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八百屋『三茶ファーム』が、農家からの直接仕入れにこだわる理由

By - ニッポン放送  公開:  更新:

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それぞれの朝は、それぞれの物語を連れてやってきます。

エコー仲見世商店街『三茶ファーム』外観

『緑の野菜がもしベーコンのような匂いだったら、人間の平均寿命は格段に長くなっていただろう』

これはアメリカのコラムニスト、ダグ・ラーソン氏の言葉です。アメリカ人にとってのベーコンは、「おいしそうな匂いがするもの」の象徴。キャベツやレタスがそんな匂いだったら、みんながモリモリ食べる。その結果、平均寿命が延びるだろう、という意味の言葉です。

「良薬は口に苦し」のたとえ通り、昔から体にいいものに限って、あまり美味しくないと言われて来ました。ところが、この常識に真っ向からチャレンジしている人がいます。

世田谷区三軒茶屋駅、世田谷通り出口から歩いて15秒。エコー仲見世商店街で『三茶ファーム』を経営する千田弘和さん、42歳がその人です。

野菜は農家からの直接仕入れにこだわる

「野菜がもともと好きだったわけじゃないんですよ」と笑う千田さんは、青森県生まれ。10年前まではシステムエンジニアで、企業の代表を務めていたそうです。

まったく畑違いの転身かと思いきや、千田さんは言います。「IT業界から農業の世界への転身って、案外多いんですよ!」。時代の先端を行く業界に身を置きながら、いつもある種の違和感を感じていたという千田さんは、当時を振り返ります。

「東京の人たちは、忙し過ぎて元気がない。田舎の人たちは、仕事がなくて元気がない。この矛盾を埋め合わせることができたらな、と決心したんです」

さまざまな野菜のスムージー

2010年に駒込で八百屋さんをスタート! 3年後には、現在の三軒茶屋に本拠地を移しました。白を基調とした『三茶ファーム』の店内は、左側が野菜販売、右側が野菜のスムージーをいただけるスタンド。シャレています。土日には、野菜中心のお昼ごはんも楽しめます。

売り場には様々な野菜が多すぎず少なすぎず、適度な量を保って並んでいます。これは千田さんが「旬の野菜」にこだわっていることから生まれた形。季節を問わず1年中、大量生産されている野菜は扱っていません。「旬のものが栄養価も高くて、おいしいんです」と千田さんは胸を張ります。

管理栄養士の目線から、野菜についてのアドバイスも

突然ですが、ここでクイズを1つ。「1年中、スーパーで見かけるホウレンソウの旬は、いつでしょう?」。千田さんによれば、ホウレンソンは「冬の野菜」なのだそうです。

たとえば、夏に『ホウレンソウはありますか?』と聞かれた場合は、「うちでは扱っていません」ではなく、夏特有の濃い味わいの野菜を紹介する。あるいは、ホウレンソウと同じ調理法で使える野菜を提案する。これでお客様は『なるほどね』と、新しい野菜との出会いを喜んでくださいます。これが『三茶ファーム』の対面販売ならではの強みとなっています。

いまでは忙しくて、なかなか店に立てない千田さんに代わって活躍するのは、店長の佐々木碧さん。佐々木さんは管理栄養士の免許を持っているので、栄養学的なアドバイスもバッチリ。店頭で販売している野菜のレシピを、店内やレシピサイトで公開しているのも佐々木さんの仕事です。

その時期のおすすめ品種を農家から送ってもらうことも

「三茶ファームは珍しい野菜も多いので、どう使えばいいかわからないという声も多いんです。『これはさっと茹でて使うといいですよ』とか、『卵と一緒に炒めるだけでおいしいんです』などと、手軽に使える方法を紹介しているので、『それなら買ってみようか』とお客様が手にとるきっかけを作っています」と、佐々木さんは自信満々。

こうした力が、農家からの直接仕入れにこだわる千田さんを支えています。スーパーのように大量の品ぞろえができない『三茶ファーム』の弱みを、強みに換えているわけです。

千田さんは言います。「つくり手から選びたいので、市場からの仕入れはしていません。信頼できる農家さんから直接仕入れて販売しています。誰が、どんな思いを込めて作ったのかを知っているということは、強みになります」。

野菜は作った農家によって味が違うのだという

それからもう1つ、千田さんは目からウロコの事実を教えてくれました。「ナスもトマトもピーマンも、それを作った農家によって味が違うんです」。これが、農家からの直接仕入れにこだわる根拠の1つにもなっています。

「スタッフ同士で、これは誰々さんが作ったキュウリ、これはスーパーのキュウリと、当てっこをしたこともあるんですよ」と笑う千田さんは現在、千葉で自社農場の運営にも乗り出していると言います。野菜から笑顔を、野菜によって笑顔を伝える。

「おいしかったというお客様の声が、いちばんうれしいですね。『今年のアスパラはいつ出るの?』などと聞かれると、幸せです」

こう語る千田さんのお子さんは、0歳と2歳。「上の2歳の子は、オクラの味を見分けられるんですよ」と、ちょっと自慢気に笑いました。

上柳昌彦 あさぼらけ
FM93AM1242ニッポン放送 月曜 5:00-6:00 火-金 4:30-6:00

朗読BGM作曲・演奏 森丘ヒロキ

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ニッポン放送八百屋『三茶ファーム』が、農家からの直接仕入れにこだわる理由

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