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履歴書ならぬ「魚歴書」も話題に! 日本で4番目に小さい竹島水族館が挑んだ工夫

By - ニッポン放送  公開:  更新:

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それぞれの朝は、それぞれの物語を連れてやってきます。

画像は竹島水族館HPより

美術展や写真展、動物園や水族館に出かけますと、それぞれの絵や写真、動物や魚を説明するプレートが貼ってあります。

「高い予算をかけて、きれいに作ったプレート。それをろくに読みもしないで、展示物だけをどんどん見て行く人が多かったんです。何とか楽しく読んでもらう方法はないものだろうかと思ったんです」

こう振り返るのは、愛知県蒲郡市の竹島水族館の館長・小林龍二さん、38歳。減り続ける入場者を何とかしてほしいという命を受けて、館長に就任したのが2015年4月のこと。

「どうしたらいいものかと、有名な水族館や人気の施設を見て回ったんです。いろんなことに気づきました。説明書きのプレートが読まれていないこと。それから、お客様たちの会話で多かったのが『わぁ、この魚おいしそう!』『これって食べられるのかなあ?』というようなものでした」

ユニークな文言が踊る「魚歴書」(画像は竹島水族館HPより)

ここに気づいた小林さんは、魚たちの説明書きをすべて手書きのポップに書き換えたのです。その魚になり切って、経歴や性格などを履歴書ふうに書いた「魚歴書」。たとえば「クエ」という魚の「魚歴書」はこんな具合です。

『幸運にも市場に出されることなく三重の水族館に着く。三重ライフの生活を満喫しはじめた頃、竹島水族館にグソクムシとトレードされて来館。2017年、人気投票48位。キング・オブ・高級魚。通りすがりに「おいしそう!」って言われまくる。基本はほがらかですが新人には厳しいと評判です。高級魚ですが、何でも食べます…っていうか、食べさせられてます。イイもん食わせろ!』

万事こんな調子なので、思わず足を止めて読んで笑う人も増えました。「うちの魚歴書には、科学や図鑑の知識は必要なし。楽しければいいんです」

しかし若き館長が打ち出すアイディアは、ベテランの飼育員などには、なかなか受け入れてもらえませんでした。「客が来ても来なくても給料は一緒。それなら客は来ない方が、仕事が楽!」蔓延していたこんな考え方を一掃するには、長い時間が必要だったと言います。

水族館にはアシカの仲間である「オタリア」も(画像は竹島水族館HPより)

小林さんは蒲郡生まれ地元の高校を卒業後、北里大学水産学部(現・海洋生命科学部)に進学。その後、竹島水族館に就職。2年半ですべての魚の担当を経験し、熱帯魚やアシカなども担当。入館者増加の理由の1つとなった「さわりんぷーる」「まったりうむ」などをプロデュース。館長に就任しました。

「15年ほど前、『竹島水族館はもう閉館だ』という声が出ていたんです。20万人あった年間入場者が、2005年には12万人まで落ち込んでいました。でも、いちばん辛かったのはお客様たちの言葉でした。『つまんなかったね』とか『なぁんだ、これで終わりなのか』とか、私たち飼育員にわざと聴こえるように言われた言葉です。でも、それがあったからこそ『よぉ~し!』とがんばれたんだと思います」

平成22年3月オープンの「さわりんぷーる」(画像は竹島水族館HPより)

小林館長の言葉通り、2010年には入場者が20万人にまで回復。そしてさらに去年(2018年)は、47万人という過去最高人数を記録しました。小林さんは館長に就任してからも半ば強引に現場にこだわりつづけ、海水魚の飼育を続け、アシカショーにも出演しています。

「デスクに座ってあれをやれ、これをやれだけで人は動きません。だから、うちでは館長室というものも廃止して、私はみんなと一緒にいます。でも水族館の人気者、イルカ、ラッコ、シャチなどは広い水槽が必要なので予算上、購入できませんでした」

こんな格言があります。『自分に無いものを嘆くより、いまあるものに感謝しよう』。小林さんが目を付けたものは、すでに飼育していたカピバラでした。そこでプロデュースしたのが、珍しすぎる『カピバラショー』

癒し系ののんびりしたカピバラが、まったくヤル気が無さそうに繰り出す「お手」「時計回り」「反時計回り」「輪くぐり」といったジミ~な芸。しかし、気が向かないと全く動こうとせず、飼育員を振り回します。あわててオタオタする飼育員。それを見てお客さんは大喜び! これが、小林さんプロデュースの珍しすぎる『カピバラショー』です。

画像は竹島水族館HPより

他にも、グソクムシ、タカアシガニなどに直に触れることができる「深海タッチングプール」「アシカの公開トレーニング」などなど、お客様に喜んでもらえそうな企画が次々に表れます。

見上げるような大水槽も無い、イルカもいない、サッと見るだけなら15分もあれば十分という、日本で4番目に小さな水族館。そこに1時間、2時間と足を止めてもらえるようになったカゲには、500種類の生き物を飼育する小林さんたち8人のスタッフのたゆみない努力があるのでしょう。ちなみに破格の入場料は、大人500円。小・中学生、200円です。

『へんなおさかな 竹島水族館の「魚歴書」』(監修:小林龍二(竹島水族館 館長)/編者:竹島水族館スタッフ)※画像はAmazonより

上柳昌彦 あさぼらけ
FM93AM1242ニッポン放送 月曜 5:00-6:00 火-金 4:30-6:00

朗読BGM作曲・演奏 森丘ヒロキ

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