音楽をいつもとなりに 心の滋養になる時間を持つと? By - 吉元 由美 公開:2020-02-09 更新:2020-02-09 エッセイ吉元由美 Share Post LINE はてな コメント 吉元由美の『ひと・もの・こと』 作詞家でもあり、エッセイストでもある吉元由美さんが、日常に関わる『ひと・もの・こと』を徒然なるままに連載。 たまたま出会った人のちょっとした言動から親友のエピソード、取材などの途中で出会った気になる物から愛用品、そして日常話から気になる時事ニュースなど…さまざまな『ひと・もの・こと』に関するトピックを吉元流でお届けします。 いつも音楽が流れていた ある日あるとき、頭の中に思い出したように流れてくる音楽があります。ラジオのチューンを合わせるように、その時々にフィットした音楽を思い出すのです。 音は空気の震えとして伝わります。おそらく、その時の状況、思いが見えない震えとなって脳内音楽ライブラリからぴったりの曲を選ぶのだと推察します。私はこれを『脳内BGM』と呼んでいます。 例えば旅先では、その街を感じさせるような曲が浮かびます。娘がニューヨークで勉強しているので、2年に一度くらいニューヨークを訪れます。空港に着くと、佐野元春の『TONGHT』が頭の中でリフレインします。 この曲は1980年代半ばにニューヨークにしばらく滞在した後に発表したアルバム『VISITORS』に入っていた曲で、まさにニューヨーク!を感じさせるご機嫌なナンバー。この曲を頭の中でリフレインさせながら、実際にヘッドフォンで聴きながら、雑踏の中、歩幅を広げて歩きます。それが、ニューヨークの空気に負けないで気分を上げるための、私なりのおまじないのようなことなのです。 そして、夜が深まる頃にはビリー・ジョエルのナンバーが頭の中に流れます。初めて杏里のレコーディングで訪れた1988年、それからずいぶん遠くまで歩いてきた時を思いながら『New York State of Mind』に身を寄せます。 自分の気分、気持ちと音楽がフィットし、そこに委ねることで、日頃は感じないいろいろなことを感じます。少々センチメンタルな時間ですが、日常に埋没しそうな日々の中でそのような時間を持つのは、心の滋養になるのです。 音楽は、今と人生のどこかの時間、どこかの場所をつなぐ回路のようです。その歌を聴けば何かを思い出す。 クルセイダーズの『Street Life』を聴くと、ディスコでガールフレンドとうれしそうに踊っていた大学時代の友人、I君のことを思い出します。その頃の曲を聴くと思い出す仲間たち、どこにいるかも何をしているかもわからないけれど、無性に懐かしさでいっぱいになります。 泣きながら何回も聴いた曲、心を浄化するために。10年前、手術をするとき、その直前までチャカ・カーンの『I’M EVERY WOMAN』を大音量で繰り返し聴きました。自分をcheer upするために、怖さを吹き飛ばすために。 私が書いた歌も、誰かの人生の大切な場所にちょこんといてくれたらいいなと思います。作詞家として何かを望むとすれば、作品たちが誰かの心に寄り添ってくれることを。 音楽をいつもとなりに。心が豊かであるために。 ※記事中の写真はすべてイメージ エレガントな終活~50歳から、もっと幸せになる~ エレガントな終活~50歳から、もっと幸せになる~吉元 由美1,394円(12/21 22:05時点)Amazon楽天市場YahooAmazonの情報を掲載しています 作詞家・吉元由美の連載『ひと・もの・こと』バックナンバー [文・構成/吉元由美] 吉元由美 作詞家、作家。作詞家生活30年で1000曲の詞を書く。これまでに杏里、田原俊彦、松田聖子、中山美穂、山本達彦、石丸幹二、加山雄三など多くのアーティストの作品を手掛ける。平原綾香の『Jupiter』はミリオンヒットとなる。現在は「魂が喜ぶように生きよう」をテーマに、「吉元由美のLIFE ARTIST ACADEMY」プロジェクトを発信。 ⇒ 吉元由美オフィシャルサイト ⇒ 吉元由美Facebookページ ⇒ 単行本「大人の結婚」 快挙を成し遂げた狩野英孝、帰国便の搭乗券をよく見ると… 「さすがJAL」の声ホノルルマラソンから帰国する狩野英孝さんに、JALが用意したサプライズとは…。 ロケで出会う人を「お母さん」と呼ぶのは気になる ウイカが決めている呼び方とは?タレントがロケで街中の人を呼ぶ時の「お母さん」「お父さん」に違和感…。ファーストサマーウイカさんが実践している呼び方とは。 Share Post LINE はてな コメント
吉元由美の『ひと・もの・こと』
作詞家でもあり、エッセイストでもある吉元由美さんが、日常に関わる『ひと・もの・こと』を徒然なるままに連載。
たまたま出会った人のちょっとした言動から親友のエピソード、取材などの途中で出会った気になる物から愛用品、そして日常話から気になる時事ニュースなど…さまざまな『ひと・もの・こと』に関するトピックを吉元流でお届けします。
いつも音楽が流れていた
ある日あるとき、頭の中に思い出したように流れてくる音楽があります。ラジオのチューンを合わせるように、その時々にフィットした音楽を思い出すのです。
音は空気の震えとして伝わります。おそらく、その時の状況、思いが見えない震えとなって脳内音楽ライブラリからぴったりの曲を選ぶのだと推察します。私はこれを『脳内BGM』と呼んでいます。
例えば旅先では、その街を感じさせるような曲が浮かびます。娘がニューヨークで勉強しているので、2年に一度くらいニューヨークを訪れます。空港に着くと、佐野元春の『TONGHT』が頭の中でリフレインします。
この曲は1980年代半ばにニューヨークにしばらく滞在した後に発表したアルバム『VISITORS』に入っていた曲で、まさにニューヨーク!を感じさせるご機嫌なナンバー。この曲を頭の中でリフレインさせながら、実際にヘッドフォンで聴きながら、雑踏の中、歩幅を広げて歩きます。それが、ニューヨークの空気に負けないで気分を上げるための、私なりのおまじないのようなことなのです。
そして、夜が深まる頃にはビリー・ジョエルのナンバーが頭の中に流れます。初めて杏里のレコーディングで訪れた1988年、それからずいぶん遠くまで歩いてきた時を思いながら『New York State of Mind』に身を寄せます。
自分の気分、気持ちと音楽がフィットし、そこに委ねることで、日頃は感じないいろいろなことを感じます。少々センチメンタルな時間ですが、日常に埋没しそうな日々の中でそのような時間を持つのは、心の滋養になるのです。
音楽は、今と人生のどこかの時間、どこかの場所をつなぐ回路のようです。その歌を聴けば何かを思い出す。
クルセイダーズの『Street Life』を聴くと、ディスコでガールフレンドとうれしそうに踊っていた大学時代の友人、I君のことを思い出します。その頃の曲を聴くと思い出す仲間たち、どこにいるかも何をしているかもわからないけれど、無性に懐かしさでいっぱいになります。
泣きながら何回も聴いた曲、心を浄化するために。10年前、手術をするとき、その直前までチャカ・カーンの『I’M EVERY WOMAN』を大音量で繰り返し聴きました。自分をcheer upするために、怖さを吹き飛ばすために。
私が書いた歌も、誰かの人生の大切な場所にちょこんといてくれたらいいなと思います。作詞家として何かを望むとすれば、作品たちが誰かの心に寄り添ってくれることを。
音楽をいつもとなりに。心が豊かであるために。
※記事中の写真はすべてイメージ
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作詞家・吉元由美の連載『ひと・もの・こと』バックナンバー
[文・構成/吉元由美]
吉元由美
作詞家、作家。作詞家生活30年で1000曲の詞を書く。これまでに杏里、田原俊彦、松田聖子、中山美穂、山本達彦、石丸幹二、加山雄三など多くのアーティストの作品を手掛ける。平原綾香の『Jupiter』はミリオンヒットとなる。現在は「魂が喜ぶように生きよう」をテーマに、「吉元由美のLIFE ARTIST ACADEMY」プロジェクトを発信。
⇒ 吉元由美オフィシャルサイト
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⇒ 単行本「大人の結婚」