「大切な思い出、大切な光景をひとつだけ持って旅立てるとしたら、何を持って行きますか?」
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吉元由美の『ひと・もの・こと』
作詞家でもあり、エッセイストでもある吉元由美さんが、日常に関わる『ひと・もの・こと』を徒然なるままに連載。
たまたま出会った人のちょっとした言動から親友のエピソード、取材などの途中で出会った気になる物から愛用品、そして日常話から気になる時事ニュースなど…さまざまな『ひと・もの・こと』に関するトピックを吉元流でお届けします。
たったひとつの思い出を持っていけるとしたら……
「もしも無人島にたったひとつだけ持っていけるとしたら、何を持っていく?」
このような質問をよく見かけます。ある人は無人島にサバイバルナイフを持っていくと言います。ある人は夢の辞書を持っていくと。
どんな状況に陥っても、夢のメッセージは自分にとって最善のアドバイスを送ってくる。夢に対する深い信頼があるからこその選択です。
「家が火事になったときに、何を持ち出すか」
こんな質問もあります。貯金通帳と印鑑、現金、携帯……。究極の状況に陥ったときに自分がどういう行動に出るかわからないのですが、いざというときのために時々考えることは必要かもしれません。
東日本大震災の年、石巻で若いお母さんと出会いました。地震が起こったとき、生まれて数ヶ月の赤ちゃんと実家にいたそうです。
津波が押し寄せ、両親と共に流され、しっかり抱いていた赤ちゃんも波にのまれてしまいました。最後にお父さんが「笑って生きなさい」と言って、見えなくなってしまった。
なんという愛でしょうか。赤ちゃんは数日後に見つかったそうです。その人は、携帯の中に保存している赤ちゃんの写真を見せてくれました。
「これが、たった一枚残った写真です」
友人に送ったその写真だけが残ったのでした。
年をずいぶんと重ねたからか、自分にいつ何が起きても不思議はないと思うことが多くなりました。
あたりまえのように日常を送っていますが、あたりまえのことなど一つもないことに気づきます。
強い地震が起こればライフラインが止まり、食料の供給も滞る。異常気象で作物に被害が出ることもある。スーパーマーケットの棚に物が溢れているのは、決してあたりまえではないのです。
すべて与えられたもの。恵みです。心からそう思えると、何もかもがありがたい。感謝しかありません。
私たちの身に起こることも、恵みだと捉えることができるかもしれません。
つらい体験をその後の生き方の強さにできたとき、その体験も恵みになる。人生には厳しいことがありますが、その向こうには光がある……と信じています。
私が問いたい究極の質問です。
「大切な思い出、大切な光景をひとつだけ持って旅立てるとしたら、何を持って行きますか?」
この『ひとつの大切な思い出』は、人生の宝物、まさに胸を震わす恵み、幸せ感に満たされます。
どの思い出を持って行こうか、慌ただしい季節、あたたかい部屋でゆっくり思いを巡らす時間を作ってみてはいかがでしょうか。
※記事中の写真はすべてイメージ
作詞家・吉元由美の連載『ひと・もの・こと』バックナンバー
[文・構成/吉元由美]
吉元由美
作詞家、作家。作詞家生活30年で1000曲の詞を書く。これまでに杏里、田原俊彦、松田聖子、中山美穂、山本達彦、石丸幹二、加山雄三など多くのアーティストの作品を手掛ける。平原綾香の『Jupiter』はミリオンヒットとなる。現在は「魂が喜ぶように生きよう」をテーマに、「吉元由美のLIFE ARTIST ACADEMY」プロジェクトを発信。
⇒ 吉元由美オフィシャルサイト
⇒ 吉元由美Facebookページ
⇒ 単行本「大人の結婚」