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瞬く間にすぎていく1年 父と過ごす穏やかな時間と自分にとって『大切なこと』

By - 吉元 由美  公開:  更新:

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吉元由美の写真

作詞家

吉元由美

作詞家、作家。作詞家として1000曲の詞を書く。これまでに杏里、田原俊彦、松田聖子、中山美穂、山本達彦、石丸幹二、加山雄三など多くのアーティストの作品を手掛けた。

吉元由美の『ひと・もの・こと』

作詞家でもあり、エッセイストでもある吉元由美さんが、日常に関わる『ひと・もの・こと』を徒然なるままに連載。

たまたま出会った人のちょっとした言動から親友のエピソード、取材などの途中で出会った気になる物から愛用品、そして日常話から気になる時事ニュースなど…さまざまな『ひと・もの・こと』に関するトピックを吉元流でお届けします。

冬至の朝に〜自分にとって大切なことを、大切に。

一年の終わり、今年の自分に成績表をつけるとしたら…課外活動、家庭科、芸術鑑賞、芸術活動、体育にはAがつき、仕事はBまたはBマイナスか。

つまり、よく遊んだ一年でありました。人生の波、運の波、何となくの気分の波というのはひと色ではなく、周期的にさまざまな形で寄せてくるものなのだと改めて思います。

私のこの一年は、今ひとつ仕事に気持ちが乗り切らなかったのかもしれません。

音楽大学での教えが終わったことで、リセットする時間が必要だったのかもしれない。

そんな言い訳じみたことを思ったりするのですが、こうして年の終わりに一年を振り返ってみることで、次の年の自分のテーマが見えてくる。

ということで、来年は私なりに積極的に仕事に取り組んでいこうと、冬至の朝に心しました。

朝の写真

それにしても一年が瞬く間に過ぎていきます。

先日、『人生は時速年齢キロメートル』という『法則』を見つけました。

年齢によって感じる時間の感覚、科学的な根拠はありませんが共感する比喩になっています。

10代の子どもは時速10Kmで歩む、20代は20Kmで。どんどん加速し、私はいま時速60Kmで進んでいるようです。

首都高速道路の制限速度、結構なスピードです。

科学的な『法則』ではないとしても、自分が首都高速道路を走っているように過ごしていると思うと、ちょっと空恐ろしい気がします。

景色を眺める余裕などありません。

走る人の足元の写真

ホームに入っている94歳の父は、その一日のほとんどをリクライニングチェアに座り、歴史小説を読み、テレビを観て過ごしています。

他に取り立ててすることはなく、話し相手は施設の人だけという日常の中で、父の時間はどんなふうに流れているのでしょうか。

先日会いに行ったとき、開口一番こんなことを言いました。

「あと十日だね。一年が経つのは早いね」

「この一年も病気もせず、元気に過ごせて良かったね」

「良かったなあ。それがいちばん良かったなあ」

そんな穏やかな会話を交わしながら、そこには父にしか感じられない時の流れがあるのだと思いました。

カップを持つ人の写真

そのときどきにどんな時の流れがあるのか。

若い頃はそれを味わう余裕はありませんでしたが、時速60Kmで進んでいるとしてもじっくり味わって、楽しんで、悩んで、考えて進んでいきたいもの。

振り返れば年々増えていく思い出を手繰り寄せて懐かしむと、積み重ねてきた時間の豊かさも感じられるかもしれません。

自分の時間を豊かにしていく。自分にとっての『大切なこと』を大切にしていく。

冬至の朝、もっと仕事で自分を生かしていこうと誓ったのでありました。

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※記事中の写真はすべてイメージ


[文/吉元由美 構成/grape編集部]

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