『しゃれことば』や『むだ口』をよく使って会話を楽しんだ『寅次郎シリーズ世代』
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こんにちは、フリーアナウンサーの押阪忍です。
ご縁を頂きまして、『美しいことば』『残しておきたい日本語』をテーマに、連載をしております。宜しければ、シニアアナウンサーの『独言』にお付き合いください。
懐かしの『しゃれことば・むだ口』
今の東京ドームではなく、かつての後楽園球場時代です。巨人・大鵬・卵焼の頃だったでしょうか。プロ野球では当方は『長嶋ジャイアンツ』でした。
立大で同級生だったこともあり、長嶋選手がチャンスにバッターボックスに入ると「来たか長さん待ってたホイ!」てなことを投げると、隣の友人が「あたり前田のクラッカー!」などとまぜっ返し、楽しく応援したものです。(俳優の藤田まことさんがヒットさせたクラッカーのCMのことです)
そんな『ことば遊び』は、PC、スマホ時代に入ると、もう聴かれなくなってしまいましたね。
きょうは、映画『寅次郎シリーズ世代』が『しゃれことば』や『むだ口』をよく使って会話をより楽しんだことをご紹介したいと思います。『しゃれことば、まぜっ返し、へらず口』として覚えたことばです。
おっと合点承知の助、驚き桃の木山椒の木、恐れ入谷の鬼子母神…など聞き覚えがあると思いますが、今の時代ですと年輩の職人さんならまだお使いかも知れませんね。
使い方のシーンとすれば、相手から「ありがとう…」と言われて、有難いなら「蟻が鯛なら 芋虫ゃ鯨」と、『まぜっ返し』や『へらず口』を叩く、いわば『ことば遊び』です。
うちとけた仲間同志の会話の席では、そんなタイミングのいい『しゃれことばや、むだ口』は、その場をより楽しくしてくれるものです。いくつか挙げて置きますので、何かの折、お使い頂けると嬉しいですね。
五月の鯉で口ばかり、痛み銀山、大有り名古屋の金の鯱、 何か用か九日十日、だんだん良くなる法華の太鼓、なしの与一、敵もさるもの引っ掻くもの・・・でもこう書いてみるとみんなこれは "男ことば"のようですね。女性の方、ゴメンナサイです。「わたしまけましたわ」。(回文です)
<2020年6月>
フリーアナウンサー 押阪 忍
1958年に現テレビ朝日へ第一期生として入社。東京オリンピックでは、金メダルの女子バレーボール、東洋の魔女の実況を担当。1965年には民放TV初のフリーアナウンサーとなる。以降TVやラジオで活躍し、皇太子殿下のご成婚祝賀式典、東京都庁落成式典等の総合司会も行う。2019年現在、アナウンサー生活61年。
日本に数多くある美しい言葉。それを若者に伝え、しっかりとした『ことば』を使える若者を育てていきたいと思っています。