生きるということへの敬意を持つ ふと目にした光景が教えてくれたこと
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吉元由美の『ひと・もの・こと』
作詞家でもあり、エッセイストでもある吉元由美さんが、日常に関わる『ひと・もの・こと』を徒然なるままに連載。
たまたま出会った人のちょっとした言動から親友のエピソード、取材などの途中で出会った気になる物から愛用品、そして日常話から気になる時事ニュースなど…さまざまな『ひと・もの・こと』に関するトピックを吉元流でお届けします。
ふと目にした光景の中に学ぶこと
古びたビニールのバッグを簡易カートにくくりつけ、肩にも重そうなバッグをかけ、ぶつぶつと何か怒っているおじさんとすれ違いました。
そんな人と行き交うとき、できるだけ近くにならないように、目を合わせないようにしてしまいます。このときも何気なく避けるようにすれ違いました。
きっと多くの人が関わりをもたないように、このおじさんを避けて来たのかもしれません。推測の域を出ませんが、孤独に生きてきた人なのかもしれません。
社会の理不尽さに怒りがこみ上げている……のかもしれません。おじさんの怒りは悲しみにも似ているような。あくまで私の想像です。
買い物を済ませた帰り道。あのビニールバッグをくくりつけた簡易カートが道端に。そこにこんな紙が貼り付けてありました。
「ただいま仕事中です。荷物が重いのでこちらに一時的に置かせていただいています。すぐに戻りますのでご容赦ください」
大きく丁寧な文字。あたりを見回すと、あのおじさんがチラシの束を抱えてポスティングをしているのでした。
「荷物が重いので……」ぶつぶつと怒りを口にしながら歩いていたおじさんの、丁寧な断りのメッセージを見たときに、生きていくということの大変さと、生きるということへの誠実さを見た気がして、外見だけで判断していた自分の狭量を恥ずかしく思ったのです。
あらゆる場面で、私たちは多くの判断、ジャッジすることを求められます。いい、悪い。美しい、美しくない。
自分の中の、無意識に形成された価値観や判断基準によって、私たちは日々、必要なものを選びとり、仕分けていきます。
それぞれの価値観は尊重されるものですが、時に思い込みや偏見だけでジャッジしてしまうことがあります。
もちろん、それもひとつの価値観のあり方ですから、よい悪い、で判断できるものではありません。
ただ、私はこのおじさんの姿を通して、丁寧であるという誠実な在り方を受け取りました。
何か、大切なこと。ついなおざりにしてしまうことが自分の言動、考えの中にあるのではないか。生きるということへの敬意を持つこと。
ふと目にした光景が教えてくれました。
※記事中の写真はすべてイメージ
作詞家・吉元由美の連載『ひと・もの・こと』バックナンバー
[文・構成/吉元由美]
吉元由美
作詞家、作家。作詞家生活30年で1000曲の詞を書く。これまでに杏里、田原俊彦、松田聖子、中山美穂、山本達彦、石丸幹二、加山雄三など多くのアーティストの作品を手掛ける。平原綾香の『Jupiter』はミリオンヒットとなる。現在は「魂が喜ぶように生きよう」をテーマに、「吉元由美のLIFE ARTIST ACADEMY」プロジェクトを発信。
⇒ 吉元由美オフィシャルサイト
⇒ 吉元由美Facebookページ
⇒ 単行本「大人の結婚」