お金を借りるときの総量規制って何?希望額まで借りれない理由と対策
公開: 更新:

お金を借りるときに、総量規制という言葉を何度か耳にしたことがあると思います。それでも、それがどのような規制かということまで、きちんと把握できている人はどれくらいいるのでしょう?
- そもそも総量規制って何?
- どのような借金が対象になるの?
- 大きな額の融資を受けたいときはどうすればいいの?
- 嘘をついてお金を借りることはできない?
ここではそんな疑問を解決するために、総量規制の基礎知識について分かりやすく解説します。いまいち理解できないという人はぜひ参考にしてください。
総量規制とは
総量規制は「貸金業者は、年収の1/3を超えて融資をしてはいけない」というルールです。一般的に、年収の1/3以上の借り入れは返済が難しくなるとされています。このため国は「返せなくなるような額の融資をしてはいけない」というルールを作りました。
このルールができる前は、金融業者が際限なく融資を行っていたため、自己破産などの債務整理をする人が続出しました。これは健全ではないということで、ルール作りが行われました。
年収が600万円の人なら、その1/3である200万円までしかお金を借りれないのです。それも、1社から200万円が上限ではなく、すべての貸金業者から借りた額の合計が、この範囲内に収まらなくてはいけません。年収が600万円で、すでに50万円の借り入れがある場合には、150万円までしか新たに借りれないということになります。
総量規制を超えるとどうなる?
それでは、総量規制を超えて借りたらどうなるのでしょう?罰則などがあるのでしょうか?
実は、年収の1/3以上を借りても、借りた人が罰せられることはありません。このルールはあくまでも貸金業者が守らなくてはいけないものです。貸金業者はカードローンなどの申込み内容をチェックして、規制の範囲内での融資を行います。
「もし間違って年収の1/3以上も借りてしまったらどうしよう?」そういう不安もあるかもしれませんが、違反すると消費者金融が罰せられるため、業者が年収の1/3以上の額を融資することは絶対にありません。このため通常は借り過ぎを心配する必要はありません。
なぜ年収の1/3以上借りてることがバレたの?
「ちょっとくらい超えて借りたってバレない」と思っている人がいるかもしれませんが、残念ながら100%バレてしまいます。なぜバレるのかについて見ていきましょう。
自社の融資額が年収の1/3の範囲内に収まっていることは、収入証明書類と融資希望額を照らし合わせればすぐに分かります。それでは他社からの借り入れについては、どのように把握しているのでしょう?
基本的には、他社からいくら借りているのかということは、カードローン申込み時の自己申告で確認します。申込書類やWEBページでは、必ず他社からの借入状況を申告する欄があります。そこの合計と融資希望額を合わせて、規制を超えないように審査を行います。
それならば、虚偽の申告をすればいいのでは?そう考える人もいるかもしれません。実際にそうやって、他社からの借入れを隠して申込みをする人もいます。ところが、消費者金融では申し込みをした人が、他社からいくら借りているのかを知ることができます。
私たちがお金を借りたりクレジットカードを利用した履歴は、いくつかの個人信用情報機関で管理されています。そして、その情報は同じ個人信用情報機関を利用している金融業者間で共有されています。
例えばアコムで100万円借りているということは、同じ個人信用情報機関に所属しているアイフルが調べようと思うと、簡単に知ることができます。
このため、申込み時に嘘をついても必ずバレてしまいます。個人の借入状況が把握されているというのは、あまり気持ちいい状態ではありませんが、このような仕組みがなければ、消費者金融は、本人の申告だけを信じて融資の判断をしなくてはいけなくなります。
信じて融資をした結果、総量規制を超えていたとしても罰せられるのは貸金業者です。それはそれで理不尽ですよね。金融業者はこうして徹底的に総量規制以上のお金は借りれないようなシステムを構築しているのです。虚偽の申告は絶対にバレるのだと覚えておきましょう。
総量規制オーバーでも借りられるのはどんなローン?
家や車の購入時には多くの人が、高額なローンを組んでいますよね。家の場合は、年収の数倍もの金額を借りています。なぜそんなことが可能なのでしょう?このあたりの仕組みも含めて、もう少し詳しく説明をしていきます。
実は家や車のローンは総量規制の除外対象となっているため、年収に関係なく借りることができます。他にも除外対象となる貸付けがありますので、代表的なものを見てみましょう。
- 住宅ローン
- 自動車ローン
- 有担保ローン
- 高額医療費の貸付け
この他にもいくつかのローンがありますが、一般的に利用されるのはこの4つです。これらは除外貸付と呼ばれ、規制に関係なく融資可能なローンとなっています。
住宅や自動車は高額なので、数百万円や数千万円という額を一括で支払うことができる人はほとんどいません。お金が借りれないと誰も家や車を買えなくなってしまうため、上限を設定せずに金融業者の判断で融資を行うようになっています。
しかし、返済できなくなる可能性は規制の対象となる金融商品と変わりません。カードローンなどはNGで、住宅ローンや自動車ローンはOKとなるのは、それなりの理由があります。不動産や車の場合は、購入するものに資産価値があるため、返済できなくなったときにそれらを売却して、返済に充てることができます。
このため、借りた額をすべて借金として背負うことはありません。ローンで借金が増えても、不動産や車という資産も増えているため、そこで資産と負債のバランスが取れます。同様に有担保ローンも、資産を担保にお金を借りますので、年収に関係なく年収の1/3を超えて借りることができます。
また、病気やケガなどをしたときに、「お金を借りれないから治療できない」という状況を回避するために、高額医療費の貸付も対象外に設定されています。
総量規制オーバーでお金を借りる方法
それでは総量規制以上のお金を、どうしても借りなければいけないという場合には、どのようにすればいいのでしょう?決められたルールだからと諦めるしかないのでしょうか?
年収の1/3以上の額でも借りる方法は大きく分けて2種類あります。
有担保ローンを利用する
有担保ローンについては、すでに説明しましたように、除外貸付となっているため、不動産を持っているような場合は、それを担保に大きな額も借りることができます。不動産に価値がある場合は、数千万円のような年収の何倍もあるような額を借りることも可能です。
ただし、返済できなくなったときには、担保としているものを売却されてしまいます。そのリスクをしっかりと理解した上で利用しましょう。
銀行のカードローンなどを利用する
有担保ローンは家を失ってしまうリスクがあるため、できれば利用を避けたいところですし、そもそも担保となる不動産がなければ利用できません。そういうケースでは、銀行のカードローンを利用するという方法があります。
銀行は貸金業法ではなく銀行法に基いて融資を行っているため、総量規制の対象外です。このため、ルールとしては年収に関係なく、金融商品で設定された上限まで融資可能です。金利も低めに設定されているため、審査に通過できるなら銀行からの融資が一番おすすめです。
銀行なら際限なく借りられる?
総量規制以上の融資を受けるには、銀行から借りればいいと紹介しましたが、これについてもう少し詳しく見ていきましょう。銀行は本当に際限なく借りることができるのでしょうか?
実は銀行でも無制限に融資をしてくれるわけではありません。このときの融資上限となるのは、次の2ついずれかです。
- 金融商品で設定された上限額
- 返済が難しくならないと判断した額
カードローン商品などで利用限度額が「10万~300万円」と設定されている場合には、年収が何億円あっても、300万円までしか借りれないのです。これが、融資を受ける上でのひとつの上限です。
それとは別に、銀行が審査によって「これくらいなら無理なく返済できる」と判断した額が、もうひとつの上限となります。このときの具体的な金額は決まっていませんが、一般的には年収の1/3~1/2までと言われています。
これは法律で決められたものではなく、あくまでも銀行の自主規制によるものです。このため、審査を受ける人のステータスによっては、総量規制と同じ年収の1/3も借りれない人もいれば、それ以上の融資を受けられるケースもあります。
ルール上は際限なく借りられますが、銀行も貸し倒れリスクを考えますので、自主的に上限を設けています。よく「銀行は総量規制がないからいくらでも借りられる」と紹介されていますが、理屈の上ではそうでも、実際には上限がありますので注意してください。
総量規制で借りれない人はどうすればいい?
総量規制がどういうものか分かったけど、実際に規制に引っかかって借りれない場合はどうすればいいのでしょう?
本当に必要な借入なのか見直す
総量規制というのは、国や金融業者が嫌がらせでしているわけではありません。借り過ぎを防ぐことで、自己破産などの債務整理をしなくても済むように作られたものです。規制に引っかかるという人は、返せなくなる可能性が高い金額を借りようとしていることを自覚してください。
そして、これ以上借りないようにできないか検討してください。収入を増やして、支出を減らすなどして、借金をしている体質の見直しを行いましょう。
家族から借りる
規制により消費者金融から借りれなくなったとき、銀行から借りればいいとアドバイスする人もいるようですが、消費者金融から借りれないような状態の人は、高確率で銀行の審査で落とされます。
すでに説明しましたように、銀行は規制の対象外ですが、返済が見込めないお金は絶対に貸してくれません。この点に関しては消費者金融よりも厳しくチェックされます。銀行で審査を受けなおしてみるのもいいのですが、親に相談するなどして、家族に助けを求めることも検討してください。
悪質な金融業者に注意
どこからも借りれなくなったときに、「うちなら貸すよ」と言われたら、かなり不利な条件でも借りたくなりますよね。ここで借りないと自己破産してしまうくらいまで追い込まれると、正しい判断ができなくなってしまいます。
そういうところを狙ってやってくるのが、ヤミ金業者などの悪質な金融業者です。ヤミ金業者と聞くと「トイチ(10日で1割)」というイメージがありますが、実際はもっと高い金利で貸付けを行います。
それだけならまだいいのですが、上手に生かさず殺さずの関係を続けて、搾り取れるだけ搾り取っていきます。利用する人はみんな、自分だけは大丈夫だと思って借りますが、相手は融資のプロです。まず間違いなく痛い思いをすることになります。
親切心だけでお金を貸してくれる金融業者はいないということを、忘れないようにしてください。一時的に危機を回避できても、最終的には今よりも悪い状況に追いやられます。自分だけは大丈夫ということは絶対にありませんので、正規の金融業者以外からは借りないようにしましょう。
どうしてもヤミ金業者に頼らなくてはいけないときは、すでに債務整理をしなくてはいけない状況です。どうにもならなくなったら、ヤミ金業者ではなく借金問題に詳しい弁護士に相談しに行くようにしましょう。
まとめ
ここまで総量規制についての説明をしてきましたが、理解できたでしょうか。最後に復習の意味も込めて、説明してきた内容について、特に重要なポイントをまとめておきます。
- 対象となるのは貸金業者
- 融資してもらえるのは他社からの借入れも含めて年収の1/3まで
- 金融業者はお互いに個人の借入情報を共有している
- 担保のあるローンや高額医療費への貸付けは除外対象
- 銀行は対象外でも際限なく借りられるわけではない
総量規制があるために、お金を借りにくいと感じている人もいるようですが、このルールはお金を借りる人を守るためのものです。借り過ぎを防止するためにあり、債務整理をしなくてはいけない状況を回避することが出来ます。
規制に引っかかって消費者金融から借りれないようであれば、対象外の銀行から借りるという方法もあります。ただし、すでに債務超過に近い状態だということや、その状態では銀行からも、簡単には借りることができないということも頭に入れておきましょう。
どうしても金融業者から借りられないときは、家族に相談して助けてもらうか、債務整理も検討しましょう。ヤミ金業者なら、融資を受けられることもありますが、状況が悪化するだけですので、利用は避けてください。