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「ばあば」話せないはずの孫からきた電話 疑う祖母が『迎えたオチ』に、ほっこり

By - 産経新聞  公開:  更新:

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※ 写真はイメージ

産経新聞大阪版、夕刊一面で毎日連載中。一般の方から寄せられた600字のエッセー『夕焼けエッセー』。

さまざまな年齢、職業の人々がつづった等身大のエッセーをご覧ください。

100%の自信

先日、夕食の準備の最中に突然電話が鳴った。夜にかかってくる電話に良い知らせがあった例がない。35年前の母の夭逝の知らせ、6年前の父の訃報、10年ごとにある夫の救急搬送連絡3回などその時々で、普段どこにあるのか気にも留めない自分の心臓が「ここにあるよ」と、はっきり分かる高鳴りで教えてくれた。

しかし、その夜は様子が違っていた。応対に出ても電話の向こうの相手は無言だ。うちにもいよいよいたずら電話か振り込め詐欺が来たか。ならばどう懲らしめてやろうかと身構えた。

しばらくして幼子らしき蚊の鳴くような声で「ばあば。ばあば」と言う。他県に住む初孫娘の声によく似てはいるが、前回正月に会ったときは1歳4カ月。まだまだ言葉を話せない状態だったのでにわかには信じがたい。詐欺なら敵もさる者。幼子をだしにした新手の詐欺だと思った。

次の瞬間、「ばあば。ここ」と言う。「ここ」は家族で呼ぶ孫の愛称だ。「え?心ちゃんなん?」「あい(はい)」。会わない5カ月の間に彼女は言葉を理解し、片言だが話せるまでに成長していた。

電話の主が分かってからは、「元気?」「ごはんは?」と立て板に水のごとく問いかける。孫娘との初めての会話は私にとって衝撃だった。

息子には気の毒だが、息子を装った詐欺には引っ掛からない自信が100%以上ある。だが、これがかわいい孫となれば100%引っ掛からないと言い切れる自信はない。それを回避するために孫との電話に合言葉がいると思った。

大阪府 61歳

産経新聞 2018年08月23日 ーより

[提供/産経新聞 ・ 構成/grape編集部]

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