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右耳が聞こえない少年 「不自由だけど…」続く言葉に、熱いものがこみ上げる

By - 産経新聞  公開:  更新:

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※ 写真はイメージ

産経新聞で毎日連載中。一般の方から寄せられた600字のエッセー『朝晴れエッセー』。

さまざまな年齢、職業の人々がつづった等身大のエッセーをご覧ください。

自分の立ち位置

自分の視界に入るのは、いつも同じ景色だ。

僕は生まれつき右耳が聞こえない。だから、教室の座席でも右側の前2列しか座ることができない。そして、僕は同じ景色しか見ることができない。友達としゃべったりするときも、僕は友達の右に立つ。

もちろん、不自由な所もある。例えば、前述のように、自分の行動範囲が少し制限されることや、かくれんぼなどでは特にそうだが、みんなは音をたよりに進むことがある。しかし、僕にはそれができない。なぜなら、音がすべて左からなっているように聞こえて、音がどこからなっているか分からないからだ。

このように不自由な所があるが、僕は特に気にしていない。なぜなら、友達と遊べるし、笑い合うこともできる。授業も受けられる。先生に怒られたりもする。幸せじゃないか。友達に呼ばれたときに、どこから呼ばれているか分からないときなどは「両耳聞こえたらな~」と思うときもある。しかし、左耳しか聞こえないのは僕の個性だと思う。

周りから見た僕の「立ち位置」はいつも同じかもしれないが、つながりの面で見た僕の「立ち位置」はいつもみんなと楽しくしゃべって、いつも同じではなく、いつも違うところにいると思っている。僕はその「立ち位置」が好きだ。なぜなら、友達は、僕としゃべったりするとき、しれっと、左へ行ったりしてくれて、そういう友達の良い所がたくさん見られて、僕もうれしくなるからだ。

大阪府 14歳

産経新聞 2019年06月29日 ーより

[提供/産経新聞 ・ 構成/grape編集部]

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