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米中貿易戦争~中国がアメリカに取ることのできる3つの対抗策

By - ニッポン放送  公開:  更新:

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(8月7日放送)にジャーナリストの佐々木俊尚が出演。中国の「為替操作国」認定について解説した。

米中の貿易摩擦を背景に、大幅な値下がりが続く日経平均株価を示すモニター=2019年8月6日午前、東京都中央区 写真提供:産経新聞社

アメリカが中国を「為替操作国」に認定~中国人民銀行が批判の声明を発表

アメリカ財務省は5日、中国が自国の輸出に有利になるよう人民元を意図的に安く誘導しているとして、「『為替操作国』に認定した」と発表した。中国人民銀行は「単独主義的な行為で、グローバル経済や金融に大きな影響を与える」として、強く非難している。

飯田)7日朝、4紙が一面トップでこの米中対立、「為替操作国認定」というところを伝えております。

佐々木)そもそも「為替操作国」と言いますが、どこの国だって為替は操作しています。日銀だって対ドルレートが上がったり下がったりしたら、オペレーションをしてコントロールしています。ただ中国の場合で言うと、歴史的にずっとドルにペッグしていたのですよ。

飯田)ドルの値動きと連動させて。

佐々木)中国にお金がなかった昔は問題にならなかったのだけれど、2000年代に入ると中国は急速に経済成長して来て、世界経済に大きな影響を与えるようになった。すると不当に安い人民元で貿易していることに非難が高まって、1回ドルペッグをやめて、バスケット制になりました。つまり、ドル、円、ウォン、ユーロなどに連動させる方向に変えて来ているのです。だからそんなに問題ではありません。
しかし中国にはもう1つ問題があって、例えば日本円だとすごく円高円安に振れたときに、日銀が駆り出されてもあまり効果がなかったではないですか。中国は上海に外貨取引センターというものがあって、そこがかなり厳密に人民元の流出、流入をコントロールしているので、政府がコントロールしやすいのです。だから「為替操作国」と言われる1つの原因になっているのです。ただ、中国からしてみると、ドルペッグをやめて通貨バスケット制に変えたりといろいろ対応して来たのに、何で今更こんなことを言うの? と思っていると思います。
現状、この問題はここだけで見るのではなくて、次に中国がこれに対してどう出るのかということを考えなければいけないと思うのですよね。

中国が可能な3つの対抗策

飯田)メールもいろいろいただいているのですが、埼玉県朝霞市の“すえ”さん、55歳の公務員の方。「質問です。中国政府はアメリカの国債を売却しますか?」というものです。確かに、米国債は相当落ちるでしょうね。

佐々木)中国側の可能な対策は3つあると言われています。1つは、レアメタルの輸出禁止です。

飯田)尖閣の漁船衝突のときにやりましたね。

佐々木)アメリカに対してやる可能性は無くもないかなと。中国の内陸はレアメタルの宝庫ですから、世界中のIT系テクノロジーは物凄い打撃を受けます。
2つ目は、中国国内に進出している海外企業に対する規制です。これも大きいでしょう。そして3つ目が米国債売却だと言われているのですが、今年(2019年)の初めくらいに大量に売却した事件があって話題になったのだけれど、そのあとでまた大量に買っているのですよね。結局、中国政府としてはそれを切り札にしてしまうと、たくさん米国債を持っていますから、一部でも売却すると値崩れするではないですか。そうすると、中国の外貨預金が一気に減るという問題があるので、そこまで踏み込めないのではないかと思います。

飯田)これで外貨準備高を積み上げて、AIIBを介し、そのドルをさらに投資に向けているという話もあります。

将来、世界が経済的に二分する可能性も~米英日対欧州・中国大陸国家

佐々木)そういうことですよね。結局、アメリカと中国の間で消耗戦になります。レアメタルだって、輸出を禁止すれば一瞬アメリカは困るかもしれないけれど、結果的に中国にも被って来る。それだけグローバルなサプライチェーンネットワークができ上がっているわけだから、何か対抗策を打てば自分たちも傷がつく。それは米中両方ともそうなのですよ。そうなると、いま飯田さんがおっしゃったように、ここで消耗戦に引きずり込んでしまうよりも、AIIBのような一帯一路戦略で中央アジアやアフリカ、あるいはヨーロッパとの経済的な結びつきを強めて行って、最終的にアメリカを孤立させる方向に持って行った方が得策ではないかと思います。
近い国とは仲が悪いけれど、遠い国とは仲がよいという。日本は韓国、中国と仲が悪いけれど、インドとは仲がよいですよね。それと同じで、何故かヨーロッパは中国に対してそんなに悪いイメージが無いのですよね。経済的な結びつきも非常に大きいですから、EUが中国になびいて行く可能性はあります。アフリカは完全に中国経済支配圏に入りつつあって、東南アジアもそうですよね。アメリカは強大な大国ですが、一方で世界的に見ると、実は孤立しつつあるのはアメリカではないかという考え方もあります。日本はそれについて行っています。そうすると、日米 VS 中国・ヨーロッパ経済圏のようなブロック化も起きなくもないのかなと思います。

飯田)広く世界地図で考えると、ユーラシアグループと太平洋の国々ということになるのですかね。

佐々木)しかもイギリスがEUを離脱して、最近は日英同盟が再燃みたいなこともある。軍事的な結びつきも、アメリカ、日本、イギリス対ヨーロッパ・中国大陸国家という。

飯田)世界地図の再構築ということになってしまいますね。

佐々木)20世紀の初めごろに言っていた、海洋国家対大陸国家の対立が地政学上、浮上して来ることもあり得るのかなと思いますね。面白い時代になって来ましたよ。

飯田)そこで、どういう立ち位置を取るかというのが……。

佐々木)日本は本当に難しくて、これから軍備をどうするのかという安全保障の問題を考えだすと、途方もないくらいにたくさんありますよね。

飯田浩司のOK! Cozy up!
FM93AM1242ニッポン放送 月-金 6:00-8:00

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ニッポン放送米中貿易戦争~中国がアメリカに取ることのできる3つの対抗策

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