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長女の出産で『4人家族』になった老夫婦のエピソードが、切ないけどあたたかい

By - 産経新聞  公開:  更新:

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※ 写真はイメージ

産経新聞で毎日連載中。一般の方から寄せられた600字のエッセー『朝晴れエッセー』。

さまざまな年齢、職業の人々がつづった等身大のエッセーをご覧ください。

赤ちゃんが帰る日

長女が初出産のため、静岡の私と妻のところに里帰りしたのは、8月初めの頃でした。9月に無事お産も済んで、それからは一家4人の楽しい生活が始まりました。

赤ちゃんの泣く声を聞くと、つい顔がほころんで、今まで静かだったわが家は、とても賑やかになりました。最近では、時々赤ちゃんが私たちをじっと見ている様な気がして、何度も名前を呼んではみんなで大喜びしました。

しかし、そんな楽しい時間もそう長くは続きません。10月中旬にお宮参りを済ませると、娘と赤ちゃんは、静岡空港から朝9時発の福岡行きで帰ることになりました。 私の勤め先は空港の近くにあって、大井川の大きな橋を車で渡る際、その9時発の飛行機が、ぐんぐん高度を上げて飛び立つ姿が、毎日すぐ前方に見えるのです。

娘が帰る日の朝、私は「飛行機が飛び立ってすぐ、左下に大きな橋が見えるから、そこにお父さんがきっといるからね」と話しました。

9時7分、橋を渡っている私の目の前に、まさにその飛行機が見えてきたのです。私は思わず車の窓を開けると、飛行機に向かって大きく何度も手を振りました。

「見えたかな」と思うと、急に涙があふれてきました。かわいい孫があそこにいる…。私は車の窓を閉めると、もう飛行機を見ないことにしました。

「戻ってこないかな」「もう一度小さなやわらかい手をさわりたい」

そう思うとすぐにでも飛んで行きたい気持ちになりました。

静岡県 72歳

産経新聞 2019年11月29日 ーより

[提供/産経新聞 ・ 構成/grape編集部]

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