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パキスタンが対インド貿易停止~古くて新しい両国の争い

By - ニッポン放送  公開:  更新:

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(8月9日放送)に外交評論家・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦が出演。インドとパキスタンがカシミール地方の自治権を争うことになるこれまでの経緯、現在の両国の関係について解説した。

パキスタンがインドとの二国間貿易を停止

パキスタンは7日、インドが北部ジャンムー・カシミール地方の自治権をはく奪したことをうけ、インドとの外交関係を格下げし、二国間貿易を停止すると発表している。

飯田)インドのモディ首相も演説をして、私たちの土地だと、直接支配をするのだということを言っています。

宮家)カシミールは古くて新しい問題です。インドとパキスタンが分かれたときからあるものです。インドはヒンドゥーの国かと言ったら、いまもまだインドには、おそらくイスラム教徒が1億人ぐらいいるのです。昔はもっと混じっていたのですが、それがああいう形で分かれて、別れ切れなかったのがここカシミールですよ。最近は両国も随分と関係がよくなっていると思ったのですけれども、モディさんがヒンドゥーナショナリズムを提唱していて、残念ながらまた元に戻ってしまった感じがしますね。インドとパキスタンと言えば、とにかく仲が悪いですよ。昔を思い出したのですけれど、ある年に国連安保理の非常任理事国の選挙があって、インドと日本が戦ったわけです。そして日本が勝ったのですね。そのとき私はパキスタンにいたのですが、日本の新聞を見ていると、「日本が勝った」と載っている。しかしパキスタンの新聞は日本が勝ったではなくて、「インドが負けた」なのですよ。彼らは、とにかくインドが負ければいいのです。そのときに、これはどうしようもない関係だなと思いましたね。その難しい関係にまた戻ってしまいました。

崩れ始めた東アジア秩序~アメリカという重しがなくなりつつある

宮家)日経新聞にオピニオンの欄があって、フィナンシャルタイムズのいいコラムの翻訳がたまに出るのですけれど、今日は「崩れ始めた東アジア秩序」というのがあった。冷戦時代はある意味で東アジアは安定していたのですが、それが崩れて来ているという話が書いてあるのですけれども、これは東アジアだけの問題ではない。インドとパキスタンだって昔から仲は悪いし、ずっと戦っていたわけです。そのなかで徐々に国際政治が動いて、両国関係を安定させて来た。ところが、最近はその重しになっていたはずのアメリカも、国内にテロがあるくらいだから、ごたごたしている。トランプさんは「外国はどうでもいい、アメリカが第一だ」と言う。だから、みんなもっと理性を働かせて国際情勢を安定させなくてはいけないと思っていたのに、どこかで「たが」がはずれているような感じがするのですよね。今日のコラムは「東アジアで崩れ始めた秩序」なのだけれど、実はインド、パキスタンでも同じようなことが起きているのではないかと思うのです。

インドのナレンドラ・モディ首相(インド・ニューデリー)=2019年5月21日 写真提供:時事通信

ヒンドゥー至上主義が再び開けたパキスタンとの争いの蓋

宮家)インドのヒンドゥー至上主義が、これまでも相いれなかったかもしれないけれど、なんとか共存して来たパキスタンとの争いの蓋をまた開けてしまった。パンドラの箱を開けてしまったのではないかということです。非常に嫌な話ですよね。モディさんは立派な方ですけれど、そこまでしなくてもいいではないかと言いたいですよ。国内にだって多くのムスリムはいるのだから、もう少し融和策でやったらいいのだけれど、背に腹は代えられない何かがあるのだと思います。

飯田)自分の支持基盤である人民党というところは、もともとヒンドゥー至上主義から来ている。

宮家)ええ。それだけで政権を担うと言ったって、政治には反作用がありますからね。かえって逆効果だと思うのですけれども、彼らはそう思わないのかもしれません。

飯田)インド、パキスタンは核も持っていますしね。

インド・パキスタン分離独立:インドとパキスタンは1947年に、イギリス領から分離独立して以来、イスラム教徒が多数派のカシミール地方の領有権を争っている。なぜ争っているのかというと、この地方はヒンドゥー教徒の藩王が治めながらイスラム教徒が多数を占めていたということで、インド、パキスタン双方が領有権を主張し続けている状況になっている。この分離独立の際には、大多数がイスラム教徒のためパキスタン側に行こうという意見もあったのだが、藩王の判断でインド側に行ったということがあり、そこからねじれが続いている。

飯田浩司のOK! Cozy up!
FM93AM1242ニッポン放送 月-金 6:00-8:00

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ニッポン放送パキスタンが対インド貿易停止~古くて新しい両国の争い

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