本当に必要なものが何なのか分かった上で、多くのモノたちと暮らしていく
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吉元由美の『ひと・もの・こと』
作詞家でもあり、エッセイストでもある吉元由美さんが、日常に関わる『ひと・もの・こと』を徒然なるままに連載。
たまたま出会った人のちょっとした言動から親友のエピソード、取材などの途中で出会った気になる物から愛用品、そして日常話から気になる時事ニュースなど…さまざまな『ひと・もの・こと』に関するトピックを吉元流でお届けします。
本当に必要なものについて考える
キッチンをリノベーションしました。30年間、我が家の食を支えてくれたキッチン。
日常のごはん、友達を招いたときのご馳走、毎年のおせち料理をトントン、コトコトとこのキッチンで作りました。
当時は最新式でも、30年の設備の進化は目覚ましく、観音開きの棚は引き出しに。頭を突っ込むようにして奥のお鍋(それも琺瑯の重いお鍋)を取り出すのが難儀になりました。
これから何年生きるかわからないですが、30年ということはないでしょう。だとしたら、使い勝手のいいキッチンに替えよう、と工事が始まりました。
キッチンのシンク下、吊り戸棚に入っていたあれやこれや。そして他に引き出しも新しくすることになったので、その中に詰め込んだものやら。
リビングの三分の一を占拠したお鍋、フライパン、ザルやボール、調味料、ストックしていたものなど、よくこれだけのものが入っていたと感心を通り越して呆れます。
買ったことを忘れているもの、消費期限をとうに過ぎた調味料。なぜワインオープナーが4つも!栓抜きが5個!ピザ切りナイフが2本。ピザなんて滅多に食べないのに。
備蓄のつもりの乾物は乾物とは別物になっている。リビングのカオス状態の中で、これが私の30年間の怠惰の結果なのだと呆然としたのでした。
キッチンを効率よく使う方法を紹介しているYouTubeを観ながら収納を学びます。新しい棚のサイズと効率よく収納するものの量を考える。
きれいに収めたイメージをしつつ、大片付けの開始です。もう使わない。これはいらない。いらない。
いらない……と分別し、ゴミと化した調理用具、ストックしていたものは、45リットルの袋に6つ。それでもモノが減った感があまりありません。
手放してもいいのに、なんとなく手放せない。なんと結婚式のケーキカットで使用したサーバーとナイフが出てきて、どうしていいかわからない。プレゼントされたもの、もしかしたら必要になるかもしれないと思うもの。
近藤麻理恵さんのお片づけの基準「ときめくか、ときめかないか」に倣い、「必要か、必要でないか」「とっておきたいか、おきたくないか」に徹底して仕分けをしました。するとゴミ袋はさらに3つ増え、合計9つに。
本当に必要あるものというのは、それほどないのかもしれません。おたまも、木杓子も、ボールもザルも1つずつで事足りるかもしれない。お鍋もフライパンも大小1つずつでいい。
なんなら1つずつでもやっていけるかもしれない。食器も人数分、1組だけ。そこまで削ぎ落とすことのできない私は、これからも多くのモノたちを抱えながら生きていくわけです。
本当に必要なものが何なのか分かった上で、多くのモノたちと暮らしていく。ちょっとした覚悟をしながら、もうしばらく楽しみたいと思います。
本当に必要なもの……それはモノだけでなく、本気の本気の、覚悟なのかもしれません。
いのちを紡ぐ言葉たち かけがえのないこの世界で
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※記事中の写真はすべてイメージ
作詞家・吉元由美の連載『ひと・もの・こと』バックナンバー
[文・構成/吉元由美]
吉元由美
作詞家、作家。作詞家生活30年で1000曲の詞を書く。これまでに杏里、田原俊彦、松田聖子、中山美穂、山本達彦、石丸幹二、加山雄三など多くのアーティストの作品を手掛ける。平原綾香の『Jupiter』はミリオンヒットとなる。現在は「魂が喜ぶように生きよう」をテーマに、「吉元由美のLIFE ARTIST ACADEMY」プロジェクトを発信。
⇒ 吉元由美オフィシャルサイト
⇒ 吉元由美Facebookページ
⇒ 単行本「大人の結婚」