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新潟駅「柳がれい寿司」(1250円)~駅弁屋さんの厨房ですよ!(vol.20「新発田三新軒」編(5))

By - ニッポン放送  公開:  更新:

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『1日1駅弁』 駅弁食べ歩き15年の放送作家・望月崇史が駅弁屋さんのウラ側、レストラン列車、スイーツ列車情報をご紹介します。

【ライター望月の駅弁膝栗毛】

HB-E300系気動車・快速「海里」、白新線・黒山~佐々木間

昨年(2019年)10月から、新潟~酒田間で週末を中心に運行されている快速「海里」。
ハイブリッド式のHB-E300系気動車が、全車指定の4両編成で活躍しています。
冬の間は、途中駅の停車時間が短くなった冬ダイヤで運行中。
「駅弁屋さんの厨房ですよ!」第20弾、新潟駅弁を手掛ける「株式会社新発田三新軒」の伊田研一(いだ・けんいち)社長のインタビュー、今回が完結編です。

●常に意識する「お客様目線」!

―伊田社長が、平成17(2005)年の元日に社長に就任されて、ちょうど15年ですね?

平成16(2004)年10月に「新潟県中越地震」が起こって上越新幹線がストップしたことで、新潟の駅弁はとても苦しい状況に置かれました。
当時、三新軒の遠藤社長が、新発田三新軒の社長も兼務していたのですが、会社として、さまざまな決断を求められるシーンも多く、金融機関などとも相談しながら、2社それぞれ手分けをしたほうが、よりスピーディーな意思決定ができるだろうということになりました。

新発田三新軒・伊田研一社長

―「新発田三新軒」が駅弁作りで最も大切にしていることは何ですか?

「召し上がったお客様が、どう思うか?」ということを常に意識して駅弁作りをしています。
私自身の強みは、「素人」であるということです。
外から入った人間ですので、板前修業をしたわけではありません。
だからこそ、私は「お客様目線」で企画して、中身については調理場の板前に相談しながら(駅弁の)形にしていくようにしています。

―経営者の立場が長くなって、「お客様目線」の維持は大変じゃありませんか?

大変ではないです。
お弁当を買って下さるのはお客様なので、私自身もいろいろな場所へ行ったときに、他の各社さんのお弁当を個人的に買って、いただくことで、お客様の感覚を磨くようにしています。
「美味しかった、美味しくなかった」「量が多い、少ない」と感じたところを、自社の弁当を作る際に、フィードバックさせていくようにしています。

製造中の「まさかいくらなんでも寿司」

●時代の変化に、対応が求められる駅弁作り

―駅弁作りで、最近気になっていることはありますか?

最近、感じたことなんですけど、「ウチのお弁当、重いなぁ」と思います。
作り手としては、「これじゃお客様にとっては足りないのでは?」と思ってしまうので、ついアレコレ入れてしまうんです。
いまはカロリーなどを表記しなくてはいけなくなりましたから、数値化されるとサービス精神が逆効果になって、足を引っ張ってしまうのではないかという心配もしています。

―確かに最近は、ご飯も少ない方が喜ばれたりしますよね?

ただ、「この値段で、これっぽっちしか入っていないのかい?」とお客様が感じられるのは避けたいという思いは常にあります。
弁当には、ほか弁もコンビニ弁当もあって、駅弁はいちばん高い部類に入ります。
そこにはパッケージがあり、ネーミングやデザインがあって、さまざまな理由で高くなるんですが、その高い値段に見合うものを提供していかなければいけないと思っています。

E653系電車・特急「いなほ」、羽越本線・勝木~府屋間

―創業65年、「新発田三新軒」が力を入れていきたいことや、開発したい駅弁は?

難しい時代です。
新潟駅も改築中で、私たちの弁当をどこでどれだけ売っていけばいいのか読めません。
だからこそ、よりお客様に愛される駅弁を作り続けていかなければならないと思います。
お客様の支持があれば、簡単に販路をなくすことはできませんので。
駅弁ではサヨリを使った駅弁を作ってみたいです、匂いの問題をクリアして。

―伊田社長お薦め、新発田三新軒の“駅弁を美味しくいただける”車窓は?

新潟駅で駅弁を買って上越新幹線に乗られるなら、少し我慢していただいて長岡を出たらお弁当を開いて、浦佐あたりから越後三山を眺めながらいただくのがいいですね。
あとは、羽越本線で鶴岡・酒田・秋田方面へ向かわれるなら、日本海の夕日を眺めながら、駅弁をいただいてほしいですね。

(伊田社長インタビュー、後半へつづく)

柳がれい寿司

日本海を眺めて、新発田三新軒の駅弁をいただくなら「柳がれい寿司」(1250円)。
「柳がれい」は、食に詳しい方ならご存知、新潟のご当地ブランドです。
「柳がれい寿司」は、村上市にある岩船漁港に水揚げされる小ぶりの柳がれいを使用。
現地・岩船で、大きな中骨を取るなどの加工をしていると言います。
スリーブ式の包装は、ヒレの部分だけ、横に飛び出しているのが面白いですね。

柳がれい寿司

【おしながき】
・酢飯(新潟県産) ちりめん 野沢菜
・柳がれい素揚げ
・甘えび素揚げ
・赤かぶ漬け
・ガリ
・レモン果汁

柳がれい寿司

岩船産の柳がれいと甘えびを素揚げにして、酢飯の上に載せたシンプルな駅弁。
素揚げにされているので、脂がのった柳がれいのうま味がしっかり身に閉じ込められていて、かみしめるとジュワッとなって、美味しくいただくことができます。
酢飯の酸味でもサッパリ感はありますが、お好みで付添のレモン果汁を振りかけることで、脂のまったり感と程よいバランスになって、より一層、箸が進むことでしょう。

●駅弁各社が、自社を盛り上げるところから、駅弁の明るい未来が開ける!

―伊田社長としては、これからニッポンの駅弁をどんな形で盛り上げていきたいですか?

駅弁各社が自社の製品を大事にして、まずは自社を盛り上げていく。
これを全国の各駅弁屋さんがやれば、今後、そう暗いことはないと思います。
駅弁の「需要」はあります。
私自身、スーパーや新潟競馬場で手売りしていると、お客様の駅弁への思いを感じます。
他の種類のお弁当では味わえない何かを、駅弁は「持って」いるんです。

(株式会社新発田三新軒・伊田研一社長インタビュー、おわり)

E7系新幹線電車「とき」、上越新幹線・浦佐~越後湯沢間

「駅弁がつい重くなってしまう」という伊田社長の言葉に、小さい頃、母親と181系「とき」で魚沼のお宅を訪ねたときに出された、とんでもない量のご馳走に驚いた記憶が甦りました。
豊かな食材の恵みと、溢れんばかりの“もてなし”の心は、新潟の文化。
この文化があるからこそ、あのずしりとした重みのヒット駅弁「えび千両ちらし」が生まれ、「お客様目線」の駅弁が生み出され続けているのかもしれません。

明日から開催される京王百貨店新宿店の「第55回・元祖有名駅弁と全国うまいもの大会」、今年(2020年)は「えび千両ちらし」、輸送駅弁での参加となります。
1度いただくと、新潟を訪れていただくのが楽しみになる「新発田三新軒」の駅弁です。

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出典
ニッポン放送新潟駅「柳がれい寿司」(1250円)~駅弁屋さんの厨房ですよ!(vol.20「新発田三新軒」編(5))

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