Web広告というと、さまざまな種類や似たような用語が多く、自分の記憶や認識が合っているのか不安になることも多いですよね。
タイアップ広告(記事広告)もその一つではないでしょうか。
本記事では、『タイアップ広告(記事広告)』の意味からメリット・デメリット、実際にタイアップ広告(記事広告)を出稿する際に気を付けたいポイントまで解説していきます。
タイアップ広告とは
そもそもタイアップってどういう意味?
タイアップ(tie-up)とは、”協力・提携して行う”という意味の言葉で、タイアップ広告は、『広告主』と『広告主から依頼された人や企業』が協力して制作したコンテンツといえます。
そのため、コンテンツには様々な形があり、例えばYoutuberに依頼して制作した動画もタイアップ広告の一つといえるでしょう。
また、日本インタラクティブ広告協会(JIAA)はタイアップ広告を以下のように定義しています。
今回は、上記にも記載のある記事調のタイアップ広告を指す『記事広告』、その中でもWebメディアの記事広告に焦点を当て、解説していきます。
Web広告の種類
Web広告にはさまざまな種類があり、大きく『予約型広告』と『運用型広告』の2種類に分けられます。
『予約型広告』は、あらかじめ枠を予約しておくことにより、定められた期間や配信量、金額で特定の場所で確実に掲載する広告手段です。
それに対し『運用型広告』は、都度クリエイティブを変更したり期間や金額を調整したりしながら広告効果を改善していく広告手段という違いがあります。
タイアップ広告(記事広告)は、予約型広告に当てはまる広告手段です。希望する掲載時期や出面、金額等を媒体と確認して記事制作を進めましょう。
タイアップ広告のメリット
媒体のブランド力で既存のユーザーにアプローチできる
媒体に出稿することで、媒体の認知度や、ユーザー(=ファン)と媒体の信頼関係を活用することができます。
特定の媒体の記事を好んで読んでいるユーザーは、その媒体が記事で取り上げている内容に対して興味を持ったり好意的に受け取ったりする可能性が高く、媒体の特性を生かしたタイアップ(記事広告)についても同様の効果が期待できます。
メディア選定もターゲティングの一つです。
どのような人々にどういう形で情報を届けたいのかターゲットや目的を明確にし、そのターゲットに合った媒体の選定を行うとより高い効果が見込めるでしょう。
ストーリー性を持たせた文脈で商材やサービスを深く訴求できる
自社の商品やサービスをPRしようとする際、複数のメディアに記事で取り上げてもらうためにはプレスリリースを作成し送付することが一般的です。しかし、編集記事として取り上げるかどうかは各メディアの編集部判断になるため、確実に書いてもらえるわけではありません。
加えて、記事化してもらえた場合でも、メディアはプレスリリースなど企業から入手したデータを元に記事を自由に執筆するため自社が望まない取り上げ方をされてしまうこともあります。
それに対し、タイアップで記事広告としてメディアに出稿する場合は、自社が望むストーリー性を持たせた文脈で商材やサービスを紹介する記事を制作することが可能です。
タイアップ広告は、メディア自身の特性を生かすことが前提にあるため、メディアの担当者と信頼関係を築いて記事を制作することが、広告主が求めることを満たしつつユーザー(読者)の満足度を高め、良い結果を残す鍵になります。
魅力的な記事を作成するためのメディアとのコミュニケーションについては、タイアップ広告(記事広告)を発注してから掲載するまでに注意したいポイントで後述します。
メディアからの第三者目線で商品やキャンペーン、施策を訴求できる
商品の購入を悩んでいるとき、口コミを調べたり友人に使用感を聞いたりして情報収集し、比較検討する人が多いのではないでしょうか。
それに対し、商品販売者が自身で宣伝している情報を見ると、どうしても“自社の商品を悪く言うわけがない”と思ってしまうところがありますよね。
メディアが商品の魅力を紹介する場合は、口コミに近い第三者目線での表現になるため、ユーザーが自然と受け入れやすくなるというメリットがあります。
一つのコンテンツとして、掲載後も活用できる
制作した記事広告は、オウンドメディアに載せたり、BtoB系企業であれば営業ツールとして使用したりと、掲載後も様々な形で活用することが可能です。どこからが二次利用にあたるのか、また、二次利用する際のルールは媒体ごとに異なるため、確認してから使用するように気を付けましょう。
タイアップ広告のデメリット
まとまったコストがかかる
タイアップ広告(記事広告)を出稿する場合、媒体やPV数等のスペックにより差はありますが、60万円から300万円程度の金額がかかります。運用型広告のように、ターゲットやクリエイティブ等を調整しながら予算を投下するのではなく、枠を買い切る広告手段のため、一度にかかる費用が大きく感じるかもしれません。
その反面、これまでに紹介してきたメリットはタイアップ広告だからこそ得られる効果。今必要としているのはどのような効果なのか、KPIや金額など考慮して、最適な広告手段は何なのか、整理することが大切です。
作成にあたり記事確認の工数が発生する
冒頭で記載したように、タイアップ広告は、媒体の編集者と広告主で協力して一つのコンテンツを作成します。
また、編集権は広告主と媒体の双方にあり、媒体のトーン&マナー(デザインや表記に一貫性を持たせるためのルール)に則って作成するため、上がってきた記事が広告主で認められる範囲の表現なのか、また意図が汲まれた内容になっているのか確認する必要があります。
初校から念校(記事完成)までの記事修正の回数は、媒体によって異なるため修正依頼の際は注意が必要です。
発注から掲載までに注意したいポイント
魅力的な記事を作成するには、メディアとのコミュニケーションが不可欠
前述したように、タイアップ広告は、媒体自身の特性を生かすことが制作の前提にあり、それがユーザーの満足度を高め、違和感なく内容を訴求する秘訣でもあります。
ユーザーのことを一番理解しているのはその媒体の編集部であるため、編集担当者が広告主の求めることをしっかり把握して、それを媒体の色で表現できるようにすることが大切です。
記事制作を始める段階で、広告主がどのような意図や文脈で商品やサービスを訴求したいのか伝わっていないと、納得のいかない記事になってしまうのは容易に想像がつくのではないでしょうか。そのような場合は、上がってきた原稿に赤字修正を入れるだけでは根本的な解決にならず、収拾がつかなくなることもあります。小手先の赤字修正を続けると、媒体側も媒体の特性を生かせなくなり、ユーザーへの悪影響を考慮し、修正を受け入れられなくなる等、結果として双方が望まない状態となってしまうのです。
そのような状態にならないためにも、記事の作成を始める前に、記事に求めるKPIの優先順位や、どのような訴求をしたいかについて、具体的に媒体の営業担当者やライターとしっかりと話し、双方で綿密なコミュニケーションをとることを心がけましょう。
PR表記を忘れずに
広告として出稿している記事にPR表記(提供表記)をしないことは、いわゆるステマ(ステルスマーケティング)行為にあたります。
ステマとは、企業と金銭のやり取りがあるのにも関わらず広告と明記せず、第三者目線での口コミを装ってコンテンツを紹介することで、ユーザーをだます行為です。広告であることを伏せた状態で内容から広告感を感じ取ってしまうと、「なんだ広告か」「だまされた!」といったネガティブな印象となり本末転倒の事態になってしまいます。
PR表記は視認しやすい場所・サイズ・色でしっかりと表記するようにしましょう。
まとめ ~タイアップ広告の活用~
タイアップ広告(記事広告)は、一時的にまとまったコストや工数が発生する反面、自社の望む訴求内容を媒体による第三者目線でユーザーに向けてアプローチできる広告手法です。
商品やサービス、キャンペーンの魅力を最大限に引き出すことができるタイアップ広告(記事広告)。
本記事が、今後の広告選定の参考になれば幸いです。
※1 日本インタラクティブ広告協会(JIAA)JIAA ネイティブアド研究会 より引用
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