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絶えない客の『カスハラ』 コンビニ店員がそれでも仕事を続けた理由は…

By - grape編集部  公開:  更新:

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※写真はイメージ

2020年5~8月にかけて、ウェブメディア『grape』では、エッセイコンテスト『grape Award 2020』を開催。

『心に響く』と『心に響いた接客』という2つのテーマから作品を募集しました。

今回は、応募作品の中から『私が仕事を続けられる理由』をご紹介します。

私は小さな駅前のコンビニで働いています。夏の暑い日は汗をかき冷房で冷やされ風邪をひき、冬の寒い日は延々とおでんと中華まんの補充をし、かれこれ6年目になります。

コンビニは便利が良いことを求めて新しいサービスを展開しています。お客さんは便利になったと喜んでいますが、店員にしてみればたまったもんじゃないと思う日もあります。この6年だけでも様々な業務が増えました。

新人研修も年々教える事が増え負担に思う時もありますし、実際、する事が覚えられないと研修期間中に辞めてしまう人もいました。

時間帯によってよくやる業務と経験の少ない業務があるので、不意に経験のない業務が来ると冷や汗が止まらなくなりますが、お客さんにしてみればコンビニに行けば出来るものと思われているのでやはり全て把握しておかなければなりません。

お客さんも、良い人ばかりではありません。

お金を投げてこちらに渡す人、イヤホンをしたままでこちらの問いに何も答えてくれない人、割り込みを注意すると持っていた物をそのまま置いて出て行ってしまう人。

虫の居所が悪かったのか理不尽に怒鳴られる日もあります。

カスハラなんて言葉も最近聞く様になりましたが、よく来る人ならともかく、見覚えも無く、警察沙汰にするほどのことにもならなければそれをどこに訴えかければいいのでしょう。

我慢しなければいけない理由はないはずですが、直接言える勇気が有るのならとっくに言っているのです。

怒鳴られた後は恐怖でレジを打つ手や声が震えます。セクハラを受けた後は悔しくて泣きそうになります。泣いてしまった日もありました。

その上基本給は県の最低賃金とあまり変わりません。

辞めてしまいたいと何度も思いました。

それでも私がこの仕事を続けられているのは、自分の仕事ぶりを見てくれている、認めてくれているお客様が居るからです。

いつもの煙草を用意してレジに向かえば「流石っすね!」と笑ってくれた時。

ミスをして落ち込んで居た時、「元気ないけどどうしたの?」とわざわざお声がけ下さって「そういう日も有るよ」と励ましてくれた後豆大福を買ってくれた時。

足の悪いご高齢のお客様に、いつもの様に購入された物をタクシーまで運んで行ったあと「コンビニは沢山有るけど、あなたが居るからここに来るのよ」と言われた時。

たった一言だけでも私達店員の心は救われます。

grape Award 2020 応募作品
テーマ:『心に響いた接客エッセイ』
タイトル:『私が仕事を続けられる理由』
作者名:吉原 なお

エッセイコンテスト『grape Award 2020』の審査員が決定!

2017年から続く、一般公募による記事コンテスト『grape Award』。第4回目となる2020年の審査員には、grapeでも人気の漫画『犬と猫どっちも飼ってると毎日たのしい』シリーズでおなじみの漫画家・松本ひで吉さんが決定しました。

さらに『Jupiter』などの作詞を手がけた作詞家でエッセイストの吉元由美さんや、映画化もされた『スマホを落としただけなのに』などで人気を博する小説家の志駕晃さんも審査員として作品を読みます。

心に響く作品として選ばれるのは、どのエピソードでしょうか。結果発表をお楽しみに!


[構成/grape編集部]

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