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【恋です!〜ヤンキー君と白杖ガール〜 第1話】私たちに「知らなかった世界」を教えてくれるラブストーリー・ネタバレあり

By - grape編集部  公開:  更新:

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※写真はイメージ

ブログ『現実逃避は前向きに。』で注目ドラマの感想をつづる、malcoさんによる新連載。2021年秋ドラマの見どころを紹介していきます。

2021年10月6日、日本テレビ水曜22時放送の連続ドラマ『恋です!〜ヤンキー君と白杖ガール〜(以下、恋です!)』がスタートしました。

同作は、盲学校高等部に通う弱視の少女・赤座ユキコ(杉咲花)と、喧嘩が強く地元で有名なヤンキー・黒川森生(杉野遥亮)という、まるで共通点のなさそうな2人が繰り広げるラブコメディー。

筆者は、白杖ガールとヤンキーの恋という設定に興味を持つ一方で、『恋です!』というタイトルについて疑問を持っていました。

「恋です!」なんて、どんなシチュエーションで言うんだろう。
「です」って付いてるってことは、誰かのセリフかな?
恋をした主人公が、空や海に向かって叫んだりするんだろうか…。

そんな勝手なイメージをしたりして。恋を忘れた筆者のような人間には、どうにも純情すぎるタイトルだったのです。

第1話では、弱視のユキコが送る生活について触れつつ、2人の出会いが描かれました。

仲間とたむろして点字ブロックの上にしゃがみ込んでいる森生に、どいてほしいと伝えるユキコ。

すると、気分を害した森生に白杖を掴まれ、焦ったユキコは必死に抵抗し、ユキコが蹴り上げた足は森生の股間にクリーンヒット。

最悪の出会いのように見えますが、その一件以来、森生はユキコに恋をしてしまうのです。

ユキコの心を動かす森生の一生懸命さ

ユキコは弱視というハンデを背負っていますが、ヤンキーにも物怖じせず、他人にハッキリ自分の意思を伝える姿は、人として凛々しく強く見えました。

そんなユキコを尊敬し、慕っていく森生。まずは点字ブロックを塞いでいたことを反省し、視覚障害について勉強してユキコの世界を知ろうと努めます。

そして、盲学校の行き帰りに待ち伏せをして、ユキコに「キモい」と言われながらも、会いたかったと素直な気持ちを伝えます。

この森生の不器用で愚直な性格が、非常に可愛らしくて魅力的なのです。

ただ、優しさや愛情の表現が下手くそなんですね。ユキコから何故会いたかったのかと問われた森生は、ユキコに真剣な想いを伝えるためにラブレターを書くのですが、それが文字ビッシリの便箋20枚を詰め込んだ分厚い封筒なのです。

彼はあくまで一生懸命なのですが、どこかズレている…。この分厚いラブレターは、さすがの森生もすぐにユキコには読めないと気付き、書き直してきました。

一生懸命で正義感の強い森生の性格がよくわかる場面は、終盤にもあります。

森生と仲間たちが駐輪場で騒ぎを起こして警察沙汰になった場面。この出来事を受けてユキコは森生に不信感を抱きますが、後に、この騒ぎの真実を知ります。

森生は、点字ブロックの上に停めてあった自転車を駐輪場に移動させていたのでした。

しかし、持ち主に見つかって自転車泥棒と間違えられ、騒ぎになってしまったのです。

違法駐輪されていた場所は、四季折々の花が咲く公園へと続く道でした。

その公園が好きだけど最近は行ってないのだと、寂しそうに話すユキコを見ていた森生は、公園の入り口の点字ブロックの上にたくさんの自転車が停められていることに気が付き、ユキコが公園に行けなくなった理由を悟ったのです。

点字ブロックの上にしゃがみ込んでいた森生が、点字ブロックの上の障害物を移動させる…。

森生の成長と優しさを感じさせ、2人の出会いの場面が上手く活かされたシーンでした。

この森生の行動に心を動かされたユキコは、森生が書き直したラブレターを読みます。

封筒を開けると、便箋2枚に大きく「恋です!」の文字。なるほど、ここで見事にタイトルが回収されました。

『恋です!』というのは、ユキコの問いに対する森生の答えだったのですね。

恋を忘れた筆者も、じんわりと温かい気持ちにさせられたのでした。

どちらが普通で、どちらが普通じゃないか

印象的なシーンはほかにもあり、それが、ラストの公園での森生とユキコの会話。

「自分とユキコとでは住む世界が違うから、もう関わらない方がいい」と言い出す森生。

弱視の少女が、相手から「住む世界が違う」と言われると、自分が視覚障害者だから…と思ってしまうでしょう。

しかし森生が言いたかったのは、そんなことではありませんでした。

「俺は、ガキの頃から反抗ばっかしてて、親にも見捨てられて、高校もすぐにクビになって、学歴もねぇ顔に傷のあるヤンキーなんかどこも雇ってくんねぇし、警察にも何回もお世話になって。それで、今でも誰にも信じてもらえなくて。俺はそういうやつなんです」

「それと、私とはもう関わらない方がいいってのは、なんか関係あるの?」

「だって、ユキコさんは普通の世界で生きてるじゃないですか」

「普通?私が?」

恋です!〜ヤンキー君と白杖ガール〜 ーより引用

ちゃんと学校に通って、家族とも他人ともコミュニケーションが取れているユキコは、自分とは違って普通の世界で生きている人。森生にはそう見えていたようです。

住む世界が違う。確かにそうでしょう。

ユキコは視覚障害という世界で生きていて、森生はヤンキーとして人から疎まれながら生きてきました。 住む世界は全然違います。

しかし「どちらが普通で、どちらが普通じゃないか」というのは、見る人の主観によって変わるものです。

身体的なハンデや社会的な立ち位置、人種、ジェンダー、家庭環境、見た目、性格など、自分が「普通じゃない」と感じる事柄は人それぞれ。

自分では「普通じゃない」と思っていても、別の人からは「普通だ」と思われているのかもしれません。

しかし自分を「普通じゃない」と思っている以上、こう思わずにはいられません。

普通の人とは違う自分を、受け入れてもらえるのか否か…。その不安は人間関係を築く上で、とても辛い障害となるでしょう。

全然違う世界にいるかに見えたユキコと森生の、共通点を見つけたような気がしました。

これから、互いに知らなかった世界を、互いを通じて知っていくことになるであろう、ユキコと森生。

このドラマは、私たちに『知らなかった世界』を教えてくれるラブストーリーになるのかもしれません。どんな世界を見せてくれるのか、2話以降も楽しみです。

ただひとつ、この第1話に心残りがあるとすれば。森生の便箋20枚のなっが~いラブレターも読んでみたかったな…。


[文・構成/grape編集部]

出典
恋です!〜ヤンキー君と白杖ガール〜

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