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杉真理が語る『A面で恋をして』制作秘話~なぜ大滝詠一は3人でレコーディングしたのか

By - ニッポン放送  公開:  更新:

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毎週土曜日朝8時放送 ニッポン放送『八木亜希子LOVE&MELODY』より。

番組スタッフが取材した「聴いて思わずグッとくるGOODな話」を毎週お届けしている【10時のグッとストーリー】

きょうはスペシャル企画「梅雨はスカッと! 気持ちいい曲、聴きませんか?」にちなんで、「ナイアガラ・トライアングル」の爽快なヒット曲『A面で恋をして』の誕生にまつわるエピソードをご紹介します。

大滝詠一さんが、まだ無名の新人だった佐野元春さん・杉真理さんを誘ってユニットを結成した理由は……? レコーディングのときのエピソード、大滝さんとの忘れられない思い出について、メンバーの1人・杉真理さんにお話を伺いました。

「ナイアガラ・トライアングル」メンバーの1人、杉 真理さん

いまから37年前、1982年3月に発売された、大滝詠一さん作曲のナイアガラ・トライアングル『A面で恋をして』。当時大滝さんは、81年に発表したアルバム『ア・ロング・バケーション』が驚異的なセールスを記録。『君は天然色』もヒットして世間でも注目の存在でした。ソロデビューしてまだ数年の杉真理さん・佐野元春さんにとっては、まさに雲の上の存在。杉さんは言います。

「デビューした直後に『コーラスの仕事をちょっと手伝って』と呼ばれたのが、大滝さんとの初仕事です。いま思えば、大滝さんは僕の実力を試そうと呼んでくださったんでしょうね」

実は大滝さんは、杉さん・佐野さんと組む6年前に、後輩の山下達郎さん・伊藤銀次さんを誘って「ナイアガラ・トライアングル Vol.1」をリリース。1枚のアルバムで3人のアーティストが競演する画期的な作品は、一部で高く評価されましたが、セールスには結びつきませんでした。

「いつか第2弾を……」と構想を温めていた大滝さんは、若くして優れた音楽センスを持つ杉さん・佐野さんの存在を知り、「この2人とナイアガラ・トライアングルをやろう!」と決意。ただし実現するには所属事務所などの壁があったため、大滝さんは思いきった行動に出ました。

当時、新宿で新人アーティストを紹介するライブショーがあり、佐野さんと杉さんが出演することを聞きつけた大滝さんは、突然会場を訪問。杉さんのライブ中にゲストとしてステージに上がると、お客さんが見ている前で、いきなりこう切り出したのです。

「またナイアガラ・トライアングルをやろうと思うんだけど、佐野くん、杉くん、どうだい?」杉さんも佐野さんも、答は1つでした。「やります!」

『ナイアガラ・トライアングルvol.2』ジャケット

杉さんは、のちに大滝さんからこんな打ち明け話を聞かされます。「あのとき、君たちの答が『事務所に相談します』とか『ちょっと考えさせてください』だったら、この話はなかったことにしようと思ってたんだ」

こうして大滝さんの強引な作戦が実り、「新ナイアガラ・トライアングル」の活動がスタート。3人はさっそくアルバム作りに取りかかります。プロデューサーでもある大滝さんの方針は、「純粋に、自分のやりたい曲を持ち寄る」。3人がそれぞれアルバムに入れたい候補曲を持ち寄って、大滝さんが収録曲を決定。1人4曲ずつ担当し、自分の担当パートは自分のところでレコーディングするというスタイルで、アルバム制作が進められて行きました。

杉さんの担当曲のなかに、ビートルズの影響を色濃く受けた『Nobody』という曲があります。曲を書いたとき、「いまさらビートルズっぽい曲をやっても、いまの若い人には伝わらないよ」というスタッフからの反対意見があり、杉さんも迷いましたが、大滝さんの意見はまったく逆でした。

「これこそ杉くんの得意な分野なんだから、堂々とやりなよ!」

杉さんは言います。「あのとき、大滝さんが『自分の好きなことをやるほうがメッセージも強く伝わるし、無理しなくていいから長持ちする』と教えてくれたことが、その後の僕のキャリアの上で大きな財産になりました」

『A面で恋をして』ジャケット

こうして3人が4曲ずつ、計12曲が完成しましたが、もう1曲、3人が一緒に歌うシングル用の曲もレコーディングされました。それが『A面で恋をして』です。杉さんのポップで爽快な歌声、佐野さんのロックボーカルが引き立つパートもちゃんと用意され、歌詞に合わせてマシンガンの音を入れるなど、大滝さんらしいユーモアや遊びも入ったこの曲。

職人気質の大滝さんはレコーディングのとき、いつもスタッフをスタジオから閉め出し、1人でのレコーディングにこだわることで有名でしたが、このときは珍しくスタジオにマイクを3本立て、3人一緒に歌入れを行いました。のちに杉さんが大滝さんに「何で一緒に歌ってくれたんですか?」と聞くと、大滝さんはこう答えたそうです。

「君たち2人が僕のオファーを快諾してくれたから、3人で一緒に歌いたかったんだよ」

杉さんは言います。「リリース30周年記念で久しぶりに集まったとき、大滝さんは僕たちに『君らは同志だから』と言ってくれたんです。新人だった僕と佐野くんに対等な立場で接してくれて、いろいろなことを教えてくれた大滝さんには、本当に感謝ですね」

八木亜希子 LOVE&MELODY
FM93AM1242ニッポン放送 土曜 8:00-10:50

八木亜希子 LOVE & MELODY

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ニッポン放送杉真理が語る『A面で恋をして』制作秘話~なぜ大滝詠一は3人でレコーディングしたのか

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