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勉強しろとうるさい母 娘が「自分はしてたの?」と反抗すると…予想外な結末に

By - 産経新聞  公開:  更新:

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※ 写真はイメージ

産経新聞で毎日連載中。一般の方から寄せられた600字のエッセー『朝晴れエッセー』。

さまざまな年齢、職業の人々がつづった等身大のエッセーをご覧ください。

分かってる

「夏休みの宿題、早く終わらせなさい」と口うるさく言う母に、私は「分かってる」と一言だけ答えた。母は勉強について私に話すとき、いつも以上に熱心に話してくる。けれども私は、今年は受験生なのだから仕方ない、確かにそうだ、もっと頑張ろう、と素直に思えない。

「じゃあ、お母さんは学生時代、どのくらい勉強してたの」といつもケンカ腰に聞き返してしまう。けれど正論を言うのは、決まって母の方だ。

ある日、私は自分自身のパッとしない受験生の生活を変えるために、母に自ら勉強についての話を切り出した。

「どこ高だったの」「勉強はしてた? 偏差値は?」。私は母にいくつか質問をしたが、パッとした答えは返ってこなかった。母は頭はよい方だが、自分の学歴に満足していないようだった。

そこで私は、「もっと勉強したらもう少し上の学校に行けたんじゃない?」と聞いた。これに対して母は、「時間がなかった」とだけ答えた。

私は、母が12歳のときに父親を亡くして以来、ずっと苦労してきたことを思い出した。そんな母に向かってつべこべ言っていた自分が、やけにちっぽけに感じて、恥ずかしくなった。

「お母さんみたいになってほしくない、あんたには勉強する時間も環境もあるからできるだけ勉強してほしい」と言った。どれも正論過ぎて返す言葉がなかった。私はいつもと違う心境で「分かっている」と言ってから、早足で勉強机に向かった。

大阪府 15歳

産経新聞 2019年10月07日 ーより

[提供/産経新聞 ・ 構成/grape編集部]

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