通信社

韓国の水産物輸入規制~日本は逆転敗訴へ

2011年の東京電力福島第1原発の事故後、韓国が福島など8つの県で獲れた水産物の輸入を停止している問題で、世界貿易機関(WTO)の最終審に当たる上級委員会は4月11日、禁輸措置を事実上妥当とする判断を下した。禁輸を不当とした一審に当たる紛争処理小委員会(=パネル)の判断を覆し、日本は逆転敗訴となる。

飯田)WTOは裁判所ではないのですが、日本の敗訴となりました。

宮家)WTOの関連協定によると、農産物等について安全の検査をするとき、輸入品と国産品が同等の産品なら同等に扱わなければいけない、差別してはいけないと言っています。新聞を各紙読みましたが、なぜこういう結果になったか書いているところはありません。それで調べてみたのですが、「健康を重視する」という観点から日本の農産物が韓国のそれと「同等かどうか」という点が検討された結果、「同等ではない」という判断になったようです。

飯田)日本の農産物と、例えば韓国の農産物と。

宮家)日本で未曽有の事故があって、それに対して韓国国内では健康に関する懸念が生じていた。それをもって韓国の農産物と日本の農産物は同等ではない、だからある程度の差別的な扱いは仕方がないという結論です。
協定としてはそうなのかもしれない。だけど、それはおかしいのではないかと思います。だって僕らは福島産の食品を食べていますから。懸念は韓国にもあるのかもしれないけれど、どうも一部の国の動きをみていると政治的な部分を感じざるを得ない。判断によれば、日本政府は「両者が同等であること」について必ずしも十分に説明できていないと書いてあります。残念ですが、こういう判断が下されました。
もう1回判断を仰ぐのは難しいのだろうけれど、ここは地道にやるしかないですね。本来のシナリオでは、ここで勝訴してキャンペーンを張る予定だったのでしょうけれど、非常に残念です。

決して韓国の勝訴ではない~主権まで踏み込めない国際機関の限界

飯田)もともと震災直後の基準を引き上げるなどして、日本からの水産物の輸入を停止した国は50ヵ国以上あったのですが、いまはその数も減って来ました。科学的に考えて、妥当だと評価してくれる国も増えていますよね。

宮家)増えています。日本はやるべきことをやっていますから、分かってくれる人は分かってくれるはずなのですが、分かってくれない人もいる。

飯田)Twitterでも頂いています。大船渡の水産加工業の話を引き合いに出して、「小さな加工場であってもきちんと検査して、何億という機械を入れてチェックしているのだ」と言う話もあります。また岩手県の49歳の方から、「放射線検査をしても禁輸というのは何か非科学的な判断のような気がして、政治的なもの、あるいは袖の下みたいなものがあったのですか?」というご意見も頂いています。

宮家)政治的な思惑でやっている国はやるだろうけれど、パネル(WTO紛争処理小委員会)が政治的な判断を下したとは思わない。ただし、科学的な根拠もさることながら、ある国から「国民が心配しているので」と言われたときに、「そんなことはない」とWTOのパネルが安全宣言を出せるわけはないのです。

飯田)結局、国際機関というものは、主権のところまでは…。

宮家)言えないですから、心配だと主張されると、「違います」というところまでは踏み切れません。だから決して韓国の勝訴でも何でもない。

飯田)勝訴・敗訴と書くとセンセーショナルですが。

宮家)パネルとしては、それ以上の判断ができなかったということだと思います。

飯田)これが国際機関の限界。

宮家)しかもプロの検査機関ではなく、いろいろな人が考えた結果です。日本ががっかりするのは仕方のないことですが、これで諦めてはいけない。

5日、総統府で、海外メディアとの会見に応じる蔡英文総統=2019年1月5日 写真提供:産経新聞社

台湾でも輸入規制継続~地道に交渉するしかない

飯田)国際機関がこうやってケツをまくってしまうと、あとは二国間で地道に交渉して行くしかない。

宮家)韓国が懸念を示しているだけで、韓国がおかしいのですよと、他の国を説得するしかない。韓国は当分やめないでしょう。

飯田)ある意味、外堀を埋めるような形で。

宮家)実は台湾がまだそれをやっているのです。台湾に対しては、WTOで韓国が勝った負けたではなく、「これだけ日本と関係がいいのに、まだそんなことをやっているの?」と日本側は説得しているのだ思いますが、なかなか言うことを聞いてくれない。関係のいい国や地域から突破口を開いて行くしかないのかもしれません。

飯田)この間の台湾統一地方選挙のときに、日本からの食品輸入規制を続けるかどうか賛否を問う住民投票も併せて行われていて、残念ながら輸入規制の継続が決まりました。

宮家)でも徐々に分かってくれるとは思いますよ。あまり時間をかけている暇はないけれどね。

飯田)そして日本へ風評被害が戻って来るのがいちばん怖い。湯河原の方からメールも頂いております。「私の故郷は福島です。風評被害が酷いときに、『福島県なんか日本からなくなればいいのに』と近所のおばあさんに言われて、私は涙が止まりませんでした。韓国どころか日本のなかであっても、福島県産のものはすべて危険だと思っている人がまだいる。やりきれない気持ちで胸が痛みました。故郷を離れて何ができるのかと言えば、福島県産のお米・野菜・果物などを購入するくらいしかできませんが、これからもふるさとの味を懐かしみながら進んで食べて行きたいと思います」。

宮家)当然ですよ。僕は原発を見に行ったこともあるし、お米だって美味しかったです。何だって食べましたよ。何の問題もないです。

飯田)不安な方は『ふくしまの恵み』というホームページに、逐一モニタリング調査している模様であったり、数字なども全て公開していますから、ご自身で判断していただければと思います。うちも『天のつぶ』という福島のお米を食べています。

飯田浩司のOK! Cozy up!
FM93AM1242ニッポン放送 月-金 6:00-8:00

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ニッポン放送韓国の水産物輸入規制の日本逆転敗訴は国際機関の限界か?

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